のの花だより1月号
冬です。水を飲みましょう
水の美味しい季節になりました。昔から「寒の水」と言うように、一年で最も清らかな真冬の水は、私たちの身体にとって天然の薬となります。ぜひとも身体の隅々まで沁み渡らせ、いつまでもみずみずしい若さを保ちたいものです。
昨年この「のの花だより」を発行しはじめた時に「真冬は冷たい水を小まめに飲む」という話を書きましたら、何人かの方から「冬に水を飲むなんて聞いたことなかったけど、やってみたら何だか調子がいい」というお声をいただきました。 「そういえば身体の節々の痛みがなくなった」とか「肌の乾燥がいつもよりマシ」「風邪をひいてない」などなど。
そして真冬にしっかり身体を潤しておくことは、花粉症や倦怠感など春先の不調の軽減にも繋がりますから、毎年春が憂鬱だ、という方は、ぜひとも一度試してみてください。
ここで言う「水」とは、この季節の常温、5℃以下の生水のことです。白湯のように一度沸かした死んだ水、お茶やジュースは含みません。 目の下が黒くなって浮腫んだ顔を「白湯顔」といいますが、白湯は本来、風邪ひき時のデトックスなどに効果的な飲み物で、日常的に大量に飲むものではありません。身体に良いと思って過剰に飲み続けると、腎臓に負担をかけることになります。
この季節の冷たい水も、一日2リットルとか大量に飲む必要はありません。一度にガブガブ飲むのではなく、あくまでも「浸透させる」イメージで、少しずつ、小まめに飲むのが最も身体に吸収されやすい飲み方です。大切なのは量ではなく頻度、と心がけましょう。
お風呂で飲むと特に美味しく、身体に沁み渡っていくのが感じられますので、ぜひペットボトルや水筒に冷たい水を入れてお風呂に持ち込み、チビチビと飲んでください。 出来れば最初のひと口、ふた口は、しばらく口に含んでから吐き出して、3口目くらいからやっと飲み込むようにすると、身体の水を飲みたい欲求が刺激されて吸収力が高まります。
冬場はどうしてもお茶など温かいものばかり飲みがちですが、カフェインが含まれる飲み物はその利尿作用で体内の水分が過剰に排出され、身体は余計に乾燥してしまいます。
髪のパサつきやフケ、肌の痒み、踵やくちびるのガサガサ、口の周りが粉をふいたようになっていたりするのは水分不足のサイン。意外ですが涙目や透明な鼻水も、乾き過ぎた粘膜を潤そうとする作用です。
また、トイレが近くなるから、浮腫むからといって水分摂取を控えるのも逆効果。そのような心配のある方こそ、寒の水を小まめに身体に浸透させ、身体の保水力と弾力を高めて下さい。
あとはいつもお伝えしているように足を冷やさないこと。冷えを感じたら足湯(そくとう)で早めに解消しておくと、頻尿や風邪の予防になります。
年末年始は食べ過ぎや、忙しさからの緊張続きで知らない間に身体に疲労が溜まりがちです。短くて良いので、意識的にホッとしてポカンとする時間を取ってください。足湯や、眼に蒸しタオルを当てる時間が最適です。
水を飲むのも、足湯をするのも、ほんの少しの手間。そんなささやかな時間と手間を自分にかけてあげることで、今年も一年間、美しく健康に、溌剌と過ごしましょう。
生死を分ける一字
年末年始は美味しいものをたくさん食べましたか?私は普段、なるべく摂取糖質を抑えるため、米や小麦で作られたものは控えるようにしているのですが、冬になってからはお菓子を焼きたい欲求が高まって、ついつい甘いものを食べてしまったりしていました。そろそろ一度、一日断食でもして身体を立て直さないといけなぁと感じています。
整体の世界では、小正月から節分くらいの間に「禁糖」といって十日から1ヶ月くらい、砂糖、みりん、はちみつなどの甘味を食事から一切抜いて身体の状態、特に味覚や食欲をニュートラルポジションに戻すという調律方法が取り入れられています。
野口晴哉先生の時代には無かったかもしれませんが、現代ではこの禁糖時期に甘味だけではなく精製アミノ酸(出来れば酵母エキスも)も排除するようにしています。
というのは、グルタミン酸ナトリウム(原材料表示でアミノ酸と表記されているもの)は脳に旨みの刺激を送り、もっともっと食べたい欲求を起こさせるからで、しかも旨みという刺激はあるものの、本来その味のもの(肉や魚)を食べた時なら得られるはずの栄養は含まれていないので、細胞は飢餓感を感じて余計に食べ物を欲するという悪循環に陥るからです。
この仕組みを知れば、スナック菓子やインスタントラーメンのようなアミノ酸で味付けした中身がスカスカの糖質の塊というのは、まさに食べれば食べるほど飢え乾く、悪魔の食べ物だとよく分かります。
米や小麦、じゃがいもなどの高糖質食品も食べれば食べるほど、氣づかぬうちにどんどん量を食べられるようになっていくものです。逆に、一定期間、完全に摂らないようにすると、食欲が正常化して、制限前のようにご飯や麺、パンをたくさん食べなくて済むようになります。
禁糖、糖質制限でこういったことを体感すると、「食べたいものを好きなだけ食べるのが幸せ」という一見もっともな意見も、その「食べたい」って本当に私の身体や心が欲しているんですか?中毒症状じゃないですか?アミノ酸や糖質に憑依されて操られていませんか?と見極める視点が持てます。自由に食べることを楽しんでいるつもりで、実は食欲に支配されているだけなんて滑稽ですから。
野口先生のよく言われることに、断食して食わなければ健康になり、食べ物がなくて食えなければ死ぬ。生死を分けるのは「わ」と「え」の一字の違いに過ぎない、という洞察があります。何をするにも、自発の行為であるときは強いのです。
糖質や精製アミノ酸のもたらす偽の食欲から自由になると、かなりの程度で、実はそんなに食わなくても大丈夫、と自分の生命に対する信頼感が高まります。
5種6種の前後体癖の人などは、なかなか食事を抜くことへの抵抗が強いですが『3日食べなきゃ、7割治る』という本があるように、特に怪我や病気の時は、食べなけれは早く回復するのです。消化にかける膨大なエネルギーを、回復のために使うことが出来るからです。
「病気になったら膨大な治療費がかかるから保険に入っておこう」というスタンスと「食べなきゃ治る」と、どっちが楽で安心の世界でしょうか?
癌や糖尿病になる食生活はそのままに、他人に薬や手術でどうにかしてもらおうというのも有りですが、まあまあ大変でしょう。そんな他人任せにせずとも、自分の身体で作り出してきたものは自分の身体で治せるのが当たり前なのです。もっと自分の身体の力を信頼して欲しいなと思います。
整体のおたよりなのに、いつも食生活のことばかり書いてますが、整体的に観て病気・不調の原因は、食べ過ぎ、冷え、偏り疲労、精神的ストレスの4つしかなく、現代ではこのうち「食べ過ぎ」が半数近い割合を占めています。
食わぬの「わ」はまさに生死を分ける一字なのです。
↓↓↓印刷用はこちら↓↓↓