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「わたし定時で帰ります。(小説版 シリーズ1)」原作が良すぎた話。



現実はそう甘くない


もうね、やっぱり小説ってイイ…!
入りはドラマの大ファンで、
原作があることを最近知って小説に手を伸ばしました🕊️


ドラマの放送はたしか2019年で、社会人になる前だったんです。


わたしも好きな仕事をして、定時に会社を出て行きつけの居酒屋に行って、仕事も恋も順調なOL⭐️ライフを送る!と夢を膨らませた学生時代。


だがしかし…!
いざ社会に出てみると、あれ?思ってた仕事と違うくない?人に振り回されて疲労困憊、、でも休みを取ったらそのツケが後日回ってくるし、、と怖くて休めなかったり。


さらには口は悪いけどワンタンみたいな愛がある店主のいる行きつけの居酒屋は見つからないし、彼氏も全然できないんですけど!!!



…そういった現実も経験も経て、
もう一度観るとまた違った観点で見れるのではないかとドラマを再履修したのですが、、



「「種田さん、かっこよすぎるうう〜〜〜〜!!」」




なんやあの気怠げな雰囲気から漂う色気と、ふと出てしまう”結衣”呼び…(ため息)
しかもこれでめちゃくちゃ仕事できちゃうんだよなあ。



と、一番はじめに出てくる感想はちっとも5年前と変わっておりませんでした\(^o^)/

あの向井理に勝るものは未だかつて出ていないんじゃないか?(真顔)



その後、Xでわたし定時の感想を漁り、結衣ちゃんと種田さんの関係の良さを熱く語ってくれている方を見つけて強く頷いたり(心の中で固い握手・・!🤝)、向井理が語る種田さんについてのインタビューを見たりしていたらあれよあれよと原作著者の朱野帰子さんのアカウントにたどり着く。



「え?小説ってあの続きあるの?うそ、結衣ちゃんと種田さんのその後が見れるの?」となりすぐさま1〜3巻まで購入🙋‍♀️



※ここからは多少ネタバレ要素もあるため、読んでいない方はUターンしてください(泣)


流れについていけないオトナたち


でも、本当に読んで良かった。
シリーズ1と2を超簡潔化したのがドラマだったけど、小説はドラマよりテーマもみんなが抱えているものも重い。


「急激に変わっていく世の中についていけなくて、会社に居場所がなくなるんじゃないかって怯えてて、でも誰にもその気持ちを言えなくて、みんな怖いんです。」

「わたし、定時で帰ります。」小説より



いくら制度だけ整えても、今までの当たり前を崩すことは難しい。
育休だって、有給だって平等に与えられた制度なのに、自分の心と反対に周りの目を気にしてしまう。


そんなの知ったこっちゃない、振ってきた仕事は他の人に流せばいいと割り切れたら楽なんだろうけど、そこまで割り切れる人の方がきっと少ない。



今でこそ、リモートワークが推奨される会社が増えたり、残業についての取り締まりが強くなったりこの5年でだいぶ変わっていったと思うけど。


それでもまだ呪縛が解けない人もいるのではないでしょうか。


どの時代も通ずる部分

結衣の働く中でのポリシーも人との関わり方もとっても好きだった。
自分という芯はありながらも、人の弱っているところにいち早く気づいて手を差し伸べられる人。


自分の考えを押し付けて人を変えようとせず、相手が大事にしている価値観を理解はできなくても受け入れる。

だけど、そこまで器用なわけじゃないから時には社長に直談判と派手に出たり、いざ巨大な壁にぶつかったとき種田さんに弱音を吐いていたところを新人の来栖くんに見られて「東山さんも結局は種田さん頼みなんですね」なんて言われ落ち込んで。だけど、信頼を取り返すために結衣ちゃんなりに努力して「東山さんのために定時で帰りますよ」と言ってもらえて喜んだり。

人を頼りながらも人を導いていく姿に心が打たれてしまう。
(来栖くんと結衣ちゃんの関係もまた良いのだ・・・)


