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このnoteは、初任者、2年目3年目の若手の先生を対象に、教員として役立つ知識をお伝えしています。

さて、皆さんは給食指導をどのように取り組んでいますか?

コロナ禍の前と後では随分様変わりしました

コロナ禍の前は、給食の時間と言えば楽しい時間でした。

グループごとに机をつけて、和気あいあいとおしゃべりしながら会食したものです。

おかわりだって自分でよそっていましたし、給食を食べながら簡単なレク?やクイズ?みたいなことだってやっていました。

放送委員がお昼の放送で歌を流せばみんなで歌ったものです。

ですが、コロナ禍では給食の様子が様変わりしました。

黙食。

誰一人として、しゃべってはいけません。

グループではなく全員が前向きで給食を食べることになりました。

おかわりは全部教師が一人で取り仕切ります。

給食は静かでつまらないものとなりました。

そんな給食でも、子どもたちは大好きです。

基本的には。

基本的には?

つまり、例外があるということ。

給食の時間が苦痛だと感じる子もいる、ということです。

それはどんな子かというと、「好き嫌いが多い子」、「食べるのが遅い子」です。

そういう子にとって、給食の時間は苦痛の時間です。

私自身、昔から給食は苦手でした。

もう少し正しく言うと、牛乳が嫌いでした。

だから、毎日出てくる牛乳をどう攻略するか、日々悩んだことを覚えています。

牛乳を克服できたのは、小学生5年生の頃です。

味わわずに一気飲みすることで、牛乳の味を感じないで飲むことができるようになりました。そうなると、牛乳はほぼ水と変わらないので、私にも飲めました。


そんなふうに、給食の時間が苦手な子もいるわけです。

さて、そこで担任として頭を悩ます問題があります。

給食指導はどうすればいいの?

給食指導ってそもそもなんでしょうか。

文科省「食に関する指導の手引」によれば、給食指導とはこんなものをいうようです。

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 給食の時間に行われる指導は「給食指導」と「食に関する指導」に分けることができます。
 「給食指導」は、給食の準備から片付けまでの一連の指導の中で、正しい手洗い、配膳方法、食器の並べ方、箸の使い方、食事のマナーなどを体得させる場面です。日々の指導は学級担任等が主に担いますが、運営や指導方法については栄養教諭と連携し、学校全体で統一した取組を行うことが必要です。
 また、「食に関する指導」は、学校給食の献立を通じて、食品の産地や栄養的な特徴を学習させたり、教科等で取り上げられた食品や学習内容を確認したりするなど、献立を教材として用いた指導を行う場面となります。この指導は、栄養教諭による直接的な指導や資料提供を行う等、連携をとって進めることが大切です。

 給食指導とは、準備から後片付けまでの仕方の全てを体得させる一連の指導のことです。もう一つ、食に関する指導は、栄養や産地、旬の食材などの学習を行うもの。

 どちらも大切ですが、まず基礎として、「給食指導」の仕方を担任は体得すべきです。

とある担任の給食指導

 ここからは、あまり偉そうなことはいえない経験10年の中堅教員である私の、給食指導の要点をかいつまんでお話させていただきます。

①手洗いの徹底

 まず基本中の基本として、全児童に手洗いを徹底させます。中学年以上なら、保健体育の授業や高学年なら家庭科とも関連させながら、手洗いの大切さを伝えます。

 とくにコロナ禍ですので、ウィルスは手を媒介にすることを伝えるといいですね。

②給食当番への指導

・盛り付け指導

 まず教師が、どれくらい盛り付けるかを例示します。そして、子どもには均等に配るように指導します。

 子どもたちは列ごとに並んで、お盆をもち、順番に給食をもらいます。この時点で多めや少なめの希望を取りません。取ると、配膳が超時間かかります。だから、均等に配るよう指導します。

 そして、増やしたい人は後で教師が配るようにします。

 同じ量を適切に盛り付けることができるようになることは、給食当番への指導に大切な要素です。

・こぼれたりはみ出したときの指導

 お椀から具がはみ出すことがあります。多くは、汁物です。そういうときには具材が落ちないようにおたまですくって入れてあげるよう指導します。相手の気持ちに立って配膳できるように声掛けを行います。

