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【今年の抱負】フリーランスでも、仕事を断ることにした。

明けましておめでとうございます。
なんか、クリスマスから我が家だけワープしたのかな?ってくらい記憶がないのです。

まず、年の瀬でごった返す六本木駅のホームから担架で運ばれたのは、クリスマスに浮かれていたわずか数日後のこと。まさに一寸先は闇。
ここ数年、稀に脳貧血のような症状が起こる日があって、この日がそうだった。

吐き気、めまい、ふらつき、視界が徐々に失われて急に立っていられなくなり
移動途中の電車からどうにか降りたのが六本木駅で、そのまま倒れたようだけど、横になって数時間休めばおさまるというのもいつも通りだった。

忙しない年末、早足で人の行き交う六本木駅では一瞬でまわりに人だかりができて、駅員さんが来るまでの時間もたくさんの人が立ち止まり、膝をついて声をかけてくれた。
水を買ってくる人、わたしの手の震えなどを見てパニック障害などではと心配してくれる人もいて、都会の人も優しいじゃないか、なんてことを狭い視界でぼんやり思った。

その後、一家全員流行りのインフルで全滅し、ようやく人らしい生活を取り戻して、今。
今年のテーマは、何よりも健康。体も心も健やかな毎日を送ること、としたい。
そのための努力を、きちんとする。

春に出版社を退職し、フリーランスになって約8か月経った。
探り探り仕事をさせてもらって、今は以前いた会社から都度仕事を受注するスタイルで落ち着いている。

仕事をいただく立場なので、基本的に断ることはしないというマインドでやってきた、はずだった。
会社にいた頃の信頼関係があるといったって、その上にアグラをかいちゃいけない。
無理しないのんびりペースで仕事がしたいなんてこちらの都合でしかないし、そんなことをしてる間に何も話が来なくなる、という可能性だってもちろんあるし。

でも実は、秋頃の書籍の仕事で、結構ダメージを負ってしまった。
忙しかったとか、体調を崩したとか、そういう物理的なダメージではない。

わたしの心に今も火傷跡のように残っているのは、あの時後悔の念とともに刻まれた、この本が発売されるのがこわい、という怯えのような最低なダメージだった。

フタをあけてみればとんでもないスケジュールだったもんと、もしも言い訳なんかが許されるならばそういうかもしれないけれど、下準備も知識も時間も何もかもが不足した状態で、全く手応えというものがなく上澄みばかりをすくうように進んでしまった。
どうにか形にした、それだけのものだった。

いつも発売に先駆けて送られてくる見本誌が、どういうわけだかそれに限って送られてこなかった。送るという連絡は来たし、すでに発売もされたし、その他の見本誌はその間も問題なく届いているのに、である。

だけど、それにほっとして、このまま見たくないと思ってしまう自分がいた。

おそるおそるサイトで見ると、書籍自体は、意外にも好評な様子。
著者さんも連日、嬉しそうにPRしている。

でも、わたしはその本を見るのがこわい。
こんな失礼なことがあるだろうか。

こんな仕事の仕方をしてはいけないと思った。
お金を稼ぐことはもちろん大切だけど、自分なりにも納得のいく、きちんとした仕事をしなければならない。そのための分量とスケジュールは自分で責任をもって守るべきだ。

だから、ちゃんと仕事を断ることにした。
断るときには、とにかく光の速さで断る。
ここで少しでも時間を食ってしまったりしたら申し訳ないし、わずかでも進行を止めたくない。

期待に応えられないことについ罪悪感をもってしまうけれど、案外先方からもサッパリした返信が来る。
無理な時はいつでも言ってくれていいというのは、本当にそうなのかもしれない。
だって、代わりの人はいるのだ。

自分が楽しめずに追われていると、どうしても労力を搾取されているような被害者意識がわいてくる。これはフリーランスになってからはじめて感じたものであり、この感情は時々あらわれる。
組織に属していないと大きなものを責めたくなるけれど、それは、すべてこちら側の問題である、とわたしは整理した。
今の自分の望むライフスタイルとのバランスが合っていないのだ。

正直、傷がまだ癒えていなくてわたしはいま少し仕事がこわい。
でもこれを取り戻すのも仕事でしかできないんだろうと思うから。
今年は無理も背伸びもせず、本の発売をワクワク待てるような、そんな仕事を着実に積み重ねていけたらいいな。


息子は、今年の冬休みが意外にも「すごくよかった」という。どこにも行けなかったけど、寝たり起きたり3人ずっと一緒にいて、そのとき動ける人が動けることをし、互いをいたわりあったお休みが、しあわせだったのだという。


家が好きな彼らしいな、と思う。
どこかに出かけるよりも家で過ごしたいと思ってくれているうちは、いつだって、好きなだけ家にいられる環境にしてあげたい。

いまの私なら、それができるのだから。

今年も、穏やかな1年を過ごせますように。



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