だれも知らない小さな国
だれも知らない小さな国(著:佐藤さとる)
人間に見られないように地下に住んで生活をしていた「こぼしさま」という小人。少年との出会いでこぼしさまの生活も変わる。こぼしさまはコロポックルと呼ばれて、コロポックルの街を作り始める。
「日替わりオフィス」(著:田丸雅智)に載っている「ポケットのあいつ」にも、「河童」(著:芥川龍之介)にも、トトロに出てくるまっくろくろすけにも似て、ココロにほぉんわかした暖かさが残りました。
「失敗は素晴らしい大失敗になりました」という一文。すべてが意味あることに繋がっているのだとあらためて感じました。
本の終わりに著者はこう書いています。
「わたしがこの物語で書きたかったのは、 コロボックルの紹介だけではないのです。人が、それぞれの心の中に持っている、小さな世界のことなのです。人は、だれでも心の中に、その人だけの世界を持っています。その世界は、他人が外からのぞいたくらいでは、もちろんわかりません。それは、その人だけのものだからです。そういう自分だけの世界を、正しく、明るく、しんぼうづよく育てていくことのとうとさを、わたしは書いてみたかったのです。自分だけの小さな世界は、たいせつにしなければいけないと思います。同時に、他人にもそういう世界があるのだということを、よく知って、できるだけ、たいせつにしてやらなければいけないでしょう。」
この本の中には、神話も感じました。「鏡」「短剣」など、そして神々の名も多く感じました。