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恋する剱岳との再会。【2024夏休みin雷鳥沢】
3年ぶりに立山へテントを担いでやってきた。
目的は、恋した剱岳にまた会いに行くため。
4年前のコロナ禍真っ只中に、ソロキャンプデビューをした地が、立山、雷鳥沢。私にとっての聖地である。
今年の夏休みは、その聖地へ久しぶりにテントを担いで行き、また山籠もりをする。そう決めてからは、胸が躍っていた。
ドキドキしながら大阪から夜行バスに乗り富山へ。そして、立山・黒部アルペンルートを電車、ケーブルカー、バスを乗り継いで室堂に到着。風が冷たい。18℃ほどあり、思っていたより寒くはなかったし、雪も残っていない。例年の寒い手前の涼しさと雪渓はなかったので、立山の地も今年の夏は厳暑のようである。
それでは、旅の相棒カメラGRで切り取った夏休みのツルギくんとの熱いデートの写真を。
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室堂のバスターミナルから、1時間ちょっとかけて、ゆっくり雷鳥沢キャンプ場へ向かう。バックパック(今年は、体の前後に大小2個持ちになってしまっている)の総重量は20㎏。初回のキャンプでは37㎏だったことを思えばだいぶ減らせている。世界多分一周旅では14~15㎏程度だったのでそれよりかはだいぶ重みを感じる。
今回は、食糧の重量をだいぶ削った。主にステーキ肉の塊を無しにして、フライパン類も家に置いてきた。基本的にはアマノフーズや尾西食品のフリーズドライやアルファ化米に頼る献立。(とはいえジョンソンヴィルウィンナーを6本持ってきてはいる。)
そして、山小屋でのご飯も楽しもうというプランでもある。
体重は3年前よりも5㎏ほど重いから、バックパックの荷物を減らしても5㎏はハンディがある。膝への負担が心配だったが意外とサクサク歩けて、歴代で一番疲れを感じないまま雷鳥沢に到着できた。
昨年の世界一周で培った脚力は健在らしい。
新幹線のようなクールなフォルムのテント、通称新幹線君もさっさと設営し、安堵した。
雷鳥沢キャンプ場は、3年前と比べてかなりの数のテントがひしめいていて驚く。コロナ禍で唯一くらいに良かった点は、いろんな場所が混雑しなかったことだが、その時期は終わったことを実感。しかし、みんな楽しそうに過ごしているのを見るとこちらも楽しめたし、敷地は十分にあるので、私のテントはある程度ディスタンスが取れるかなりいい場所を確保できた。
着いてすぐに、お湯を沸かして、チキンライスに、ハンバーグとジョンソンヴィルウィンナーにとろけるチーズ乗っけ丼を作った。
天才的な味のバランス。これよこれ。
自分の相変わらずの山ごはんセンスに脱帽である。
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その分、チェチェンイッツァ柄のランチマットが映えているから良い。
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着いた日はゆっくり昼寝をして、ぼーっと過ごした。初日に無理をすると後に響くから、とにかく動かずにいた。
しかし、暑い。
夕方になるまで、白いテント内が暑かった。
日が暮れ始めると途端に気温がぐっと下がり、急いでダウンを上下着込む。
夜は、例年はもっと寒くて震えていた記憶だが、湯たんぽを2個仕込んで、寝袋にくるまっていればかなり快適に熟睡できる夜であった。
翌朝。
6時前に起きて、卵サンドとおにぎりを準備。
今日は天気予報によると、一番晴天が見込まれる日なので、ツルギくん(剱岳を私はこう呼びます)に会いに行く絶好のチャンス。
いつもの着圧タイツと山用の帽子、大量の水とラーメンや固形燃料類をリュックに詰めて出発した。
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雷鳥沢キャンプ場からまずは、目の前の山の上の剱御前小舎を目指す。
今回は過去一番の晴天で、太陽が昇ってくると日差しが強くて気持ちが削られる。暑いのは本当に苦手だなと痛感。
しんどくてしんどくて全然前に進めない。
