意外な事実は求められていないという話
ちょっと変な言い方になるけど、研究は「意外な事実」を明らかにする場合があるが、人々は「意外な事実」を求めていないことがしばしばあるんだね。「欲しい事実」っていうのがあって、それと違う結論を認めないというか。
例えばいくつかの研究は、マンションなどの共同住宅の開発がなされると町内会加入率は低下するが、一方で地域活動は活発になる傾向が明らかにされている。しかしそれは、「マンション住人が町内会に入らないせいで活動が満足にできない」という物語に生きる人々からすれば「意外な事実」であり、認めがたいんですよ。そんな話は聞きたくない、っていうわけです。
これが、いわゆるアカデミックがカタギの方々に好かれないやくざの仕事だと僕が考える理由で。
だから、いくらアカデミックが「意外な事実」を明らかにしたとしても、それは人々の物語世界を変化させる原因にならない。それをアカデミックが「これだから素人は」なんて上から目線でいおうものならますます嫌われるんですよね。
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