Nomura Keisuke

天邪鬼な群馬県高崎市在住31才| 日本旅行→リクルート→スタートアップ→ゲストハウス開業準備中| 好きなところに住み、日ごと夕日を眺める暮らしをしてます

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東京でチャリ 〜村上春樹の小説的生活〜

『都心でチャリ』の組み合わせが最強かもしれない。 東急目黒線沿いに住んでいるので、自由ヶ丘、中目黒、学芸大、恵比寿、がんばれば渋谷、代々木公園にも行ける。目黒通りへ行けば、オシャレで(高価な)家具屋さんが並び、林試の森公園へ行けば手軽に自然が味わえる。 今日は目黒区民プールへ行ってきた。 昼下がりにプールへ行ってのんびり泳ぎ、おやつにジャズを聴きながらパスタを茹で、茹でている間に意味不明な電話を受け、食べ終わったら猫か帰らぬ女を探しに行けば、それはもう村上春樹ワールドの主

    • ゲストハウスを創る、10月のはなし

      9月1日に、高崎市あら町の物件を借りた。この日から具体的で実践的な、ゲストハウスを創る冒険が始まった。 今月も現実をぶちまける、もといリアルを忘れずに取っておく。 SNS投稿がA面とすればnoteはB面だ。 9月おわりくらいから雰囲気が暗い。現実を知って当初の盛り上がりはなくなり、飽きて、絶望することが多かった。甘いものを食べる機会が増えた。 できることが増える一方で、かつての箇所でできていないところが気になったり、作業にかかる手間がわかる一方で、先の見通しをして気が遠く

      • ゲストハウスを創る、9月のはなし

        9月1日に、高崎市あら町の物件を借りた。この日から具体的で実践的な、ゲストハウスを創る冒険が始まった。 物件は、築50年の軽量鉄骨造りで、長方形の箱を2つ重ねただけのシンプルな形である。1階の入り口に広い土間、奥に水回りと和室。2階が居住スペースだったようで、和室と洋室とキッチンがある。元々は酒を売っていたため、一昔前のまちの小売店そのものの雰囲気だ。立地に関しては、高崎駅から徒歩8分くらいで、建物の右も左も奥も隣と1mと離れていない、マチナカ物件である。 160平米が確

        • 映画『もののけ姫』で旅について考える

          名画を見つけた、『もののけ姫』という。 立場の異なる者たちが同時に行動するので展開が読みにくく、しかし話が取っ散らかることはない。オッコトヌシからは獣臭さを感じるほどの画力に、引き込まれる。誰もが怒り、争い、負けていて、普遍的な暴力の応酬に考えさせられる。 こう語りたくなるのが名画であり、そのように語り継がれた結果が名作である。そしてようやく31歳の僕の元に届いた。 『もののけ姫』のテーマは「旅」でないかと思う。 本作は非常に多くの世界の見方が披露される。アシタカの故

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        東京でチャリ 〜村上春樹の小説的生活〜

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          やさしい地獄

          漫画キングダムは内容が濃い。72巻まで行くとはじめの方の記憶が薄らいでいく。 改めて1巻から読み返すと多くの気付きを得られる。 例えば蒙武。傑出した武威を持つ、秦国の将軍である。勢いが先行するタイプなので突破力はあるものの、そこを逆手に取られ、敵国・趙の総大将・李牧の罠にかかり、結果として秦の総大将である王騎将軍が討たれる。 安定した居場所を捨ててやりたいことを実現するには「勢い」が必要だ。 しかし小さな複数の障壁にぶつかりながら時間が経過していくと、その勢いは徐々に失われ

          やさしい地獄

          梅雨のさかりに

          春夏秋冬といえばおさまりはいいけど、梅雨だって立派な季節である。 「梅雨がこない」と心配されたり、「雨が少ない」と恋しがられたり、「梅雨なのに暑い」と怒られたり、しまいには「はやく明けろ」と鬱陶しがられる。それでも翌年にはまた、「こないね」と求められる。 これほど話題に上がりやすいのも、ひとえにそれが確実に来るものだと信じられているからだ。例えば秋なんかは、どこからどこまでがそう呼べるのかわからない。春だって、冬と夏の通過点でしかない。それなら梅雨の方がよっぽどわかりやす

          梅雨のさかりに

          「自然」とはなにか

          『悪は存在しない』の余韻がいまでも続いている。なんて映画だ。 自然の理不尽さが題材の一つであるがために、否が応でもそれについて考えざるを得ない。一ヶ月間、命題を与えられたかのように頭の隅に居座る。 この物語での「自然」は、人間に牙を剥く森であり、荊であり、鹿である。日常とは遠く、深い安らぎを与えてくれる一方で、底の見えない闇を感じるものとして描かれている。 「ゲストハウスを開業したい」というと、「自然の中でやればいい」と言われることがある。 ここでいう「自然」は、緑であ

          「自然」とはなにか

          なきカフェに捧ぐ(2024年上半期について)

          2024年はじめ、あの頃の僕にはカフェカルディーノがあった。カフェカルディーノとはコーヒーショップKALDIが運営しているカフェであり、紺と灰色の内装が明るさと落ち着きをもたらす空間のことである。wifiがないどころか電波が悪いために作業ガチ勢がいないし、武蔵小山の住人は穏やかな空気感を醸すのでそれもよかった。うるさくもなく静かすぎもしない、呆れるような話題もなく高尚な営業トークもない世界。 カフェカルディーノ武蔵小山店が失われてしまったのと、僕が武蔵小山から引っ越したのは