大げさでなく、2分ほど歩いては岩に座り込む。その繰り返しになってきた。気温もどんどん上がる。立山で20℃は、私にとって初めての暑さである。下界の大阪の35℃と比べればそりゃ涼しいが、2450mを超えている山に登る最中の20℃は、かなり厳しい暑さだと思う。これは誤算。思っていたよりもハードである。いつもは2時間くらいで着けるところを、3時間かかって頂上の剱御前小舎に到着。標準タイムは1時間ちょいらしいが、標準なんて関係なく、私は私のペースでいいのだけど、少し時間がかかりすぎたことに驚いた。(剣御前の位置関係等は過去の私のnoteをご参照ください。)
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そして、いつもの場所へ向かう。
剱岳がようやく眺められる場所へ。
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おお。
今までで一番の晴天である。
やっぱりスケールが大きいし、格好良い。
しかし、少し雲が迫ってきている。山を登っている時から気になっていたが、後半は少し雲とガスが迫ってきていたのである。
1本500円の500mlのポカリスエット1本をがぶ飲みし、2本目を買って、さっさとツルギくんに近づくことにした。
前回は、剱御前から剱沢に向かう下りで、バテてしまって脱水症状を起こしてしまったので、緊張感が走る。しっかりこまめに水分を摂って、一歩一歩踏みしめて下る。帰りはこの道を登るのかと思うと気絶しそうになるが、今は考えないように、ひたすら剱岳に向かって下っていく。
今回は、アミノバイタルという文明の利器に頼ることにしていたので、すでにこの時で3本のアミノバイタルの粉をキメていた。単純なので、力が湧いてくる気がする。ナッツ類をかじりながら、塩分、糖分、水分を多量に摂取して、いよいよ。
いよいよ、剱沢キャンプ場に到着!
ツルギくん、きちゃった。
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少しずつ左からガスがモクモクと剱岳を包み込もうとしているが、風のおかげで流れて行ってくれている。
私とツルギくんとの間に立ちはだかろうと、愛の力で消し去ってやるわよ、という心持ちでお湯を沸かす。
とりあえず、お腹がすいた。
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今回は安定のカレーヌードルではなく、大阪のローソンにて発売中の世界一大好きなラーメン屋「人類みな麺類」のカップ麺を持参。ツルギくんとの3年ぶりのランチデートに申し分なし。
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人類がみな麺類になるための仕上げ
最高の時間を過ごす。
剱岳は全く変わらないでそこに立っている。
私はこの3年間、いろいろあったんだ。
仕事をやめて、いろんな世界の国々を旅してきたんだよツルギくん。
そしてまた働きだしたんだよ。
旅を終えて帰って来てから初めての夏休み。
どうしてもここに来たかったんだよ。
なんだか、割と、ちょっと感動する。
いやかなり。
ツルギくんと向かい合ってラーメンをすすり、おにぎりをほおばり、ホットドッグを食べ終えてからも、何もせずただじっと剱岳と流れていく雲を見る。あそこを登ってあの上に立つ人がいるって、相当の超人だなあと思う。到底私にはたどり着けない領域だと感じる。
正直、剱沢キャンプ場までの道のりだって私にとってはハードだし、前回は、もう二度と来られないという気持ちにすらなった。だけどここにまた来られている。そんな自分のガッツにしびれる。
さて帰ろうかと思ったが、なんだか名残惜しい。
さらに剱岳に近づいて、最も剱岳に近い山小屋剣山荘まで行ってみたいという気持ちが湧いてきた。しかし、帰りの分の体力を残しておかないといけないし、既に結構限界にきているくらいである。
それでも、なぜか、前回と同じ場所で終えるのではなく、前回よりも少しでも近づきたいという気持ちが私を奮い立たせて、剱岳の方へ歩き出した。
15分ほど歩いて剣沢小屋に到着し小休止。
