【読書メモ】非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術
答えのない問題をどうやって解くか。
ビジネスシーンでも「創造性」が求められるようになってきました。
とはいえ、これまで創造性が求められる仕事をしてきた覚えはない。
そもそもクリエイティブな仕事って、芸術家とかデザイナーとか特殊な仕事をしている人だけじゃないの?
そう思っている人も少なくないのではないでしょうか?
そんな人におすすめしたいのが『非クリエイターのための クリエイティブ課題解決術』という本です。
「非クリエイター」に本書をおすすめする理由
著者はコミュニケーション・デザイナー/クリエイティブ・ディレクターの齋藤太郎さん。
サントリーの角ハイボールやソースネクストの翻訳機・ポケトークのブランディングを成功させた経歴の持ち主です。
「ほら、やっぱり業界人の本じゃないか」と思うかもしれません。
それはそうなのですが、この本を読んで役に立つのは、「クリエイター」ではない人だと思います。
これからの時代に求められるのは、「総合力」というのが著者の主張です。
むしろ表現が得意な本流まっしぐらでやって来た人よりも、傍流や支流を知っている人の方が強いかもしれません。
これについてはわかりやすいたとえがありました。
答えのない問題を解くために必要なもの
かつては表現のクリエイティブの出来が成果を左右した時代があったそうです。料理の世界にたとえるなら、包丁さばきが上手な料理人のいる店が人気店になっていました。
つまり、勝負の決め手は料理の腕前にあり、何をすればうまくいくかが見えていたのです。
しかし、いまや人気料理店となるには料理の腕だけでなく、産地とつながりをつくり新鮮な食材を手に入れることや、SNSに定期的に魅力的な投稿をすること、広告を出して集客しレビューサイトで高評価を得るにはどうすればよいかなど、いろいろなことを同時並行的に考えなければならなくなっています。
ビジネスならかつては印象的なCMや新聞広告を作ることが成功へのカギでした。
が、いまやそれだけで得られる効果は限定的になっています。
著者は大手広告代理店の出身者ではあるものの、在職中は広告やCMプランナーではなく営業をしていたそうです。
クリエイティブ経験のない著者の強みは、クライアントの課題の本質を見極めること。
本書で印象的だった2つの視点を紹介してみようと思います。
「関係者からは、どう見えるか?」という視点
いまでこそ広い世代で受け入れられているハイボール。ハイボールは私も大好きです。最初から最後までハイボールでいいくらいに。
しかし、かつてウイスキーを炭酸で割るという飲み方はメジャーではありませんでした。
ウイスキーは何年もの時間をかけて樽の中で少しずつ色づいていきます。
作るのに時間がかかるので、当然、価格も高めです。
そのため、ウイスキーは懐に余裕のある「おじさん」の飲み物というイメージがあったそう。
それを若い若い世代に受け入れられるようにイメチェンしたのは広告やプロモーションの力だったわけですが、ヒットの裏側には別の理由もあったといいます。
それは、ハイボールを提供するレストランや飲食店の事情です。
レストランや飲食店にとっては利益率の高いアルコール類を頼んでもらうことが肝になります。
しかし、乾杯の飲み物にビールは選ばれなくなっている。
そんな中、若い世代に好まれる別の飲み物があって、さらにビールより儲かるものを提案してくれたらお店も嬉しいですよね。
ビールに比べてハイボールの方が利益率が高い=売りたいもの
ハイボールのヒットには、この構図に気づいたこともあったといいます。
世の中のトレンドや、ユーザーのニーズは考えるようにしていても、それを勧める人のニーズに応えるという視点が抜けている人も多いはず。
これはとても勉強になりました。
創造性のある仕事にはNOや苦言も大事という視点
「こういう課題を解決してほしい」という依頼があったとき、本当にそれが課題なの?と言える人は少数派です。
疑問に思っても角を立てないことの方が大事と思うのではないでしょうか。
まだまだ自分にはそれができる実力もないし、ぶっちゃけ、お金がもらえたらそれでいい。とする考え方もあるかもしれません。
本来、仕事とは相手の役に立つためにあります。
それが目的の仕事でない限り、気持ちよくなってもらうためにお金をいただいているわけではないはずです。
だから、それって違うんじゃないの?と言えることも大事だし、ときには仕事を引き受けないこともあると齋藤さんは言います。
NOや苦言を言うことはエネルギーが必要です。
そうまでしてまで結果に責任を持とうとする姿勢や、相手とそうできる関係を作れるところに、著者の「プロ」性を感じました。
非クリエイターは”総合力”を鍛えよう
クリエイティブな仕事とは、芸術家やデザイナーや写真家など一部の人だけのものではありません。
「表現」の力だけで課題を解決することが難しくなったいま、表現の力+αの総合力が求められています。
それができるのは、クリエイティブ道をひた走ってきた人ではなく、もしかすると畑違いの人かもしれません。
本書に書かれている「手段だけでどうにかするには限界があるから、根本を変えよう」という考え方は、最近聞かれるようになった「上流思考」や「デザイン思考」に通じるところもありそうです。
非クリエイターがクリエイティブな仕事をするにはどうすればよいか。そのヒントを知りたい人はぜひこの本を読んでみてくださいね!
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自分らしい働き方をしたい。そう思う人は多いはず。でも、そのためにはさまざまな面で「長く続けられる」ことが前提です。自分らしい働き方、パラレ…
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