しまなみ海道、チャリンコ爆走旅 【2022夏18きっぷ旅②】
尾道の町を散歩して尾道ラーメンを食べた後、いよいよしまなみ海道デビューである。しまなみ海道は前から行ってみたいと思っていた道。
ゆっくり宿に泊まって何日かに分けて走ってみたいと思っていたが、尾道にやってきたせっかくの機会なので、少し行けるところまで行ってみることにした。
レンタサイクル屋さんは色んな場所にあり、色んなタイプの自転車を借りられるようだったが、私はしまなみ初心者なので、海と駅に一番近い場所で普通の自転車を借りることにした。
1000円多く支払えば電動自転車を借りられると看板に書いてあったため少し迷っていたが、レンタサイクル屋のおじさんが、
「おねえさんなら電動無しでも行けるでしょう」と何を見てそう判断されたのか分からないがそう言ってもらえて気を良くしたので、「そう?じゃあ普通ので」と返事し、普通の自転車いわゆるチャリンコ・オフホワイト3段ギア付きを借りた。
レンタル料は1日2千円で、19時には受付を閉めるから18時過ぎには返しに来てほしいと言われた。
いつもギリギリまで遊ぶ女なので、19時の5分前に返しに来たいところだが、最終電車の1つ前の19時の電車に乗って帰る予定なので、18時半には返しに来た方がいいだろうなと思い、18時25分にiphoneのアラームをセットした。(自分の決めたありとあらゆる予定の5分前にアラームをセットする習性が私にはあります。そして鳴ったアラームを1度は無視してスヌーズする習性もあります。)
チャリンコにまたいで、いざ出発、という段階で私はおじさんにこう聞いた。
「で、しまなみ海道ってどうやって行くんですか?」
基本中の基本であった。
おじさんは少しびっくりしつつも、
「あそこに見えるフェリーに自転車ごと乗れるから、それに乗って向島に着いたら、そこから道なりにまっすぐ進めば、ブルーラインという青い線が道路に引かれていて、それに沿って進めばそこがしまなみ海道やからね。」と言ってしまなみ海道の地図の載っているパンフレットを渡してくれた。
これがあれば余裕。
「フェリーは110円やから小銭用意しといてね。向島と尾道を繋ぐフェリーはしょっちゅう出てるから。」とのこと。
キャッシュレス人間にとってありがたい情報である。あとでローソンに寄って久しぶりに現金払いをしよう。
さて。
14時半に出発して18時半に帰ってくるとしてチャリンコタイムは4時間しかない。
私はおじさんに、「往復行って戻って4時間の場合、どの辺りまで行けますか?」と聞いた。
「大体そうやなあ、初心者やったら、因島大橋渡ってその辺をちょっと見て帰ってくるので4時間くらいちゃうかなあ。暗くなる前には尾道に戻ってきておかないとあかんよ。」とのこと。
初心者に分かりやすい情報をありがとうございます。
「分っかりました、行ってきます!」とご機嫌におじさんにお礼を言い、フェリー乗り場へと向かった。
ローソンでグリーンダカラと伊右衛門茶を買い、カップに入ったロックアイスを買って小銭を用意してからフェリー乗り場へ。
最近私は、暑い日にコンビニで氷を買って氷をナルゲンボトルに入れることを発明した。これでキンキンに冷えたドリンクを飲める。飲むのが嫌になるくらいぬるくなったお茶も生き返る。
コンビニのアイスコーヒーのカップに氷だけ入った状態で並んでいるのを見て、コーヒーが飲めない私がこれだけを買いたいなと思ったことが発明の始まりだが、私は知らなかったのだが、カップに入った氷だけで110円くらいでとっくに売られていたのである。もう既に商品として売られていたので私の発明という訳ではなかったが、私が発明したと思っている。
そんな余談は置いといて。
向島の渡し船にチャリンコ・オフホワイト号ごと乗り込み、ドキドキしていたらあっという間にその名の通り向かい岸にある向島(むこうじま)に着いた。
おじさんの言った通りまっすぐ進むと青い線「ブルーライン」を発見。
よし。
ここから私のしまなみ海道デビューである。
向島では、しばらく普通の田舎町の国道を進む。
コンビニもあれば、コインランドリーにコインシャワーなる店があった。
サイクリストが立ち寄るのだろうか。
まだ走り始めたばかりの私ではあるが、千光寺までの坂道で汗だくになっていたからシャワーを浴びようかと一瞬思ったが、氷たっぷりのグリーンダカラをカラカラと鳴らしながら飲んで通り過ぎた。
しばらく進むと海沿いの開けた道に出た。
わお。
青い海と青い空、海沿いに伸びる道、そして向こうの方に見える橋。
これぞまさしくしまなみ海道。テンションがぶち上がった。
休憩所の東屋で橋と海を見ながらパンを食べたり、写真を撮ったりしながら進んだ。