③食事中のマナーの指導

 好ましいマナーを教え、マナーを身につけることができるように促すのが担任の仕事です。

 例えば…

・お箸を持っていない手を机の上に出す。

・刺し箸や移り箸、寄せ箸などのマナー違反をしないよう教える。

・茶碗にご飯粒を残さないようにする。

挙げたらキリがありませんが、このようなマナーを大切にします。

ポイントは、マナーを守る意味を伝えることです。

例えば、左手を机の上にのせずに食べていたり、肘をついて食べている児童がいるとします。

そういうときには、「机の下に手があると、背中が曲がって姿勢が悪くなります。」「肘をつくと、肘がお椀にぶつかったときにお椀がひっくり返るからやめましょう。」などと、理由を話します。

理由の妥当性よりも、理由を伝えることそのものに価値があります。

たんに「マナー違反だからやめましょう。」というのではなく、どうしてマナー違反なのかを伝えると効果的です。

なので、教師自身がマナーをわかっている必要があります。

先程引用した「食に関する指導の手引」にも、「教師自身がマナーを守ること」ということが書かれていますよ。

④おかわり指導

食缶の中に、まだ給食が残っている場合があります(というか、ほとんど)。

そういうときには、おかわりを促します。

おかわりで大切なことは、「公平性」です。

子どもの世界で最も嫌われることは、「不公平」です。

先生のお気に入りの子にはたくさんおかわりを与えて、そうではない子にはおかわりが少し…こんなえこひいきをしては絶対にいけません。

均等にいきましょう。

サービス精神は敵です。おかわりしたい子を先に聞いて、残り分÷おかわり人数で大体これくらいの量をみんなに配る、ということを目星をつけてから配りだします。

早いもの勝ちにするよりも、ある量を希望者全員で均等に分ける、と考えましょう。

そのほうが公平です。

小学校の給食において、公平が正義。これだけは覚えておいてください。

ちなみに、個数が決まっているパンなどのおかわりについては、私は希望者が多い場合はある程度小さくして、なるべく多くの子がおかわりできるよう配慮します。

おかわりする人の決め方はじゃんけん。じゃんけんして先生に勝った人が勝ち残る方式を取ります。それが公平です。

ちなみに余談ですが、おかわりをゲットした子が「よっしゃ!」と言ったことに腹を立てて意地悪をした子が昔いました。どんだけ了見狭いんや…。

でもそういうことです。子どもにとって、おかわりとはシビアな戦い。戦場です。クラスの実態によっては、「よっしゃ!」と言わず、喜ばずに黙っておかわりを取りに来るよう指導したほうがいい場合もありますよ。

