薬膳の「薬」って「くすり」?中華料理のこと?
心と体の記録もできる「薬膳手帳2022」の校正が上がってきて、印刷会社さんと打ち合わせをしました。
私はいつも思いをしゃべるだけなのですが、それをしっかり理解して作ってくれるステキな印刷会社さんで助かります。
新しい印刷物を作っているのですが、話しているうちに、ちょっとまとめてみようと思いました。
今日は「薬膳ってなんなの?なぜ薬膳がいいの?」ということを書きますね。
食べ物には性格がある
心を笑顔にする薬膳師、漢方カウンセラーで国際薬膳師の池田のり子です。
突然ですが…
「エビとブロッコリーのスープ」と、「熱々のトマトスープ」は、どちらが冷え症さんにピッタリだと思いますか?
正解は、「エビとブロッコリーのスープ」です。
「トマトスープはアツアツなんだから、体を温めるでしょ?!」と思いますよね。
でもね、トマトはとても冷やして、エビとブロッコリーは体を温める力をコントロールしている内臓をご機嫌にする食べ物なんです。
熱々のトマトスープは、飲んだときは温まりますが、結果的に体をクールダウンさせます。
温かいもので体温が上がるなら、冷え症さんはずっとお風呂に浸かっていたら治る??ヒーターの前に座っていたら治る??ということになりますよね。
もちろん、治りません…。
体温を上げるためには、体を温めるものと仕組みがしっかり働くことが必要なのです。
「どうやったら温まるかな?」「どうやったら内臓が動くかな?」と考えていくのが、薬膳のベースである中医学(中国伝統医学)の理論。
「これを食べたら冷え症が治る」というものなんて、ないんです。
人それぞれ、体が冷えている原因が違うから。
温めるものが足りない人、温めるためのコンロの火が弱い人、温めようとしているのに火を消す水の力の方が強い人…
原因が違うと対処法も変わりますよね。
薬膳は、その人の体を観察することから始まります。
そして、「治す」のではなく「バランスを整える」ことで、不快な症状や病気がない元の元気な「中庸」の状態に戻します。
食べ物には、温めるとか冷やすという性格があるんです。
それが良いとか悪いとかではなく、「その性格をどう使うか?」が大切です。
そのためには、「自分がいまどのような常態か」を知ることが必要ですよね。
薬膳はなぜ「薬」って書くの?
11月にビストロでコラボイベントをします。
オーナーさんがお客様にその告知をしたときに、「薬膳とのコラボ?!その日は中華料理になるの?」と言われたそうです。
「薬膳ってね、体の声を聞いてバランスを整えるために、食べ物を選ぶことなんです。その選んだ食材でシェフが料理をします。だから、当日もいつも通りフレンチですよ」って答えてくださったそう。
そのことを聞いて、めちゃくちゃ嬉しかったです!!
こういう人が増えるといいなぁ~♡
そのイベントは、こちら。
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どうしても、薬膳というのは特別なものとか、中華料理とか、生薬を使っているとか、病気の人が食べるものと思われますよね…。
そもそも「薬」という文字が入っていますからね…。
この「薬」にはいろいろな意味がありますが、そのひとつが「薬食同源」の「薬」です。
薬食同源というのは、漢方薬の原料である生薬も食べ物も、同じように体に働いてバランスを整えることができるという意味。
温めたり冷やしたりする性格の四性、体に影響を与える5つの味の五味、どこの内臓に対して働くかの帰経、効果効能などがあります。
漢方薬はルールに基づいて、生薬のその特性を活かしてブレンドされたものです。
きちんと体を診断して、バランスを整えるためのルールを守って漢方薬を選べば、きちんと整います。
つまり、気になる症状が出なくなるのです。
生薬は、すべて自然界から生まれたもの。
草根木皮、動物の内臓や骨、貝殻や海のものなどです。
それらで整うということは、同じように自然界から生まれた食べ物も、同じように整いますよね。
そのことを「薬食同源」と言います。
薬膳の「薬」は「くすり」ではなく、「体のバランスを整えるために選ぶこと」なのです。
それを「膳」つまり食事でするから、「薬膳」という表現になるのです。
分かりやすくいうと、「心身をバランスを整えて、ご機嫌になれるご飯」なのです。
「旬の食べ物」が良いわけ
「旬の食べ物を食べよう」とか「旬の食べ物が良い」と言いますよね。
なぜ旬の食べ物が良いと思いますか?
私たちは、自然界で生きています。
暑いとか、寒いとか、風が吹くとか、湿度が高いとか、乾燥するとか…良くも悪くも自然界の気の影響を受けています。
自然界が乾燥すると、体も乾燥します。
最近、のどや気管支が乾燥したり、違和感はないですか?
えへん虫さん、出ていませんか?
声が出しにくかったり、空咳が出たり、皮膚が乾燥したり…。
これらは、自然界の「燥」の気の影響を受けているからです。
でも、その「燥」の気は良いも悪いもなく、ただ「乾燥させる性格」なだけ。
自然界の気は循環しながらバランスを取っているので、必要なことです。
その気の影響を受けてバランスを崩すので、そのバランスを整える食べ物が現れます。
季節ごとに、違うのです。
のどや気管支を潤わせることで乾燥から守るのが、梨。
お盆ぐらいから出てきますよね。
でも、その梨は10月ごろになると少しずつ減っていきます。
それは、梨は少し冷やす食べ物で、秋が深まってくると体を冷やす必要がなくなって、役目がなくなるから。
旬の食べ物には意味があります。
自然界の気の影響を受けたときに、そのバランスを整えるパワーが強いものを選んで食べることで、元気に過ごせるのです。
そう思ったら、旬の食べ物の見方が変わりませんか?
