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読むまちづくり

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2020年12月の記事一覧

「町内会加入率の低下」を疑ってみた。

 まちづくり活動支援者界隈では、「町内会加入率が下がっているから向上させるべきだ」という話題は、日常的に聞かれるところであるし、各自治体でも様々な支援策を行っていることはよく知られている。  一方で、この町内会加入率というものの扱いをどう考えるか、という話は議論の種にもなってきた。そもそも加入率を明らかにする試みといっても、その調査は町内会長へのアンケートという、かなりバイアスのか買ったものになりがちで、実際問題その地域に住んでいる人のどれくらいが、いわゆる町内会という組織

今年の私のnoteはこんな感じだったみたい。人気記事まとめ。

 人気だった記事はこちらみたい。  思ったより書けてたねー。人気記事は結構意外。多分反応の数で集計しているから、後半に書いた物はランクインしにくいんだろうね。お時間のある方は読んでみてねー。

まちつかいリテラシー格差問題〜競合と戦うか、手を組めるか

 時々Twitterなんかで、「生活に困ったら使える補助金一覧」みたいな情報が回ってくるじゃないですか。ああいうの見ていて面白いなといつも思うんだけど、行政サービスって、使う側にもリテラシーがいるんですよね。行政の出す文書って独特の言い回しが多いので、「誰でも読んで意味がわかる」「誰でもちゃんと書ける」わけではないんですよね。なので、行政書士みたいな仕事もある。  そもそもで言えばあらゆるサービスがそうなんです。例えばスマホひとつ取ったって、使い方分からない人にはもう触るの

意外な事実は求められていないという話

 ちょっと変な言い方になるけど、研究は「意外な事実」を明らかにする場合があるが、人々は「意外な事実」を求めていないことがしばしばあるんだね。「欲しい事実」っていうのがあって、それと違う結論を認めないというか。  例えばいくつかの研究は、マンションなどの共同住宅の開発がなされると町内会加入率は低下するが、一方で地域活動は活発になる傾向が明らかにされている。しかしそれは、「マンション住人が町内会に入らないせいで活動が満足にできない」という物語に生きる人々からすれば「意外な事実」

「マス層にガバッとリーチ」するつもりなら、投入資源がそもそも足りない問題

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世間に「ナメられる不安」を管理するために刀を帯びる人々

 ヤンキーが攻撃的なファションを好むのは、警戒色だっていう説を聞いたことがあって、僕はその説が好きなんですよね。 多くの生物は、保護色を備えたり他の物に偽装する擬態を行うなどして、外敵から身を隠している。それに対し警告色を持つ生物は、敢えて外敵に目立ちやすい体の色や模様を持つことにより、自身に手を出すと危険が及ぶぞと警告を発し、自身の安全を確保するものと考えられている。それらの多くは、実際に毒を持っていたり、不快な味や臭いの元となる化学物質を含んでいたりする。 これは、敢え

「まちづくり人材」とはそもそもなんであったか?

まちづくり人材を発掘したい支援者たち 先日、とあるまちづくり活動支援者の研究会で、「まちづくり人材」をどう発掘していくのか、というお題で講演を依頼されまして。  というのも、たとえば「まちづくり講座をやります!来てね!」という呼びかけで参加して来るような人って、やっぱりマイナー層で。ゼロではないだろうから、最初はある程度参加者が見込めるでしょうけど、やればやるほど伸び悩むわけです。  それに対しその研究会では、マイナー層では満足していないわけですよ。メジャー層にまでまちづ

「連携ファンタジー」はなぜ生じるのかって話。

 時々思うんだけど、どうも世の中には「異なる団体が連携さえすれば、何事もうまく行くはず」というふわっとした期待があるようで、それを僕は「連携ファンタジー」と呼んでいて。  「異なる団体が垣根を超えて協力すると、良いことがおこる」という理屈って、よくよく考えると自明ではないんだけど、なぜか信じられている。  当たり前だけど、そもそも価値観も目的も異なるから別団体になるんであって、その二つが集まると当然すれちがいも軋轢も生まれるだろう。だから、クラピカさんなんかは「拙い連携は

お洋服屋さんはお洋服を売るために、そのお洋服を着るTPOを売ってる、って話。

 以前、誰かに教えてもらったことなんですけど、ゼロ年代からお洋服屋さんが家具とか食品も商ったり、ワークショップのようなイベントを企画したりし出したんですよね。セレクトショップなんていわれたりして。で、なんでそういう業態が発達したかって言うと、お洋服が飽和したいま、よほどの服好き以外にも洋服を売るには、その洋服を着るようなTPOをセットで売らないといけないからだ、という話だったという記憶がある。TPO、つまり、そのお洋服を必要とするような、ライフスタイル自体を売るんだ、というわ

他人には「自分の機嫌は自分でとってほしい」けど、「俺の機嫌は他人にとってほしい」人の話。

 よく「自分の機嫌は他人にとってもらうんでなく、自分で取るのが良い」というじゃないですか。その話は、その通りだと僕も思うんですけど、じゃあ自分で自分の機嫌をとるためにはどうしたらいいのか。おもうに、何事も資源の投入なしにはなし得ないとするならば、自分の機嫌を取るという結果を得るのにも、資源の投入が必要であり、そこで投入される資源とは、「他人から引きこもって自分をケアするための時間と空間」なんよな。  思うに、その時空の利用を他人が許さない場合に、人は報復措置として、他人に機

なぜわたしたちは「まちづくり人材」を「発掘」しようとするのか。

 最近、「まちづくり人材をどう発掘するか」っていう話を考える機会があって。これ、面白いなあと思ったのですけど、それはどう面白いかっていうと、「そういう問いが立つ世界観」が面白いなと思ったんですね。  この世界観では、まず人材を「発掘する対象」とみなしているんですね。にしても、面白くて。例えばコンビニが店員をやってくれるアルバイトの人を探すとき、発掘って言わないと思うんですよ。労働条件と対価を示した募集チラシを貼って、それを見て応募してきてくれた相手と同意できたら、じゃあ来週

定義の上では俺も魔法使いだって話。

 ふと「魔女になりたい」って思ったんですよ、急に。で、まずは勉強だと。調べると、こういう本があって。  どうもね、魔女ってのは、女性でないとなれないものなわけではなく、男性もいたそうなんですよ。で、魔女であるかどうかは、遺伝、血族によるんだというんですね。たしかに、ジブリの「魔女の宅急便」でも、魔女は血で飛ぶんだと言ってた。  で、FGOをやっている妻に聞くと、魔法ってのは、「どうしたらできるか説明できないもの」で、それに対し魔術ってのは、「原理が説明できるもの」のことら