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『ブランディングの科学』読了メモ:消費者とのコミュニケーションを怠るのはマーケティングの罪

『ブランディングの科学』を読了しました。

主な主張は、
・ライトユーザーにアピールせよ
広く、様々なシーンで思い出してもらえる記憶構造を作ることが大事
ということです。

最低限、インプットしたい人はこれだけ覚えて帰ってください。

以前、途中の8章まで読んだ時点のメモを書きました。

今回も『ブランディングの科学』にあった主な主張について、自分に響いた点を中心にメモを残しておきます。

8章までの復習

■ユーザーの特徴

・マーケットシェアは認知度が上がることで、いかなるタイプの購買客であれその数が増え、ブランドが成長する。購買客の多くがブランドをたまにしか買わないライトユーザーである。

・ブランドは多少の差別化のポイントがあっても、その多くがまるで類似製品のように競合し合っている。しかし認知度には(マーケットシェアも)差が生じている。

 ⇒ 目立つことでライトユーザーに広く効率よく継続的にリーチする。消費者がいつブランドのことを考え、いつブランドに気づき、どのように生活に取り入れているか知らなければならない。

・ヘビーユーザーが、ヘビーユーザーであり続ける保証はない
 調査期間が短いことで、ヘビーユーザーになっているが、翌年は、ライトユーザーかもしれない。

・購入回数の平均値にはヘビーユーザーが含まれているので、大多数は、ライトユーザーだし、思っている以上に、購入頻度は低いユーザーが多い

・超ヘビーユーザーは、マーケティングのコントロール外。コカ・コーラだと、毎食、飲む人がいるが、この人たちは中毒と同じ。

・20%のユーザーが80%の売上を上げているという法則もあるが、実際にはそこまで偏りはなく、例えば、半分がちょっとヘビーで、半分はライトユーザーということもある。

 ⇒ ブランドが成長するには、新規ライトユーザーの取り込みが大事だし、本来、コントロールできるかどうかわからない、ロイヤリティプログラムをやるより、ライトユーザー向けの施策をやったほうがいい。

■ブランディング

・ブランドは差別化が不十分でも、際立った存在感を所有するように見えなければいけない。これがブランディング

・調査が正しいとは限らない(ブランドイメージ、消費者態度、購入意思)

・ハミガキの例では、子供用、ホワイトニング用、抗菌用、プラークコントロール用。でも、販路も宣伝媒体も価格も同じや、似通っている。

・マーケターは、ブランドをニッチな市場に押し込むのではなく、広くリーチするための手段を常に探し求めるべき

・消費者がブランドと競合ブランドとの間に認識する差異はほぼ同等である。

・ブランドの差別化とブランドの成功は無関係。消費者はブランドの比較にそれほど時間をかけていない。結果、他のブランドとの差別化が認知されていない

・ブランドはあらゆるメディアを使って長い時間をかけて継続的に消費者に情報を発信しなければならない

8章以降

■広告

・広告には、効果はある。ただし、広告を実施していなかったら、競合に奪われていたはずの売上も含まれている。

・広告の効果を表すのに時間がかかる。

・広告費の変化と全体売上の関連性が低い。しかし、広告を目にした消費者とそうでない層を分けて、詳細に考察すれば、効果があることはわかる。

・さまざまなシーンで想起させる必要がある(コカ・コーラの例)

・頻繁に広告される企業は、高品質であることを経験的に知っている
 (あまり失敗しない)

・消費者は、広告費が出せるということは、今後も売り上げが見込めると感じる

・頻繁に目にするブランドを好む傾向にある(プライミング)

(効果的な広告の作り方)
・すべてのカテゴリーの消費者にリーチする。

・広告活動を長期間休止しない。

・消費者に認識されること。無視されない。

・ブランド連想を明確にすること
  ・ブランド独自の資産でブランド広告を後押しする
  ・視覚的にブランド名に言及する
  ・製品と製品使用シーンを提示することも重要
⇒ 結果、記憶構造を刷新/構築することが容易になる。

・説得力のある情報が1つあれば、本来の達成目標を邪魔しない限り、メッセージが伝わる。

■価格

・多くのブランドが通常価格を定期的に下げて、セール販売している。
実際には、値引きによる利益は、正価で販売し続けても得られていたはず。

・在庫一掃、売上増、すぐに現金化したいブランドの希望。

・小売業者も消費者にいい印象を持たせるためにセールをやりたい。

・価格販促で商品を購入した客のほとんどが、そのブランドに対して、それ以前に購入経験がある(新規客の増加には貢献しない)

・ただし、購入頻度が低い非得意客の購買率の強化にはつながる(購買増強効果) ⇒ その後、購買意欲は、しばらく極端に低下する ⇒ 購買意欲が戻った際には、他のカテゴリーの製品を購入するかもしれない。

・でも、売上目標達成のために、やめることができない。
⇒ 一時的な価格販促を繰り返すことは悪影響。ブランドの参照価格が下がるため

※参照価格:お客様が期待する価格。過去の購入体験で判断している。過去の価格と比較して高い、値引き商品を購入していれば低くなる。通常価格の購買率は下がる。

・人は20ドルの利益より、20ドルの損失を避けようとする。

■ロイヤルティプログラム

(ロイヤリティの高い購買行動に特典を与えて誘導する施策)