          なきカフェに捧ぐ(2024年上半期について)

          映画『悪は存在しない』には愛も存在しない 

          愛すべき捻くれものたちの映画である。 そこに違和感と好感を持つ。 あらすじは割愛して感想を述べていきたい。 愛が足りないラストシーンが衝撃的である。誰も予想ができない形で幕引きになるのだが、その予兆的なものはずっと映されている。物語を通して都会側の人間が身勝手な論理で意見を述べているように見えるが、山側の人間も、手を繋がない父や好意に甘えるうどん屋、迎えのない子どもを帰らせる園に、鹿を仕留め損ねる猟師がいる。誰も彼もが自分のことを一番に考えているように見える。愛が足りなけれ

          映画『悪は存在しない』には愛も存在しない 

          カレーはうまいしか言えなくても(『やがて哀しき外国語』を読んで)

          資格を取りました。旅行サービス手配業務取扱管理者です。僕は日本旅行という会社で新卒から働いていたのですが、その時にしていた仕事を、これで個人でもできるようになりました。 資格を取るために10時から17時まで座って授業を受けて最後にテストをしました。20名ほどの受講生が都内のスタバくらいの机と椅子を一人一つ割り当てられて、ギリギリ通れるくらいの通路を挟んで小さな部屋にこもって一日中勉強していました。息が詰まりますし体は硬直しますし本当に疲れました。 そう考えると小学校から大学ま

          カレーはうまいしか言えなくても(『やがて哀しき外国語』を読んで)

          サンタクロースの在り方について(『世界は贈与でできている』を読んで)

          文喫という理想的な空間を見つけた。良い本との出会いがあった。『世界は贈与でできている』。 社会の見方をこんなふうに言語化できたら気持ちいいんだろうな、と思うような本であった。最近考えていたこととも繋がった。まとめていく。 「お金で買えない」の気持ち悪さ「お金で買えないもの」という表現がある。この言葉は、それ自体の意味は肯定されているのに「ない」という否定が入っている。犬のことを「猫でないもの」とは表現しない。結局何を指しているのかわからない正体不明さが気持ち悪さとして残る。

          サンタクロースの在り方について(『世界は贈与でできている』を読んで)

          一人旅をしない(長野について)

          かつてこだわりをもって好んでいた一人旅を全然しなくなった。人と分かち合えないマニアックなところにあまり行かなくなったのもあるし、非日常を味わうような目的を身近で済ませるようになったのもあるし、寂しくなって旅行に人を誘うようになったのもある。 僕は一人旅をすると全然外に出ない。アクティブに思われることがあるけどそんなことはない。旅の目的があって、それは食や宿や建物だったりするけれど、その目的さえ満たされればあとはもうなにもしない。なにかしていないと落ち着かないのでどちらかとい

          一人旅をしない(長野について)

          映画『PERFECT DAYS』はドラマ映画の最高峰か

          観ていて左側だけ頭痛が起きた。 別に映画のせいではない。だからなに、ということでもない。事実として鑑賞中は頭が痛かった。 2時間ぶっとうしで集中することが、ここ最近はあまりなかったからかもしれない。 いまその頭痛が治まってきていて、同時に観ながら考えていたことも薄まってきているので、殴り書きかもしれないけれど残しておきたい。 おっさんの日常と、ただそうに終わらせることもできなくない。役所広司だから124分耐えたけど、そのへんの人をそれっぽく撮っても事故のような映像が出来上が

          映画『PERFECT DAYS』はドラマ映画の最高峰か

          静かな世界

          1.5倍速のモーニングサテライトが流れるipad miniを抱えながら朝の準備をし、2倍速でvoicyを聴きつつマンガを読みながら通勤をし、テレビが流れる部屋で将棋をしながらストレッチをして1日を終えるのが日常だった。 そのどれもがあまり身についていない。 モーニングサテライトはそもそも1.5倍速で観て理解できる内容ではなく、朝の通勤時間はタイムスリップした感覚で、将棋は3年間1級に上がれず苦しんでいた。 「ながら」がよくないのは明白だった。 よく言えば合理的でわるく

          2023年とは

          クリスマスの胃腸炎、年末の帰省、年始の挨拶とイベントを一通り終えてもう1月7日。30歳になった一年が終わった。2022年と2023年の境が曖昧で、だんだんと年ごとの区切りがつきにくくなってきていることに、居心地の悪さを感じる。そうあるべきじゃないと思っている。 1日に起きた能登半島沖の地震も、2日に起きた羽田空港の事故も、自分ごとに近く、以前よりも社会との関わりも増えてきた。 様々な面で「年齢」を実感する機会が出てきて、より一層、積み重ねを大切にしていきたいし、積み重ねたもの

          今年も欲に浸かりました

          11月27日の20時、突然、左の脇腹に激痛が走る。 ああ、ついに来たかと絶望する。 節制していたんだけどな、いやたまにモツ煮とかハツの焼き鳥とかビール一口とかやってたか、救いようがないね、とひとしきり後悔する。 東京浴場で身体を温める。 清水湯で湯治を試みる。 内科で尿検査とレントゲン検査をする。 整体で骨盤矯正をする。 湿布を貼ってたくさん寝る。 必死になって手を打つが、どこにいってもなにをしても特に良くはならず、今年は本当に身体の不調が続くなと諦念を持つ。 しかし

          今年も欲に浸かりました