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母国語が日本語で感謝していること

普段英語に関する私の想いを書き散らかしているけれども、たまには母国語である日本語のはなしを。


このお題を思いついた当初は
「High Contextな言語を身に付けていること」だの、
「ひらがな、カタカナ、漢字を操れること」だの、
もろもろ考えていたのけど、もうこの1点に絞ることに決めた。


母国語が日本語である素敵な作家の作品を、そのまま読めること


これ以外にあるか?



私はハルキストではないのだが、
あ、いえ、最近読んだこの本、紀行文はめちゃくちゃ素敵だった。



でも彼以上に、私を滾らせる作家が、ふたりいる。


上橋菜穂子と塩野七生


である。

彼女らが作品を公開したあとに生まれて本当によかったと思う。
それはもう心の底から。


ストーリーが面白過ぎて、ページをめくりたくてめくりたくて仕方がない。
けれどそのスピード感に乗ってしまうと、すぐに終わってしまう。
まだその世界観に浸っていたいのに。


こんな気持ちになったのは、うまれてはじめてだ。
まずは、上橋菜穂子から。






「獣の奏者」

「決して人に馴れぬ孤高の獣と、それに向かって竪琴を奏でる少女」という、作者のこころに浮かんだ風景が執筆のきっかけとなった本作品。竪琴を奏でる少女とは、その運命に翻弄される主人公エリンのこと。
彼女の人生を縦糸に、人と獣との関わり、国やそれを治める為政者同士の思惑を横糸に、縦横無尽に進んでゆく。


何故手を出そうと思ったかは定かではない。本屋で渉猟するうちに見かけて、「読んでみたい…でも買うまでもないかな」とでも思ってたような気がする。
当時住んでいた近隣の図書館にて、たくさんの人がこのシリーズを読むための待ち行列をつくっていたことは今でも覚えている。私もそのひとりだったので。2006年11月刊行ということは…川崎市立図書館だったに違いない。


順番が回って来て、「闘蛇編」「王獣編」「探求編」「完結編」と読み進め…




”親ガチャ”について思うところがある方々には、是非お手に取っていただきたい。主人公のエリン、後に夫となるイアルは、その最たるものだと思うから。
次に紹介する「精霊の守り人」シリーズもそうだけども、”親ガチャ”ってファンタジー小説にとって王道の設定というか…主人公が、どうにもこうにも抗い難い運命を背負った出自で、反抗したり闘ったり受け入れたり…というやつ。




「精霊の守り人」シリーズ

もしかしたら、このドラマの方が有名なのかも知れない。実は私も、「獣の奏者」を読んで圧倒されたらされっぱなしで、他のシリーズを漁ることは正直なく。この美し過ぎる映像を見てようやっと、更なるシリーズがあることを知ったのだった。



短槍使いの凄腕用心棒バルサが、青弓川に流された新ヨゴ皇国第二皇子チャグムを救ったことから、この壮大な物語が幕を開けるー。
チャグムはこのとき、この世とは異なる世界ナユグの水の精霊、ニュンガ・ロ・イム〈水の守り手〉の卵を宿していた。そのせいで、国の威信を守りたい父帝は、秘密裏にチャグムを殺そうと画策していたのだった…



マレーシアに来てからドツボにハマった。

もう、何度読み返しただろう。

いや、他に積ん読あるやろ。。。
いや、話の筋覚えてもーてるやん。。。
いや、もう次の展開わかってんやん。。。


それでも私を引き付けて離さない。
いつか、飽きる日がやって来るのだろうか?




「鹿の王」

伝説の病、黒狼病(ミッツァル)を巡る物語。
この病から生き延びたヴァン、故郷を守るために戦った偉大なるリーダー。
彼が、逃避行の最中見つけたもうひとりの生き残り、幼児ユナ。
そして彼らを追う医術師ホッサル、その恋人ミラル。医者である彼らは黒狼病をこれ以上広げないようにと画策していたのだが…
ホッサルやミラルとは別に、意図をもって動く輩たち…




御本人も、外伝「水底の橋」あとがきで触れられている通り、まさか数年の後にCOVID-19が猛威をふるうと思ってもいない中、書き上げられた様子。

本編、外伝はもちろんのこと、ここからどーなんの!?というときに限ってさっと視点が切り替わる上橋ワールド炸裂なんだが、外伝の文庫版に収録されたあとがきが白眉だと私は思っている。自分の単純さを自覚しつつも感動して涙がこぼれたので、引用しておく。

この病が終息する頃、私たちは無残な焼け野原のような世界を目にすることでしょう。でも、私たちの親や、祖父母たちは、焼け野原から立ち上がって、いまの世界を築き上げたのです。
私たちも、やってみせましょうよ。未来を生きる子どもたちのために。この感染症を経験した教訓を生かしながら。いまよりもっと、感染症に強い、明るい社会を作るために。いまいる場所は、苦しいばかりの場所じゃない。
私たちはいま、確実に世界史に残る歴史を作っているのですから。

(「鹿の王 水底の橋」p.457より引用)











塩野七生は過去に何度か言及したので、ここであまりつっこむ気はなかったりする。忍笑

2021年4月時点で20冊前後だった蔵書、今や増えに増えてこんな感じだ。

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最新刊「小説 イタリア・ルネサンス」も手に入れることができたので、じっくり読ませていただこうとほくそ笑んでいる。




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