短歌 初夏の安らぎと万葉集
お出かけしたり、某感染症に罹患したりで、気付けばもう6月もおわり。
しばらくお休みしていましたが、久しぶりの短歌投稿です。
もっとぴったりな表現ないかな?
相変わらず言葉探しに四苦八苦していますが、そんなとき手元にある万葉集のページを捲ると意外にも、これいい!という言葉に出会えることがあります。
万葉集に収められた歌はおよそ4500首。
とても全部は覚えられませんし、覚えるつもりもありません。
ですが、その折々でピンとくる歌というのはあって、何度か声に出して詠んでいると「音」として自然とあたまに残ります。
これを少しずつでも、積み重ねていけたらいいな。
🌙万葉歌貯金🌙
ためて、つかって、語彙をふやす
短歌づくりに役立つうえ、
万葉の地(奈良)をめぐるときの楽しさも倍増!
どんどん貯金していこう!
今回の短歌にも、万葉歌でいいなと思った言い回しを使っています。
それでは、初夏の短歌をどうぞ。
33.
夏の朝 静寂に響く カッコウの
鳴く声聞けば きょうが始まる
春から夏への移り変わり、カッコウの鳴き声をひとつの目安にしています。あの声が聞こえたら、もう初夏。
彼らはたいがい朝早い時間に鳴くため、静寂のなかにとてもよく響くのです。耳に心地よい天然の目覚しですが、毎日同じ時間に鳴いてくれたら尚いいのになぁ・・・
カッコウの鳴き声で一度目が覚めて、それからまたうとうとする。この時間がたまらなく贅沢でお気に入りです。
34.
風そよぐ 木陰に涼み 水辺には
紫匂う 露草の花
初夏を感じさせる花、ムラサキツユクサ。
これはわたしの勝手なイメージですが、春は黄色の花、初夏は紫色の花が印象的に映ります。燕子花、菖蒲、鉄線、なかでも紫露草は可愛らしくて好きな花。
匂いたつように美しい花の近く、
風と水の音を聞きながら木陰で涼んでいると
「何がなくとも全てが在る」
そう感じます。
35.
白と黒 八十八の 音の海
ソラから空へ 満ちる安らぎ
6月のなかば、知人が営むカフェ&ギャラリーで催されたプロピアニストの演奏会へ行きました。
この方の奏でる音は、他の誰にも真似できない安らぎの音。
はじめは昔の癖で一音一音追いかけていた耳も、やがてそれは無意味だと気付いてからは、音の海のなかにゆったりと身をゆだねます。
ただ、感じていればいい。
88の鍵盤から生まれる倍音。
穏やかな聴衆の気配と融けあいながら会場に満ちた音は、すこし開いた天窓から青空へ向かって昇ってゆきました。
そろそろ、真夏の足音が聞こえてきそうです。
蒸し暑かったり涼しかったりお天気に翻弄されますが、みなさん無理せず、体調にはくれぐれもお気をつけくださいね。