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10、倭国と奴国、名前に隠された意味あい

❍またしても

これまで、魏志倭人伝の解釈において、通説とは異なり、学術的には非常識とも思われるような事を書いてきました。またしても、そのような事が思い浮かんだので書いてみたいと思います。

❍一般的な事実

北部九州は地理的にも、考古学的な発見においても、弥生文化が最も早く、最も栄えた地域であることがわかっています。

弥生文化は中国大陸の影響により発達した文化です。北部九州が日本で、最も大陸に近く、通り道となる場所にあるのでこのことは必然です。

弥生時代の前には、現代の日本である地域は、縄文人によって縄文文化が一万年以上続いていたことがわかっています。

倭の奴国が、建武中元二年(57年)に後漢の光武帝から金印を授りました。これは、日本における初めての対外交流の実例だと考えられます。

❍縄文時代から弥生時代へ移りかわる

縄文時代から弥生時代へ移ったのは、いつ頃なのかいろいろな説があるようです。当然、弥生時代への移り変わりは、じわりじわりと行なわれると思います。

そして、どの程度弥生文化が浸透すれば、弥生時代と決定できるのかなど考え方はいろいろあると思います。

しかし、年代はいつかはわかりませんが、弥生文化が北部九州から始まったのは事実です。つまり、弥生文化が伝わり始めた頃には、必ず次の図のような状況があったはずです。(図・弥生文化が広がる最初期)

❍縄文人はどのように考えるか

一万年以上も縄文人は、他の民族と出会う事もなく、縄文文化を地道に発展させてきました。それは、はてしなく変わることがないのではないか、とも考えられる状況だったはずです。

そのような状況において、突如として北部九州にまだ少ないであろう、弥生人と弥生文化が現れたのです。初めて弥生人と出会った縄文人は、どのように考えたでしょうか。

❍初めて見る他民族

インターネットがこれほど盛んになった、現代の日本においても日本人以外の人々に直接出会ったら、まずは「あ、外国人だ」と思うと思います。

悪い意味ではないと思います。むしろ、「外国人だ気を使ってあげないといけない」というような考え方だと思います。良い意味での、島国根性だと思います。

当時の縄文人も、同じように考えたのではないでしょうか。現在の中国人と日本人は混血が進み、同じ東アジア系としてひとくくりにされ、ほとんど区別がつきません。

しかし、当時は縄文人と弥生人の混血は、まだほとんどありません。今以上に、縄文人は縄文人であり、弥生人は弥生人であったはずです。

そして、文化的にも大きな違いがあります。弥生人の多く住む地域は「外国人(異人)の住む地域」といった呼ばれ方をしていたと考えられます。

❍倭国と奴国は縄文人による発音

倭国の倭は「ワ」と読みます。そして、奴国の奴は「ナ」と読みます。現代の日本人でも、なんとなく「わたし(われわれ)」と「あなた(あなたがた)」が思い浮かんでも、おかしくないのではないでしょうか。特に東北地方では、現在でもそのまま使われている地域もあるそうです。

❍初めての異人との出会い

弥生人は、初めはそれぞれの理由により北部九州に現われたと思います。その数も初めは少数だったと考えられます。そして、さまざまな過程をへてある地域に住み始めます

北部九州に住んでいた縄文人がその地域を「われわれ」とは別の存在を意味する「ナ」(あなたがた)と呼んだと考えてもおかしくないのではないでしょうか。

そして、すぐに、北部九州に住み始めた弥生人が、縄文人にとっては食べた事がない食物、を裁培できたり縄文文化とは異なる技術を持っている、ということがわかりはじめます。

すると、その地域の王の様な立場の人は、正式に土地を与えたと考えられます。当然、その時に付けられる地域名は「ナ」になると思います。そこに住む弥生人は、まだ少数であり権力者に従うしかありません。後に奴国となる地域の誕生です。

❍「ナ」地域の発展

「ナ」地域は、北部九州の縄文地域との交流を進めます。縄文地域は、変わった食物や技術を欲しがるはずです。それらをもらう代わりに労働力を提供します。

そして、縄文地域はそれらの生産増を望みます。北部九州にいる弥生人は「ナ」地域へ送られます。南部九州にも漂流したような弥生人が現れたら、こちらに送るよう依頼したかもしれません。

この様にして、発展していった「ナ」地域は、ついに建武中元二年(57年)に後漢の光武帝から金印を授かります。この時、倭の奴国として認められたのです。

その後の奴国についてはこちらを御覧下さい。

❍最後までお読みいただきありがとうございます

今回も、これまではあまり考えられなかった考えではないでしょうか。

この様に考えると、少しでも魏志倭人伝に詳しい人は、「ばかばかしい」というような反応になります。

しかし、冷静に考えてみるとこのような可能性もあるのではないでしょうか。

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