笑い話じゃないです。本気ですよ。

⑤片付け指導

片付けは、まず給食当番が最初に片付けて、食缶の前に立ってもらいます。そして、列ごとに呼んで片付けます。当番は残した子のおかずを食缶に入れていくようにします。

片付けのときに気をつけなければいけないポイントは、食器を割ることです。

陶磁器タイプの食器を使っていると、落とすと割れます。

多くの場合は、割れるから落とさないように慎重に持ってくることを指導しますが、それでも割るときには割ります(笑)。

なので、お盆を両手で持つことを徹底してください。

余談ですが、

「食器を割ったこと」に対しても指導が必要ですよ。

私の場合は…

1.怪我がないか確認する
2.どうして割ってしまったのか言わせる
3.どうすれば割れないかを言わせる
4.栄養士の先生に謝りに行かせる

です。

あと、割ってしまったのに「ごめんなさい」が言えない子が最近多いです。こういうこともマナーですので、「悪いことをしたら謝ります」と指導します。

最近の育児書には、「ごめんなさいといきなり謝らせてはいけない」と書いています…。私は、明確にそれを否定します。

育児書には、「善悪の判断がついていない子に、強制的に謝らせてしまうと、自分が悪いと思っていないのに謝る子になってしまう」と書かれているようです。

うーん…確かにそうかもしれませんが…

結果どうなったかというと、現場では謝らない子が激増しています。

「悪いと思っていないのにどうして謝る必要があるの?」と言われます。

いや、それはあなたが悪いことをしているから、謝るのが当然でしょ?とこちらは言うのですが、通用しないんですよね。開き直るんです。

「ごめんなさい」は、「私は今やったことを悪いと思っている。」と相手に伝えることです。

伝えることで、被害を受けた相手も「反省しているのなら次はこうしてね」と穏やかに話をすることができるというもの。

でも、はじめに謝らないと、「謝らないということは、悪いと思っていなのか?」と、こんな話からスタートするわけです。

レベルが違うところからスタートすると厄介なわけです。

「ごめんなさい」は挨拶の1つです。「こんにちは」「ありがとう」と同格です。でも、子供の中ではなぜか「ごめんなさい」は別格です。

挨拶は、コミュニケーションを円滑にするために重要です。

だから、私は自分が悪いと思ったらどんどん謝ります。

謝ると負け、みたいなくだらないアメリカニズムは捨てましょう。

日本はまだ訴訟社会ではありません。いいんです。

どんどん謝れば。

だから、子供にも謝ることの大切さを、給食の時間にも教えてあげます。

⑥ワゴンへの片付け

教師は給食ワゴンへの片付けまで一緒に行います。

当番と一緒に片付けていると、よく働く子とそうでない子がわかってきます。よく働く子を見つけて、本人に直接フィードバックをしたり、通知表なので保護者に伝えましょう。

それが好循環を作ります。

⑦好き嫌い指導

これが、最も担任を悩ませる問題です。

好き嫌いについてどう指導するか。

この問題については、賛否両論があります。

・強制的に食べさせるか

・無理して食べさせないか

私は、無理して食べさせない派です。

なぜなら、理由は3つあります。

1.好き嫌いはナーバスで個人的な問題だから

2.クレームにつながるから

3.厳しい指導は給食時間を辛いものにしてしまうから

 好き嫌いは個人的な問題です。はっきり言うと個人がとやかくいう問題ではありません。ですが、教育的な観点からいうと、とやかく言う問題です。

 担任は、子どもが適切な栄養を摂取することを促す仕事があります。なので、偏った食事を認めてしまうと、栄養が偏ってしまうというわけです。

 ですが、私の個人的な問題としては、苦手なものを食べなくても他のもので栄養を補給できるなら、それでいいと考えています。

 なので、残した子には、残したことでどういう栄養の偏りが生まれ、結果こんな健康被害が予想されると話します。その話を聞いた上で、苦手なものを頑張るかどうかはその子に委ねます。

 さて、さらに給食指導はクレームに繋がりやすい案件です。なぜなら、食事という経験の9割9分は、家庭での経験がもとになっているからです。

 子どもの好き嫌いは、家庭での食事環境に大きく影響されています。

 なので、給食を食べないということを親に話すと、親は「自分の家庭での食事に文句を言われている」と受け取ってしまう場合があります。

 そんなわけで、食事の問題は家庭環境と大きく関わるので、親に話すときには事実として給食の好き嫌いがあることを伝えますが、あまり深入りしないようにしています。是非はあると思いますが。

 そして、あまり強く指導しない最大の理由は、3番です。言わずもがなですね。

あと1口の声掛け

 ただ、私も全く何も指導しないわけではありません。

 例えば野菜が苦手な子にも、「あと1口頑張ろう」と声をかけます。

 昨日の自分より1口多く食べられるようになったら、成長だよ、と話します。

 食べることによって称賛される。そんな声かけを行い、頑張った子を褒め称えます。

 そうやって、少しずつ食べられるようになればいいと考えています。

最後に

 長くなってしまいましたが、大体のことは話しました。

 他にも、多くの子が給食がもっと食べられるようになる方法がありますが、今回は長くなりすぎたので割愛します。また、どこかの機会で話せればなぁと思っています。

 給食指導は悩みどころのポイントだと思いますが、じっくり取り組んでみてはいかがでしょうか。


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