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読むまちづくり

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2020年10月の記事一覧

インプット過剰、アウトプット過少になりがちな昨今の話〜注意資源争奪戦争の中に生きる。

 「何を見ても面白くない、むしろ自分を害しているものだ」と思える時があって。それはその対象が問題なんではなく、自分が外界に対して閉じたがっているサインなんだと思っていて。  どんな美味しそうな食事でも、お腹が痛い時に見せられれば単なる嫌がらせだ。    仏教の寓話で、ある人が、偉いお坊さんにね、「助けてください!体のどこを触っても痛いんです!」と相談するのね。そしたら偉いお坊さんは、「あなた、体のどこを触っても痛いと言ってますけど、今、自分の指が針になっていますよ」と諭すっ

心のこもった言葉には人を感動させるパワーがあるって話。

 当たり前みたいなことをいうけども「心のこもった言葉は人を感動させる」んですよね。  さっき、道で私の前を歩いていた人が、スマホ見ながら歩いてて、すれ違いざまにおっさんとぶつかりそうになって。おっさんはその人を振り返りながら悪態をついたんだけど、それが私がすれ違いざまに放たれたものだから耳に入って。私に向かって放たれた言葉ではないが、私がちょうど耳にするタイミングになっちゃったわけだね。  で、この言葉、心がこもっていたのだろう、感動したね。感動というのは、感情が動く、と

笑顔とは、顔面の筋肉の緊張である。

 改めて考えると、笑顔っていうのは、決してリラックスした顔ではない。頬骨筋や口角筋、眼輪筋などに緊張を強いなければ、いわゆる笑顔は作れない。筋肉を緊張させることで可能になる顔、それが笑顔だ。  破顔するような笑顔はもちろん強い緊張を伴う。また、うっすらとした笑顔もまた微妙な度合いの緊張を維持しなければ作れない。みなさんおそらく経験されているように、重い荷物を短時間ガッと持つのも疲れるが、うっすら重い荷物を長時間持つのもかなり疲れる。それと同じで、うっすらとした笑顔、アルカイ

「経済政策で人は死ぬか?」の勉強を公務員の皆さんとした話

 こないだ、この本の勉強会があって。主に公務員のみなさんが集まって、内容について話し合うっていうもので。  これまでに世界各国で行われた経済政策が、どんな結果を生み出してきたか、ということをエビデンスを元にわかりやすく解説してくれる。例えば経済が破綻した国では、しばしば福祉政策を縮小するが、それは国民にどんな影響を与えるのか、ということだ。で、まあ結論から言えば、福祉政策を縮小することと、自殺率の上昇はどうも相関しそうだとわかったよ、という話。そりゃそうだよな、と思うし、み

希少さに本人が気づいていない才能を安く買うとヤバイって話。

 「希少さ」っていうのが案外気づきにくいもので。なんでかっていうと僕らの認知範囲に限界があるからだ。  例えばプロスポーツ選手は0.1秒の速さを競う勝負をする。しかし一般ピープルから見れば仮に0.1秒遅くても十分速い、みたいなことになる。人類全体から見れば十分希少なのに、認知範囲が限られているからプロスポーツ選手の中で比べてしまい、俺ってなんて遅いんだ、となる。社会学でいう準拠集団が機能するのは、人類の認知範囲が限られていることによる。  国家はしばしば国民に外国の情報の

人生ガチャの発生確率一覧表の話

 世の中、思い通りにならないことばかりだろうか。そうでもないだろうか。  例えばさいころを10個同時に振って、すべて同じ目がそろう確率は6千万分の1くらいらしくてね。6千万回振って1回しか出ないんだね。  これが「ぞろ目が一発で出るものだ」って思っていると、まず予想通りにならない。そういう考えでいると「世の中思い通りにならん」わけです。しかし「ぞろ目が出るっていうのは6千万分の1の出来事だ」とわかっていると、むしろ予想通りになる。世の中思い通りになるわけで。  前も書い