うろこ雲に秋の到来を感じるが、暑さと日差しはまだまだ夏が全力で存在をアピールしてくる。14時半にしまなみ海道を出発する不届き者はいないのだろう、どこも大体独り占めの景色である。
他の人とリズムを合わせた行動ができない私のメリットである。
しばらくして、右手に素敵な赤い橋が見えてきたが、しまなみ海道上ではないため見送り、さらに進むと目の前にどでかすぎる橋が見えてきた。
因島大橋である。
めちゃくちゃ上の方に橋が架かっているのを見てとても不思議に思う。
あんな高い所にある橋を自転車でどうやって行くのかな。エレベーターとかあるんだろうか、なんて思う。
多分違うんだろうなと頭では分かっているが、大阪の駅前はエレベーターで自転車を上まで上げるのが割と普通にあるのでそう思ってしまった。都会っ子の私の情けなさである。
橋が近づくが、橋の大きさや長さはもちろん、高さにビビってしまう。
見上げてみて、いやいやどうすんの?と不安で仕方ない。
橋の真下に来てもまだまだ高さを上げる様子はなかった。いったん橋に背を向けて通り過ぎる。
なるほどそういうパターンか。しばらくして理解した。
橋を通り過ぎて少し離れてから山道に入り、グネグネと登っていくルートであった。
しんどい。
さすがにしんどすぎる道のりである。
一応3段ギアがついているチャリンコ・オフホワイト号から降りて押すしかなかった。
グングンと高度を上げていく。
へえこらへえこら。
とぼとぼとぼとぼ。
ようやく橋の真裏に近づき、歓喜。
気合いを入れ直したところで、予想外のゴールがいきなり来た。
橋の上は車専用のようで、その下に特別な通路があり、歩行者、自転車、バイクはそこを通る仕組みになっていた。
突然の達成感。
嬉しい気持ちのまま自転車に乗り、いざ因島大橋を渡る。そしてすぐに「ちょっと待って…。」と思った。
橋が怖い。
足が震えてしまう。
そうだ、私は吊り橋恐怖症で足が震えて一人では奈良の谷瀬の吊り橋を渡れない人間であることを思い出した。
因島大橋は遠くで見るよりも吊り橋感が強く、グラグラ揺れるような気がして、また閉塞感もあり何となく息苦しい。
怖すぎて引き返そうかと思うくらいであった。
しかし、ここまで来たら渡るしかない。
因島大橋を渡って、因島が生んだ2つのものを探さなければならない。
覚悟を決めて、足を震わせながら、怖い怖い怖いと言いながら、真ん中で1枚だけ横を向いて写真を撮ってからは、右と左の海をほぼ見ずにまっすぐ前だけ向いて渡り切った。
分かったことは、橋は渡らずに眺めるのが一番だということ。
そして、因島に上陸したものの、16時を回っており、どこも飲食店は開いておらず、2つのものを手に入れることができず、謎の恐竜のモニュメントだけ見て、さっさと引き返すことにした。
因島にさっさと見切りをつけて大急ぎで恐怖の因島大橋を渡った。
急いで戻ったことで帰りは少し時間が余りそうな気がしたので、急遽、寄り道をすることにした。
行きの道中に気になっていたあの赤い橋を渡ってみたい。
吊り橋恐怖症ではあるが、そこまで怖くないサイズ感だったからきっと大丈夫なはず。
下から見上げる因島大橋は圧巻だなあと立ち止まり写真を撮りながらそう思ったりしているうちに、さっきの恐怖はすっかり過去に消え、ワクワクしながら赤い橋を渡ることにした。
とりあえず渡ってみて、17時半に引き返すようにすれば、尾道に18時半に帰れるはずだとざっくり逆算しながら赤い橋を渡る。
渡った先は岩子島と言い、何もない小さな島のようで、なーんだ、別に渡らなくても良かったかな、どこで引き返そうかな、なんて思いながら海岸沿いをしばらく走ったら、思いがけず素敵な場所に出た。
17時10分。
波打ち際に大きな赤い鳥居と夕日。
釣りをしている家族が1組いるだけの静かな場所。
思わずチャリンコを停めて、波打ち際まで進んで夕陽を浴びた。
ここで終えよう。
そう思える納得の景色であった。
しまなみ海道のブルーラインの道から外れて寄り道した島で見た景色が、今日のベストであった。
そして予定通り17時半に岩子島から引き返して赤い橋を戻り、向島を走って尾道に戻るフェリー乗り場でフェリーに乗った。
18時20分。
雲に隠れたりまた現れたりする太陽。
刻一刻と空の色が変わり、フェリーから見た夕焼けが、私のしまなみ海道を美しくしめくくった。
ここで尾道のミッションのおさらい。
①と⑤は達成し、今治までしまなみ海道を走り抜けて今治タオルを買うことは断念したものの、なんとか④も達成。
さて、残すは②③。
やり残したミッションの広島グルメ、しまなみ海道の余談については次回に続く…
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