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二夜連続夜行フェリーで大移動【世界多分一周旅バルカン編#1】
さすがに、夜行フェリーを二晩続けて乗るなんてのは、ちょいと酔狂な旅人のやることだったかも知れない。
そもそも先週も夜行フェリーに乗ってナポリからシチリア島に来たわけで、カモメの写真ばかり30枚くらい夢中になって撮影し、タイタニックのテーマ曲を聴きながら潮風を浴びるという悪趣味なことをして、なぜ隣にディカプリオがいないのかと嘆いた夜だった。
そんなナポリからシチリア島へ向かう夜行フェリーをかなり気に入ったのが、二夜連続夜行フェリー計画の始まりである。
1回目の夜行フェリーでは、個室でシャワートイレ付きの90ユーロ(15000円程度)のキャビンを奮発して予約し、4人部屋を独占して眠った。
20時にナポリを出て、翌朝7時にはシチリア島のパレルモに着いた。眠りながら移動する夜行列車が好きだったが、巨大な夜行フェリーがこんなにも揺れないとは知らなかったので、夜行フェリーなかなかやるやんと感心し、また乗りたい、もうどこでもいいからフェリーで行きたいくらいの気持ちになっていた。
その後、イタリアの東側のバルカン半島までフェリーで行けると知り、シチリア島を去りバルカン半島へと移動する旅程を以下のように組んだ。
20時にシチリア島を出港し、フェリーで眠り、翌朝8時頃にナポリに到着。
その足でバスでナポリから反対側の海の側の街バーリへ移動し、また22時発の夜行フェリーでバーリからアルバニアのデュラスに翌朝9時前に到着する。
ちょっとハードかなと思ったが、やってみることにした。
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黒矢印は今後駆け抜ける予定の方向。
①のフェリーは、節約も兼ねて(というか何も兼ねてなくて、節約しか理由はない)個室を予約せず、ただ乗るだけの券を買った。39ユーロ6000円くらいである。イタリアでは安いホステルなら、これくらいの値段が相場であるから、宿泊費のみで、交通費ゼロくらいの気持ちである。
シチリアに来る時に乗ったフェリーで船内を調査して、キャビンではなくデッキ内でゆっくり眠れそうな場所を見つけていたので、同じ会社のフェリーを予約して勢いよく1番に乗り込んだ。
バーのスペースの1番奥にソファー席が3つほどあり、そこを陣取れば人もほぼ通らずのんびり眠れるし、トイレも同じフロアにある。
イタリア人男性のバックパッカーに1番奥を取られてしまったが、その手前のソファーをゲットでき、緊急時用のブランケットを久々にバックパックから出してかぶって眠ることにした。
窓から景色も見られたし、テーブルもあるし、広々としていて、ここで十分だなと思った。私はどこででも眠れるタイプの旅人なので、アイマスクと耳栓があればどこだってプライベートルームになる。
すぐそばのバーで夜の22時半からKARAOKEパーティーが始まることは予想外の誤算だったが、それほど支障なくイタリア語の下手な歌を聞きながら眠ることはできた。
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パレルモで買った巨大ライスコロッケ、
アランチーニが美味かった。
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会議もできる応接間つき。
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そして、ナポリからバーリへ。
実はシチリア島を出る直前に生理が来たのもこれまた誤算であった。
移動日、特に長距離バスに生理は最悪の組み合わせである。
バーリへの行き方もよく分からないまま、ナポリ・チェントラーレ駅に来て、人に聞きまくってなんとかバスを見つけた。
Napoli Centrale駅をしばらくネイポー・セントラルと呼んでいたが、なかなか通じなくて、正しくはナポリ・チェントラーレだということを学んで以来、気合を入れてチェントラーレと発音するようにしている。チェントラーレという言い方は、今や、誰よりもイタリア人風だと自負している。
汗だくになりながら、スーパーマーケットで生理用品と6個入りの格安のチョコパンと水を買って、10時半発のバスに乗り込んだ。二階建てバスの二階最前列の席でドキドキしながら乗ったが、すぐに眠っていた。
14時前にバーリに到着。
そういえば、バーリってアルベロベッロという村に近かった気がする、ということを昨晩思い出していた。
11年前に関西でやっていた深夜番組「ロケみつ」で、タレントの稲垣早希ちゃんがヨーロッパを旅していたが、他の場所は一切記憶に残ってないが、バーリとアルベロベッロという地名だけがなぜか耳に残っていた。
バーリから1時間ほどバスに乗れば着くらしいので、移動続きのついでにバスに乗ってアルベロベッロへと向かった。
アルベロベッロは記憶の通り、可愛らしい町で、15kgのバックパックを背負ったまま、時々格安チョコパンをほおばりながら、炎天下33℃の気温の中を歩き回った。我ながら元気である。