人々の行動変容に向けて効果的な手法を考えれば考えるほど、その手法はナッジめいてくるって話。

 こないだ、珍しいことに環境保護に関する取り組みについて考える場面に参加することがあって。環境保護のためには、よく言われるように「市民一人一人の行動変容」が必要なんですよね。例えばごみをちゃんと分別するとか、こまめに電灯を切るとか、食品ロスを減らすとか、まあ、そういう決して派手ではない、こまめで日常的な生活の変容がいるわけです。  これって派手ではないけど難しいもので。例えばビジネスであれば、お金を渡したり契約を結んだりすることで、相手の行動を変容させることが可能です。

オンライン化したい勢力と、元に戻りたい勢力の政治闘争が見える化してきたねという話。

 面白い記事を見まして。 文部科学省は16日、新型コロナウイルスの影響でオンライン授業を続ける大学が多いとして、対面授業の割合が半数に満たない大学の状況を調べ、大学名を公表すると発表した。  おや?と。ついこの間までオンライン化を進めてくれと言ってなかったっけ。悪意を持って読むと、まるで「まだオンラインとかやってんの?そんな大学は名前晒しちゃうよ」みたいなニュアンスに見えてしまう。それともオンライン中心でいく大学とオフライン中心でいく大学とを消費者が選べるようにするための

支配欲という根源的な欲求と、QOLの話。

 人間の生理的な欲求っていうとき、食欲、性欲、睡眠欲ってよくいうけど、ここにはたぶん「コントロール欲」みたいなものを加えることができて。  コントロール欲ってのは、現象を思うようにコントロールしたい、という欲求で、例えばお仕事の予定をコントロールして、予定通りうまくいくと、よっしゃって思うわけで。例えば、やせたい、とかも自分の身体に対するコントロール欲だ。赤ちゃんが泣いているのを泣き止ませたい、これもコントロール欲。天気予報とか、コントロール欲の生み出した最たるものだと思う

「本を書く」というのは、「身の丈をバラす」ということ。

 先日、「新刊をリリースします」っていう話を書いたんですね。  で、これ、本なり論文なりを書くたびに、いつも思うことなんですけど、「本を書く」というのは、「身の丈をバラす」ということでもあって。

「話が合いすぎる友人」としゃべるような、楽しさと、気恥しさを感じた、って話。

 話題の『世界は贈与でできている』読みまして。なんていうか、「話が合いすぎる友人」としゃべるような、楽しさと、気恥しさを感じたんですよね。

「つながり」を一発で作って孤独を解消すれば色々問題が解決できるはず、という夢を打ち砕く。

 話題の『社会的処方: 孤立という病を地域のつながりで治す方法』を読みまして。  本書で、海外にはリンクワーカーという職があるということを知りました。例えば、孤立している人にヒアリングをして、「ああ、この人は歌が好きなんだな」とわかったら、地域の聖歌隊グループにつなげる、みたいなことをして孤立を解消していく仕事で、孤立している人を社会に包摂することで病気や犯罪などに対処する方法を社会的処方という。私達もまちづくりの現場でしばしばやる仕事だけど、それ自体を職名として担う専門家

「言いたいことを言えない」のが不健全なのはわかるけど、それって無礼講ってこと?って話。

 4年くらい前に、Googleが言い出してから有名になった心理的安全性って言葉がある。エイミー・C・エドモンドソン『チームが機能するとはどういうことか』によれば、心理的安全性では、言いたいことが言えないのはチームの生産性を下げるという。  例えば、誰かが言ったアイデアに対し、「いや、それは違うんじゃないか」というと、相手を傷つけてしまうとか、逆に反撃されてしまう、というような不安感(これを対人不安という)があるチームでは、言いたいことが言えず、ダメなアイデアが生き残ってしま

「アドレスホッパー」を批判したい人たちが恐れているものはなにか、って話。

 アドレスホッパーっていう言葉があるそうで。一箇所に定住するのではなく、各地の拠点を転々とする暮らしをする人のことだそうだ。  この言葉を流行らせた人の記事を読んだのだけど、この言葉が流行ってから、批判を受けることも増えたそうで。その批判に対するエクスキューズを述べてもおられるんだけど、私にはそこで受けた批判っていうのがなかなか興味深くて。 このライフスタイルがメディアに取り上げられれば取り上げられるほど、ネガティブな意見もくるようになったんです。 「若者が家に住まなくな