でも、その旬の食べ物が、分かりにくくなっているんですよね…。
スーパーには、年中トマトが並んでいますから。
だから私は、地元で採れた野菜を販売している八百屋さんに行きます。
そこの八百屋さんの野菜はとてもパワフル。
自然のパワーをしっかりいただけることに、感謝ですね。
食べ物の「衣替え」をしよう
お洋服やお布団は、「衣替え」をしますよね?
その理由は?
「だって寒くなるのに、いつまでも夏服じゃ寒いでしょ?」と思いますよね。
でも、食べ物は年中同じ…という方が多いのです。
自然界の気の影響を受けて体が変化するということは知っているのに、食べ物がずっと同じっておかしくないですか?
「バナナがいいから、年中朝はバナナ!!」という方が多いのですが、バナナはとても冷やす食べ物。
夏はいいですが、冬は…??
これが、薬膳なのです。
「自然界と共存しているのだから、自然界の気とうまく付き合おうね」というのが、天人合一(てんじんごういつ)という思想です。
内臓にも影響する自然界の気
秋になったら空咳が出る、冬になったら冷える、春になったらソワソワする…というように、自然界の気は人体に大きな影響を与えます。
この季節は二十四節気です。
8月7日の立秋から11月7日の立冬の前日までが秋なので、今日9月21日は秋になります。
秋の気は「燥」で、肺、大腸、皮膚、鼻などが乾燥しやすいです。
それに対して潤わせてくれるのが、梨、いちじく、はちみつ、白きくらげ、山芋、豆腐などの白い食べ物たちです。
すごく大切な表なので、クリアファイルにしちゃいました♡
体質チェックシートも付いているので、便利でしょ。
自然界と体がバランスを取っているように、内臓同士でもバランスを取り合っています。
西洋医学では、胃が痛かったら胃を見ますが、中医学では「なぜ胃が困っているんだろう」と周りの内臓とのバランスをチェックします。
中医学では良いも悪いもなく、「どちらにバランスが傾いているのか?」を考えて整えていきます。
同じ胃痛でも、その原因は人によって違いますよね?
食べ過ぎたのかもしれないし、冷たいものを食べ過ぎたのかもしれないし、ストレスで力が入っていたのかもしれない…。
西洋医学はたくさんの人の平均値を見て健康かどうかを判断しますが、中医学は自分の平均値を見て判断します。
誰かと比べるのではなく、比べるのは「ベストコンディションの自分と今の自分」です。
比較が悪いわけではなく、比較することで違いを知って、そこで「さて、どうする?!」と考えることが大切ですよね。
これって、生き方そのものだと思います。
だから、中医学の考え方って好き。
自分の中庸を知ろう
薬膳を始めようと思ったときに、まずやってほしいことがあります。
それは、自分の中庸、つまりベストコンディションを知ること。
これは人によって違います。
体温、血圧、尿回数、排便、睡眠時間や質、感情などのベストコンディションをしっていますか?
これって正解はなくて、人それぞれ違いますよね?
私の睡眠時間は、6時間がベストです。
でも、私の友人には3時間寝たらOKの人もいれば、10時間寝ないと無理…という人もいます。
まずは、自分のベストコンディションを見つけてくださいね。
そして、その中庸からどれだけ離れたかをチェックしましょう。
その差が大きくなればなるほど、辛い症状として現れます。
だったら、ちょっと差が出た時点で気付いて、その差を整えたら良いと思いませんか?
そのためには、記録することが一番だと思います。
毎日記録して、「最近、イライラしているな」「あまり眠れていないな」「肩が凝っているな」と自分を客観的に観察することで、中庸に戻すことができます。
私は去年、ストレスから高血圧になって、ドクターからの指示で血圧手帳に記録していました。
そのとき、ふと思ったのです。
「なんで血圧だけなん??」と。
血圧が上がったのは結果であって、「なぜ血圧が上がったのか?」が分からなければ何もできませんよね。
だから、血圧手帳には、感情や仕事の忙しさなどを記録していました。
でも、ある問題が…
忘れるーーーーーー!!!!(汗)
血圧手帳を片付けてしまうと忘れるし、だからといって持ち歩くものでもないし、どうしたもんだか…と思った結果、スケジュール帳と一緒にすればいい!!と思ったのです。
そして、生まれたのが、「咲美堂オリジナル薬膳手帳2022」です。
予定を書き込むスケジュールページと、体調や感情を記録するページがあります。
予定ページと記録ページを見比べると、自分の体調や感情の変化が分かりやすいでしょ?
予定ページはよく見るので、もし記録を忘れたとしても「あ、忘れてた!!」と数日振り返ることができますよね。
もうみなさん、お分かりだと思いますが、自分のために作りました…(笑)
来年は、本当に生き辛い年です…。
これも自然界の気の影響を受けているので、どうしようもありません。
でも、きちんと理解して対応すれば良いと思うのです。
気が上がりやすく怒りっぽくなる年ですが、勢いがある良いエネルギーとして使えば、物事が発展しますしね。
ご機嫌に過ごすために、あなたが望む人生を歩むために、「咲美堂オリジナル薬膳手帳2022」を使ってくださいね!!
詳細とお買い求めはこちらから。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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次回は、9月27日(月)掲載予定です。過去の記事はこちらから
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