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提案型営業の神髄とは。

 お好み焼き。大阪や広島にリスペクトはすれど、いまや全国津々浦々、普通に食卓に上る。当たり前のことだと思っていたけれど、その過程には、提案型営業の神髄があった。今日はそういうお話。


「家でお好み焼き」関東でもっと 日清製粉ウェルナ、競合巻き込み売り場提案(2024/12/13日経MJ)

東京17.5%、大阪40.4%。お好み焼きを月に1回以上自宅で食べる割合を調べた、ある調査結果だ。
いまだに関東と関西では倍近い開きがあるが「昔はごくまれに専門店で食べる機会があるかないかだったはず。だいぶ増えた印象だ」

日経MJ 記事本文

確かに、そうかもしれない。かつて、お好み焼きは「お好み焼き屋」さんで食べるものだった。いまは、そうねえ...「焼肉」と同レベルくらいまで行くだろうか、店でも食べるけど、家でも食べる。

なぜか菓子関連材料コーナーに

ヒントは、スーパーマーケットの変化に隠れている。
天ぷら粉やから揚げ粉と同じく小麦粉にだしなどを混ぜた料理用の「プレミックス粉」に分類されるが、なぜかお好み焼き粉に限ってはほぼ間違いなくホットケーキなど菓子関連の材料コーナーに置かれていた。

日経MJ記事本文

ヒアリングしてみると、理由は実に単純だった。東京ではもんじゃ焼きがあり、おやつ感覚で食べられることが多い。東京のバイヤーは、同じようなものだろうと考えてコーナーをチョイスしていた。

日経MJ記事本文

古き良き時代。やり方が少しぐらいズレていても、人が増え、経済が上向きの時代は、それでも売れていった。
いまはそうじゃない。やること全てに、戦略が必要だ。そして、熱意も大切。そのお手本、”提案型営業の神髄”が、ここに。

他メーカーとウィンウィンに

松本氏は店舗の特定コーナーの売り上げを底上げする棚割りを立案した。
棚割りの提案といっても、日清製粉ウェルナのお好み焼き粉が棚を占める割合は一部。競合メーカーのお好み焼き粉、キャベツや揚げ玉、青ノリ、そしてソースなどを潤沢に配置し、生活者目線で理想的な棚割りを考えた。
「自社商品だけ売れればよいという考えはバイヤーに見透かされる。同業、関連商材のメーカーも巻き込んで全員がウィンウィンの関係になり、全員に相互メリットがなければ受け入れてもらえなかっただろう」(松本氏)

日経MJ記事本文より

記事には「イメージしてもらいやすくするために、手作りの図面や商品に見立てたマグネットなどを持参。〝こんな棚割りはどうですか〟などとプレゼンした」ともある。熱意も大切なポイントなのだ。

お客様のお客様を考える

日清製粉グループの24年3月期決算でプレミックス粉の売り上げは、前年比23億円増となるなど好調を維持。調査会社インテージによると、日清製粉ウェルナのお好み焼き粉の全国シェアは42.1%とナンバーワンなのもうなずける。

日経MJ記事本文

業界No.1の戦略の王道はいくつかあるが、今回の事例は、そのうちの一つ「周辺需要拡大戦略」だと見ることもできる。お好み焼き業界全体を盛り上げれば、当然、業界No.1が一番潤う、という理屈だ。

ただ、それだけだろうか?とも思う。
そこには、「お客様のお客様を考える」(今回の場合は、スーパーに来る、お客様のことを考えて提案する)視点が、ポイントだったということなんじゃないだろうか。

お客様は、いろんなお好み焼き粉の中から気に入ったものを選びたい。夕飯をお好み焼きに決めたなら、キャベツや豚肉、青のりも欲しい。
「お客様のお客様が何を望んでいるか」を考えたうえで、お客様に提案するのが、提案型営業の神髄と見た。

果たしてこれを、どれだけの会社ができているだろう。
そんなことを想って、スマホを閉じました(おしまい)。


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NORICON@中小企業診断士
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