種田さんとのことになるともっとも不器用になる結衣ちゃんも見もの♡



吉高ちゃん演じる結衣も大好きだけど、小説の結衣はもっと強い(笑)

結衣が残業せずに生きると決めたきっかけを作った張本人の結衣の父も結構良い味出していた。
「お前は甘いんだ!残業もしない、頑張ろうともしない。死ぬ気で働いてみろ、あっち側の世界を知らないと上にいけないぞ」と結衣ちゃんに言い放ち、「わたしは上になんか行きたくないの!」と口論になりながらも、インパール作戦やら歴史にやたらと詳しいのでお父さんなりに歴史上の人物や経験談を用いて結衣のピンチを助けている。


そんなお父さんも、働き方に少しは疑問に思ったことがあったけど、独りで戦い続けることはだんだんしんどくなって次第に諦めてしまった。


そうやって、終電まで仕事をするのが当たり前、会社で死ねるなら本望!と思っていた時代の人たちは家族や自分の幸せを犠牲にして働いてきたんだなあ。
それをちょっと後悔してるのがわかるからなんか切ない。



ただ、やっぱり人ってこれまでの自分の信じてきたものとかやってきたことを否定されたくない。
だから誰かにそれはおかしいと言われても、自分の信念を曲げずにもっと仕事に走ってしまったり、自分とは違う他人のことを受け入れられなくて距離が開いたり。
でも、違うからこそ惹かれるものがあったり。



平成から令和にかけて生きているわたしもちょっとわかるなあって思うことも全然あった。



まあそれでも福永だけは共感はできないけど!!!
下請けはボロ雑巾のように扱い、社員の弱みを良い感じに突っついて組織をクラッシャーする人物。
サークルクラッシャーよりタチが悪い。
ドラマの方がこの人物にあたっては救いようがあったな・・・


結衣と巧と種田さん

巧は、結衣と同じ価値観を持っているであろう婚約者。
でも実際は違う部分に目を瞑っていただけなのかもしれない。


同じだったのは「独りでいることがさみしい」と思う感情と食べることが好きなこと。
でももしかしたら”食べることが好き”ということでさえ、結衣に合わせていたのかもしれない。



最後に巧がしてしまったことは本当に許されることではないけど、自分の彼女が元婚約者と同じ職場で、納期までの残り3日間会社に泊まり込みでもちろん元婚約者も一緒の状況は結構しんどいのではないか。



しかも、どれだけ元婚約者のことを好きだったか知っていたらたしかに、、と頷けなくもない。
それに、巧は独りに耐えられない人だったから余計だ。



結衣自身も巧が種田さんのことを気にしていることもわかっていたから尚更自分を責めてしまった。
(それに対して「でもお前は俺がどれだけ仕事で忙しくても、そんなことしなかった」と言って励ます種田さんと結衣のあのシーンも好きだったなあ・・)



結衣は絶対残業しない。そのために効率的に働くし、誰よりも仕事終わりの半額ビールを楽しみにしている。
反対に種田は「寝なくても死なない。精神は肉体を超える」と言い出すワーカホリック。



素直に本音でぶつかり合いすぎたから、衝撃が大きすぎて一度は別れてしまった二人。
福永の言うとおり「取り返しのつかない仕事中毒」で結衣よりも仕事を選択したのは自分のためだったのか、種田さんがいう「本当は結衣に止めて欲しかった。」が本音なのか。


シリーズ1では、最後までちょっとわかりづらい感じではあったけど、愛があったのはたしか。



次の新刊は種田さんが思う、結衣についても触れたいと著者がおっしゃっていたので、ぜひとも早くみたい・・・!!!



「なんのために働くのか?」



わたしも含めこれからのキャリアに悩んでいる人へ改めて考えさせてくれる一冊です^^

シリーズ2も3もそれぞれテーマがあるので、改めてレビューしたい!


はあ、それにしても向井理は良い〜〜!
パリピ孔明も絶対観にいこ🏃‍♀️💨


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