11年前の番組で、早希ちゃんが舌っ足らずな言い方で「アルベロベッロ」と言っていたのに加えて、アルベロベッロに日本人女性がお店をやっていて、その女性と早希ちゃんが話をしたりしていたなぁと思い出しながら歩いていたら、日本語で話しかけられた。
「日本人の方ですか?良かったら、うちの店の屋上に登って景色、見ていきませんか?」
うわ、びっくりした。
その女性の顔は記憶に残っていなかったけど、この町で店をやってる日本人はその方(陽子さん)だけのようで、お言葉に甘えて屋上に登ってトゥルッリのとんがり屋根を堪能した。
陽子さんは、私の仕事や旅のことを聞いてこられ、少し話をしたら、面白がって聞いてくれた。15kgのバックパックをしばらく預かってくれるというため、ありがたく甘えて、バックパックを下ろし、身軽になって町をぶらぶらした。
確かに可愛い町で、ファンタジーが好きな人はたまらない場所かもしれない。
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トゥルッリと呼ばれるもので、取り壊しやすいようにできている。
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とにかく時間がない私は、弾丸でアルベロベッロの町をのぞき、またバスに乗ってバーリに戻った。1番後ろの一列を独占していたので、横になってウトウトしていたら、すぐにバーリに着いた。もう18時を過ぎていた。
分かったのだが、私は座ったままの体勢の夜行バスは熟睡はできても体がとても疲れてしまって、翌日以降も結構引きずるのだが、フェリーは体をしっかり横にできたので疲れていない。バスでも最後列で足を伸ばしたり横になれると、体は疲れを引きずらない気がする。二夜連続の夜行フェリーも余裕だなと思えてきた。
フェリーのチェックインの時間までまだ少し時間があったので、バーリの名物をネットで調べると、「暗殺者のパスタ」というものがヒットした。
今、日本で大流行中らしいが、聞いたこともない。私が旅に出ている間に流行ったのだろうか。
そういえばマリトッツォなるものをイタリアで一度も見かけなかった。日本の流行は誰がどういう経緯やなんの意図で、なんの権限があって仕掛けているのか、非常に不思議である。
とりあえず、そんな噂の暗殺者のパスタを食べてみることにした。
店のおばさんが、「ブッラータチーズもバーリが発祥の地だから、それも添えて食べるのがおすすめ」と言うため、発祥という言葉に弱い私はおばさんの言う通りにチーズも添えることにした。
発祥マニアとして、イタリアの旅をこれで締めようと思った。
こちらが暗殺者のパスタ「Spaghetti all'Assassina」
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スパゲッティを茹でずにフライパンで焦がしながら炒めていくらしい。なぜ暗殺者か分からないが、イタリアンマフィアを狙うアサシンが殺しの前に食べたのかな、と勝手に想像した。
食べてみたが、スパゲッティに突き刺さった銃弾のような鷹の爪から予想はしていたが、かなり辛かった。
辛いのが苦手な私には、ちょっとしんどい辛さ。でもブッラータチーズを混ぜたらちょっとまろやかになる。
追いチーズをしてもらいたいくらいだった。
ドリンクとセットで2900円。
暗殺者は私の財布まで狙ってきていた。恐ろしすぎて震えるスパゲッティであった。
そんな恐ろしいイタリアに別れを告げて、またもや夜行フェリーに乗り込む。
フェリーは意外と簡単に乗れない。出港の3時間前にオフィスにチェックインしに行かないといけない。Eチケットを持っているのに、港から離れた場所にあるGNVのオフィスに行ってチケットを見せて、別の紙のチケットをもらう。そして1時間後に港に集まれと言われる。なんだこの一手間は。3回目でもやっぱり意味不明で無駄だなぁと思う。
そして、バスに乗って港まで行き、ひたすら待つ。夏時間で19時でもまだまだ陽が沈んでおらず暑い中、立って待つこの時間がとても疲れるし、眠くなってくるから、GNVにはぜひ考え直して欲しいものである。
ようやく乗船できる雰囲気となった。今回はバーリからデュラスへは国境を越えることになるので、パスポートコントロールもあり、出国のスタンプを押してもらった。よし、シェンゲン圏外へ。
いよいよ3回目のフェリーに乗り込む。
2回もフェリーに乗った私は、25%オフのクーポンをゲットできていたので、3回目のフェリーは格安で個室を押さえることができた。作戦勝ちである。
しかし、今回はトイレシャワーなしのひとまわり小さめの個室。
これなら昨夜のソファー席の方がリラックスできるなと思いつつ、扉を閉め、さっさと寝巻きに着替えて、毛布を被った。フェリーは恐ろしいほど冷房が効くということを、もう夜行フェリー3回目の私は知っているので、ダウンも羽織って横になる。
3回目なので、はしゃいで船の外に出て、カモメに興奮したりしない。タイタニックのテーマ曲ももう聴こうとも思わない。
トイレに行って顔を洗って歯を磨いて、耳栓をしてさっさと目を閉じた。
朝目覚めれば、アルバニアか。
長い長い移動日は、目を閉じたと同時に終わった。
サクッと書き殴るつもりが、また長文になった。やはり書きたかったらしい。
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