・ロイヤリティプログラムをブランドが導入する理由:はやりだから、技術的にできるようになったから、でも…

・ロイヤリティプログラムでビジネスの目覚ましい結果が得られるというエビデンスはない。

・ロイヤリティプログラムは、結局、既存購買層にしか訴えられない。
 (メーリングリスト、ウェブサイト等のタッチポイント)
 利用者は、すでに既存のロイヤリティを受け取っている。

・新たなライトユーザーを捕まえてきて、ロイヤリティ顧客に育てることは難しい。

・ただし、ロイヤリティプログラムは、消費者データベースを構築し、消費者と対話する新しいチャネル解説や店内での消費者購買活動のモニタリングに利用することに適している。

■これまでのマーケティング→これからのマーケティング

・ターゲットマーケティング → 洗練されたマスマーケティング
・ポジショニングを競う → カテゴリー内のすべてのブランドと競う
・差別化 → 独自性
・ポジショニング → セイリエンス(思い出しやすさ)
・メッセージを理解させる → 気づきを与え、感情的な反応を引き出す
・説得する → 記憶構造を刷新/構築する
・教える → 届ける
・キャンペーンで盛り上げる → 存在を継続させる

■メンタル・アベイラビリティとフィジカル・アベイラビリティ

・メンタル・アベイラビリティ:ブランド想起の高さ、ブランドの独自性
・フィジカル・アベイラビリティ:購買機会の高さ、製品が広く流通していること

【大前提】
・どのようなブランドも多くの消費者はライトユーザーで購買頻度は低い。
・時間を埋める装置がたくさんあって(スマホ、SNS)、消費者の興味を惹きつけにくくなった。

消費者の戦略
・最適な選択ではなく、必要最小限、そこそこ満足できる製品を選んで購入している。
・消費者はいろんな’(表向きの)理由(利便性)をつけて、同じ製品を何度も繰り返して購入し、購買行動を簡素化し、いつも同じブランドで購入している(にすぎない)。
・ブランド選択前に、購買行動が決定している(ほとんどのブランドが効果的に無視されている)。

当たり前の結論

・購買機会が多いから目にもふれるし、次に買う時に他の選択肢を除外しやすくなる。でも実際には、大きな違いはない(差別化できない)
・よく使い、目にするから、ブランドの認知も上がり愛着も出る。
・ほとんどの競合ブランドでは、客は同じ顧客を共有している。
・他のブランドの顧客にも売れる、同様に自社の顧客も他に奪われる可能性を常に持っている。

購買時にいかに想起されるか?
(ブランドの記憶が広範囲で新鮮であること)
・ブランドを想起してくれる人の数を増やす:マーケティングミックス戦略
・ブランドが購入の選択肢の一つに検討される回数

■やるべきこと

1.ブランドのサービス/製品カテゴリー内のすべての購買客に、配荷およびマーケティングコミュニケーションの両面から継続的にリーチする。

・ブランドを買わない人や購入頻度の少ない人に届かない戦略は避ける。消費者はさまざまで平均的な消費者像を語っても意味はない。

2.ブランドの買い求めやすさを確保する。

・探していたタイプ、サイズの商品がない、あるいは価格が高すぎるなどの「買わない理由」が生じていないか確認する。実証的市場調査を行ってブランドの買い求めやすくする要因を理解する。

3.目立つ。その過程を誤るとブランドコミュニケーションに費やす費用が無駄になる。

・広告はわずかな刺激であっても記憶構造に影響を与える。たとえわずかであっても好感度から生じた感情的反応が広告に左右すると、消費者は少しずつ広告に注意を向け、販売効果が増加する。
(広告好感度モデル:ブランドイメージが高い→自分に関係がある、共感を生む、楽しい)

4.ブランドが目立ち、買いやすくなるためにも、ブランド記憶の構造を構築/刷新する。

・基本要素(何というブランド名か/どこで買えるのか/どう使うのか)を伝える。

消費者とのコミュニケーションを怠るのはマーケティングの罪

・iPodは、楽しく踊るシルエットを提供した。技術的説明は、販売スタッフに任せて、必要があれば、それをウェブサイトで行った。

5.独自のコミュニケーション資産を創造する。

・サブウェイの例:あれだけ人気のサンドウィッチなのに、ブランドが確立されたサンドウィッチブランドはなかった。ブランドにロイヤルティを感じ、自分のブランド、自分が選んだブランドになる。広告が理解しやすくなる

・M&Mキャラクター/ベンツの星/ナイキのマーク/マスターカードの「プライスレス」

これらの資産があって、初めてブランドとしてのコミュニケーションが可能になる。

6.一貫性を保ちながら、新鮮さと興味を失わない。

・何十年も市場で優位性を維持してきたブランドは、ポジショニングを変更して成功したのではなく一貫性を維持してきた。

7.競争力を維持しつつ、多くの人に受け入れられる。ブランドを買わない理由を与えてはならない。

・消費者は、ブランド選択の際、他の選択肢を無視する
・買わない理由があると、ダメ
・価格が高いのもダメ


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のーどみたかひろ
いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。

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