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北京入院物語(75)

 効果などはじめから考えていなかった私は、のんびりしたもので、喫茶店で時々出会う酒谷先生に「その後、どう?、何か変化でもありますか?」と聞かれて、やっと自分の変化に気がついたようなしだいです。

 初めて酒谷先生に会ったころ、私はお辞儀すら出来ず、車椅子の上に突っ立っていたそうで、先生いわく「まるでお地蔵さんみたいにじっとしていた」と感想を聞きました。

 その石のお地蔵さんがむっくりと動き、車椅子の前の方に体をかがめ、手が床に触れそうなくらいお辞儀をして起き上がって見せたのです。
先生は外科医だけに修羅場や人の死を目にする商売です
少々のことではたじろがれる人ではありません。
そのときも特に驚かれた様子はありませんでした。

しかし、その後、先生が書かれた本の中で、この場面は以下のように紹介されています。

(なぜ中国医学は難病に効くのか
「脳神経 外科医が見た『不思議な効果』より引用)

 わたしが経験した最も驚くべき効果は、稀な筋肉の変性疾患に対する治療例でした。これは第三章に治療内容や経過を詳述しますが、西洋医学的治療を二十年近く行っても全く良くならなかったケースです。わたしはこのケースに遭遇して以来、中国医学には本当に優れた治療効果があることを実感し、科学的な研究を行う価値があると確信したのです。
(中略)
 それが誰の介助も受けることなく、自分で身体を起こせるようになったのです。車椅子に真直ぐ座れるようになったことを聞いた時は、本当に筋力が戻ったためなのか、何か別の要因があるのか、いささか疑問に思いましたが、今回のは明らかに背筋力の回復を示している、と確信しました。
北京入院物語(76)

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