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カレーはうまいしか言えなくても(『やがて哀しき外国語』を読んで)
資格を取りました。旅行サービス手配業務取扱管理者です。僕は日本旅行という会社で新卒から働いていたのですが、その時にしていた仕事を、これで個人でもできるようになりました。
資格を取るために10時から17時まで座って授業を受けて最後にテストをしました。20名ほどの受講生が都内のスタバくらいの机と椅子を一人一つ割り当てられて、ギリギリ通れるくらいの通路を挟んで小さな部屋にこもって一日中勉強していました。息が詰まりますし体は硬直しますし本当に疲れました。
そう考えると小学校から大学までよくやってたなと感心します。一方で「教えてもらう」ことの凄まじさも感じました。先生という絶対的な存在がいて教科書という知の結晶があるのと、本を選ぶところから始まりyoutubeで動画を探してわからなければググって、なんてやってるのとでは時間のかかり方が全然違います。質問したらその場で返事が返ってくるんです。これは新鮮でした。
テストの時には、マルバツをつけるだけのシンプル問題のはずなのにちゃんと心拍数が上がるんですよ。授業もライブだと思いました。
最近、集中力について考えます。例えば先に述べた座学でも前半は調子がいいわけです。深く集中ができてなんでも頭に入ってきてスルスルと疑問が生まれてきて手を挙げて質問して議論ができる。けれど午後になって集中が切れてくると、聞いてるようで聞いてないしついついiPhoneを開いてしまう。だからテストの時に、あれ聞いていたはずなのに微妙にわからないぞ、ということになる。
長距離走と同じで、集中力というのにも限りがあって、調子よくドバッと使ってしまうと後に困ることになるのですね。会話も同じだなと思います。目の前の人と話してるようで遠くを見ている。集中して話ができているのか、意識するようにしています。
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『やがて哀しき外国語』というのは村上春樹の短編集です。北米で生活していた様子をエッセイ風に綴っています。
生活の様子を人様が読めるモノに仕上げるのは大変な作業だと思います。具体的な出来事がある、その出来事には背景がある、まずはそれを理解してもらわなくてはならない。けれどどうでもいい生活の一場面をダラダラと説明はできない。次に出来事に対しては考えたことや閃いたことがある。そしてこここそまさに、正確に言語化しないといけない。そうでないと平易な感想文になってしまう。村上春樹は、そういういちいちがうまい。国際的作家に対してなにをいまさらという感じだが、小説ではなくエッセイを読むたびに痛いほどにそのように感じます。
例えば、今日の一日を書くならどういう風に言葉を繋いでいきますか?
ジャガイモと肉が冷蔵庫にあったので、八百屋で玉ねぎを一つ買ってきてカレーを作りました。冷蔵庫には他にも小松菜が余っていたので小松菜も入れてみました。それでもカレーはうまかったです。スパイスカレーにもハマってましたが、カレー粉を使ったカレーは、どのお店のカレーとも遜色なく作れるので自分のカレーでも十分に満足できます。
こんな文章しか書けないと、否が応でも才能の存在を感じざるを得ません。
しかしそれでも、一日の終わりの集中力の残滓を意識的に投下するだけでカレーのように満足できるので、それはそれでいいことかもしれません。
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