【詩】ラベンダー色のシーグラス
ひとさんの「沈黙と花言葉」という小説を短くまとめる形で詩を作りました。
良かったら、ひとさんの原作もご覧ください。
『ラベンダー色のシーグラス』
浜辺で拾ったガラスの欠片
紫色のシーグラス
どこから流れ着いたのか
思いを馳せた君と僕
花の名を覚えるのが苦手な僕に
ラベンダー マーガレット ヒヤシンス
季節と合わせて教えてくれたね
世界中の花を写真に収める
それが君の夢だった
いつかいなくなる事は分かっていたはずなのに
それは突然訪れた
"戦争が始まりました"
それが君を動かした
「あなたは、どうする?」
君の声が再生される
僕は一人 海に立っていた
君へと続く波音を聴いて
君へと続く夕焼けを眺めて
水平線の向こう側を
「行ってきます」
あの日の君のまっすぐな目を
思い出しては泣きたくなった
本当は君のすべてを受け止めたかった
分かり合えない僕ら
混ざり合えない世界
恋や夢なんて叶わないんだ
あの日 海の向こうへ旅立った君
結局 何も伝えられずに泣いた僕
あの日の自分の弱さを何かのせいにしたかった
「戦争のバカヤロー」
違うんだ
バカヤローは僕
女々しくて
大人になれなかった僕
弱い弱いこんな僕だから
君だって何も言えなかったよね
もう二度と君とは会えないのかもしれない
いつ死んでもおかしくない
そんな戦地で君は……
“戦場に咲いた「奇跡の花」”
ニュースが伝えた君の活動
胸元で揺れたラベンダー色のシーグラス
まっすぐな眼差しがあの日のように問いかける
"あなたは、どうする?"
「君に会いたい」
流星雨のように流れるミサイル
「君に会いたい」
君の名前を繰り返す
何度も何度も繰り返す
「君に会いたい」
「君に会いたい」
花なんて植えても育たないと言われた土地で
君は種を蒔き
ついには花を咲かせた
僕は何ができるだろう
君と会いたい
君とまっすぐに向き合える自分になって
"あなたを待っています"
ラベンダーの花言葉に答えるように
©nori
2024/11/15