全身性エリテマトーデス(SLE)の治療薬まとめ
全身性エリテマトーデス(SLE)の治療に伴って処方される薬の量がとても多く、Twitterで公開いただいている方の情報も商品名だったり、一般名だったり理解が追いつかなかったため、現時点で使われている薬をここにまとめようと思います。
※現時点(2021/05/04)の処方されている情報をまとめているため、今後処方の方向性が変わる、他の薬が認可されるなどの可能性があることご留意ください。
※本記事で全身性エリテマトーデス(SLE)で用いられる薬を紹介しますが、治療方針に関しては必ず、担当されている主治医にご相談の上、判断を仰ぐようお願いたします。
全身性エリテマトーデス(SLE)治療で主な投与される薬の方針
まず全身性エリテマトーデスの還解に向けて治療するにあたり、大枠でいうと2種類の薬が処方されている印象です。1つ目が全身性エリテマトーデス(SLE)を抑える・調整するための薬、2つ目が1の薬が協力なため、副作用を補うための薬が処方されていると他の方のTwitterをみて思いました。
1つ目に関しては基本的に方針がある程度、確率されている印象で、症状・体質によって用量など異なりますが、大体同一の薬が処方されている思われます。
2つ目に関しては本当にバラバラで処方されている方もいれば、されていない方もいて正直なにで処方判断しているか不明です。担当医の方針とか持っている情報によってここは大きく左右されるのではないかと思います。
※日本リウマチ学会でなんらかの指針が周知され、治療方針が確立していると信じてますが・・・
1.全身性エリテマトーデス(SLE)の治療薬
下記に列挙した薬は治療序盤に検討される薬です。症状や血液検査の結果に応じて別の薬を処方される場合があります。
・ステロイドパルス:メチルプレドニゾロン( ソル・メドロール)
別名:メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム
・ステロイド:プレドニゾロン(プレドニン)
・免疫調整剤:ヒドロキシクロロキン(プラケニル)
・免疫抑制剤:ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト)
・免疫抑制剤:タクロリムス(プログラフ・グラセプター)
・免疫抑制剤:シクロホスファミド(エンドキサン)
※大量投与の場合、錠剤ではなく点滴での投与もあります。
全身性エリテマトーデスの症状が改善されない、別の影響が出てしまうなどがあった場合は上記以外の薬を代替えで提案されると思います。※ベンリスタ注射がTwitter上多い印象でした。
主な免疫抑制剤の一覧
2.治療薬1で出てしまう副作用への薬
主に治療薬で出てしまう副作用を上げながら薬を紹介させていただきます。
全身性エリテマトーデス(SLE)治療に伴って一番怖いのが、感染症との合併症です。現在ステロイド(プレドニン20mg以上)で治療されている方で抗生物質・抗真菌剤などを併用していない場合は、なぜしていないのか、リスクはないのか主治医に即確認頂いたほうがいいです。
また2番に怖いのは骨粗鬆症です。これは基本的にステロイド治療前に骨密度検査を行うことが定石になるため、それ相応の薬も処方されていると思いますが、何も併用していない場合は抗生物質・抗真菌剤同様に主治医に確認してください。
あとの副作用に関しては、副作用事後でもある程度対処可能なものだったりするため、そこまで過敏にならないでいいですが、両方ともに理由なく併用していない場合、あまりにも主治医が無知すぎるのでセカンドオピニオンの検討をおすすめします。
ステロイドの副作用
引用文献:川人 豊(2009) リウマチ性疾患におけるステロイドの功罪, Clin Rheumatol, 21:106~111,
免疫抑制剤による副作用
参照元
・免疫低下(感染症予防) → 抗真菌剤・抗生物質など(例:バクタ配合錠・サムチレール・レクチゾール・ベナンバックス・ ミノサイクリン塩酸塩など)
ステロイドの免疫低下でPCP予防が必要だと情報が多いため、免疫低下予防に何も服用していない場合は、主治医に確認をとったほうがいいです。
関連記事
自己免疫疾患の治療ハンドブック
併用される抗生物質・抗真菌剤
ステロイド利用時のPCP予防記事
引用文献:掛屋 弘(2019),ステロイド薬と感染症,日内会誌,108:2268~2274,
・骨粗鬆症予防 → 骨粗鬆症治療剤・ビタミンDなど(例:アクトネル錠・ベネット錠・エルデカルシトールなど)
・消化器官合併症予防 → 胃薬など(例:ラベプラゾールNaなど)
・糖尿病予防 → 血糖抑制(例:インスリン注射・慢性になった場合は錠剤など)
・高コレステロール → ・コレステロール抑制(例:アトルバスタチンなど)
・血管障害予防 → 心不全・狭心症予防(例:アムロジピンOD錠・エナラプリルマレイン酸塩錠)
・その他 → 基本的には頓服薬での対処
まとめ
ざっと要約で紹介させていただきましたが、現在処方されている薬と比較していただき、不安な部分に関しては主治医に相談をしてみてください。
全身性エリテマトーデス(SLE)を治療するための薬についてはかなり認知されていると思いますが、その副作用を抑えるための薬についてはかなりばらつきがあるため、本記事に治療の手助けになれば幸いです。
