大きな玉ねぎの下で(11)
亜紀も学生時代の話を思い出しているようだった。亜紀と夜行バスで会ってからずっと気になっていることがあった。子供がいるということは結婚をしているのだろう。でも、とてもそうとは思えなかった。はしゃぎ回る学生の時の亜紀のままだった。何かわからぬ違和感を感じていた。
「たくちゃん、ここ覚えている?」
「あ、ここで写真を撮ったよな」
「そうそう、たくちゃんがブロンズ像に並んで撮るって背伸びしたり、頬を膨らませて顔を野球のボールみたいにしたりしていたよね」
「そんなことしていたかな?