すぐそこに剣山荘が見えるのだが、剣沢小屋からさらに徒歩15分ほどの距離にある剣山荘への道は、雪渓が残っていて暑さのせいで状態がかなり悪く、またそこから剱御前へ戻る帰り道はアイゼンがないとダメだと剣沢小屋の人に言われた。たった15分、剱岳に近づいただけだが、ここから先の15分はもう無理だ。私の限界のラインはここにある気がする。
それでも徒歩15分の距離を前に進めたことがとても誇らしく思えた。
私、3年前よりも前進したんだ。
それだけで十分であった。
次はもっと近づきたいなと思ったが、自分のその時の限界も見極める必要があるし、どこで撤退をするかは難しいところ。テントまで戻る体力は残しておかないといけないので、今回はここまでだ。今までよりも徒歩15分の分だけ近づけたツルギくんに別れの挨拶をして、きっぱりと背を向けた。
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帰り道は、来た道を1時間半登って、それから3時間くらい下った。
もうふらふらだったが、前回の教訓から、水分と塩分、糖分はしっかりとりながらなんとかマイホームに戻った。
アミノバイタルを更にODしてキメたのも良かったのかもしれない。前回ほどのめまいや頭痛はなく、おしっこもバヤリースオレンジ色ではなく、美しい白ワイン色。体調管理もばっちりであった。
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終わってしまえば、さほど疲れを感じないのが私の体の不思議なところ。
しかし、テントの目の前に立ちはだかる山を見ていると、見上げる山の上の剱御前小舎まで登り、そこからさらに向こう側の剱岳の麓まで下っていって、またその道を戻ってきたという実感が湧かない。すごく暑い1日だった。
この後の温泉は極楽だった。
そして星空を見上げ、夜は立山に抱かれて眠る。
これ以上の聖地はないと改めて思う。
最高のデート。
今日剣沢で出会ったおじさんが、「剱岳をここで見るのは40年ぶり、大学生の時以来なんだよ。戻ってこられて嬉しいよ。」と言って、うっとりした目で剱岳を見ていた。
私もまだまだ。
剱岳にまた会いに来られますように。
おじさんと並んで、そう願った。
全然レベルも格も何もかもが違うことは分かっている上で書くけど、私はクライマーで写真家の平出和也さんが好きだった。
クレイジージャーニーや東野幸治のアドベンチャー魂を見てファンになった。強くて優しくて穏やかな方が、ものすごい挑戦をしていた姿はいつも目を奪われた。ご自身の憧れた山で眠ることとなってしまったのがとても悲しかった。命を懸けた挑戦に挑む気持ちを、凡人の私が本当の意味で理解することは到底できないが、それでも、好きな山、好きな景色を近くで見たいという渇望は少しだけ理解できる。
私のような体力もスキルも足りていない素人の旅人は、無理をせず、自分の限界を決して超えないことが一番大事だと思っている。それでも、こんな私でも、限界ギリギリまで攻めたくなる衝動があったりする。心の底からなぜか湧いてくるどうしようもない好奇心や冒険心。でもそういうどうしようもなく湧く部分が、その人をその人たらしめているようにも思うし、その人の魅力とも言えるんじゃないだろうか。平出さんの撮る写真や映像にたくさん魅せられて、心をワクワクさせてもらった。自分じゃ到底たどり着けない境地に、少しだけ触れさせてくれていた。
正直言うと、そういう人には、いつまでも幸せに安全に生きていてほしかったという気持ちと、もっともっとたくさんの未知の世界を見せてほしかったという私のエゴがある。
こういうエゴが彼らを追い詰めていないことを願う。
私は、これからどんどん狭まっていく自分の限界を見極めてそれを超えずに、これからも安全な範疇で自分の好奇心と向き合っていく。そして必ず帰る。
これを何より優先にしたい。
長生きして、たくさん経験したいから。
全ての世界中の冒険者や挑戦者は、全員無事に帰宅してほしいと願ってやまない。挑戦者、冒険者に、リスペクトと感謝と祈りを捧げたい。
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