おまけで下記に本記事であげた薬の効果・用法・用量・副作用をまとめておきますのでよかったらみてください。
【薬の詳細情報】
webの情報を集積した内容にすぎないため、必ず用法・用量など服用に関して主治医の指示に従ってください。
また本記事を参照し、用法・用量など服用、それに関する責任については負えないため、自己判断・責任でお願いたします。
プレドニゾロン プレドニン(通称:ステロイド)
一般名:プレドニゾロン
商品名:プレドニン
【作用・効果】
・抗炎症作用
・抗アレルギー作用
・免疫抑制作用
ドーピングのステロイドとは違うのでそっちの参考記事を添付
※ドーピングのステロイドとの作用・効果の違いについて
【用法・用量・他の方の内服状況】
成人はプレドニゾロンとして1日5~60mgを1~4回に分割経口服用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
ステロイドは急に停止すると離脱症状が出てしまうため、飲み忘れ時に関して主治医に要確認しておく必要がある
【副作用】
・感染症
・高血圧
・骨粗しょう症
・胃腸の症状
・コレステロール上昇
・脂質異常症
・不眠
・満月顔貌(ムーンフェイス)
・肥満・体重増加
・白内障(の進行)
・眼圧の上昇(緑内障の悪化)
副作用と向き合うための参考資料
ヒドロキシクロロキン プラケニル(抗マラリア薬)
一般名:ヒドロキシクロロキン
商品名:プラケニル
※2015年7月3日に「皮膚エリテマトーデスと全身性エリテマトーデス」国内で認可された薬
【作用・効果】
・マラリアの治療や予防
・全身性エリテマトーデス(SLE)の主症状改善
一時期コロナウィルスにも有効なのではとの推察がありましたが、現在は効果なしで一旦結論が出てます。※今後どうなるかは別
【用法・用量・他の方の内服状況】
複雑なため、文章での説明を割愛させていただきます。詳細は主治医の指示に従ってください。
また飲み忘れが生じた場合、絶対に2回分まとめて一度に服用しないでください。基本的には主治医相談案件ですが、製薬会社の資料によると「1錠と2錠を1日おきに服用されている患者さんが次に服用する際は、服用し忘れた日の分を服用してください。」と記載されています。
【副作用】
・網膜症
ミコフェノール酸モフェチル セルセプト(略称:MMF)
一般名:ミコフェノール酸モフェチル
商品名:セルセプト
・2015年7月31日の薬事審議会で公知申請を行っても差し支えないと結論付
・2016年5月、効能・効果「ループス腎炎」が正式に追加
【作用・効果】
・臓器移植における拒絶反応の抑制
・ループス腎炎作用(主にClass Ⅲ, Ⅳ, Ⅴに有効)
【用法・用量・他の方の内服状況】
1 日 3,000 mg まで、1 日 2 回 12 時間毎
基本的には主治医判断任せではありますが、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議の資料から下記の記載あり、基本的な治療では2gが最大
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議の資料より
「アジア人についてはより低用量で有効であるとの報告があることから、本剤の用量は 2g/日としてもよい。」
ミコフェノール酸モフェチル説明書より
「通常、ミコフェノール酸モフェチルとして1回1,000mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。」
ループス腎炎に関しての投与開始方法について
ループス腎炎に関する臨床実験は下記のように投与されており、副作用の経過をみるため段階的に投与する場合もある
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議の資料より
「本剤群の用法・用量は、1 回 0.5 g を 1 日2 回から開始し、2 週目に 1 回 1.0 g を 1 日 2 回、3 週目以降は 1 回 1.5 g を 1 日 2 回経口投与することとされ、投与期間は 24 週間とされた。」
この投与方法についても基本的には主治医が判断・開始されるとおもわれます。
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議
公知申請への該当性に係る報告書(案)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/24-4-1.pdf
【副作用】
めちゃくちゃわかりやすいつぶやきがあったのでそのまま添付させていただきます。
タクロリムス プログラフ・グラセプター(略称:TAC)
一般名:タクロリムス
商品名:プログラフ ・ グラセプター
【作用・効果】
・臓器移植における拒絶反応の抑制
・ループス腎炎作用
【用法・用量・他の方の内服状況】
※近々アップデート
【副作用】
※近々アップデート
※その他の薬に関してはnoteのアップロード制約上、後日掲載してきます。
引用文献・資料・サイト
・https://www.jmedj.co.jp/files/item/books%20PDF/978-4-7849-5412-4.pdf
・https://www.jstage.jst.go.jp/article/cra/21/2/21_106/_pdf/-char/en