いやいや期で困らないコツは、いやをたくさん言ってもらうこと
私の住む街では、桜が散り始め、木の若芽が伸びてきました。
新緑が一番みずみずしく美しく見えるのはある人によれば3日間なのだそうです。それもきっと木ごとに違うのでしょう。
今日も読みに来てくださりありがとうございます。日本に伝わる昔ながらの子育ての知恵をこうして皆様に少しずつ読んでいただいて、日々の格闘のような子育てが少しでも楽に感じられるようにと思っています。
先日、久しぶりにお店で、いやだいやだ買って~!と大声で泣いているお子さんと、そのお子さんに大声で怒っているお母さんに遭遇しました。どうやらお子さんが欲しいおやつが売っていなくて、別のでは嫌でどうしてもそれが良かったと駄々をこねて困らせている様子。お母さんも「売ってないの、仕方ないでしょ!!代わりにこれにする?あっちにする?」と散々聞いても「あれがいい~買って~!」と泣かれるので、「ないって言ってるでしょ!もう買わないよ!!」と、とうとう頭にきた、そういう状況の様でした。
年齢はちょうど2~3歳頃。いやいやが沢山出る時期なので、いやいや期と呼ばれますね。多くのお母さんが手を焼かれる時期だと思います。私が遭遇したお店でのやりとりのように、一事が万事「いやだいやだ」になるので、どうしたらいいのか対応にお困りの方も多いと思います。
実はこのいやいや期も、赤ちゃんの時からこう育てると楽に乗り切れますよ、という知恵を日本人は持っていました。
それが、赤ちゃんがお座りできたくらいの時から、おもちゃや食べ物のやりとりを通して、わざと「いやだ」と首を振るようにさせる育て方です。
赤ちゃんは口で嫌だとは言えませんから、首を振ることで「嫌だ」と意思表示してもらう様にしていたのです。お座りが出来たころから、毎日毎日、おもちゃを渡そうとして、「これいる?いらない?」と聞き、いらないと言うときに大人が首を振って見せたり、ご飯を器に盛ったりスプーンで近づけたりして「これいらない?」とやはり首を振って見せる、そういうことをするのです。
ここで大事なことは、赤ちゃんがいやだと表明したら、それをほめて尊重することです。そこで大人の希望を無理に通して、せっかくの意思表示をむげにしてはいけません。
そうしてコツコツと、毎日毎日いやだと首を振って意思をあらわしてもらい、それをほめて尊重することを繰り返していくことで、泣いたりわめいたりしなくても、自分の意志を受け入れてもらえる土壌を、お互いの関係に作っていったのです。
それがなくて、いきなり「いやだ!」と泣いてみても、「だめよ!」「どうしてわからないの!」と怒られて、さらに泣くという、悪循環に陥ってしまいます。
今すでにいやいや期でお困りの方は、子どもが「いやだ」を泣かないで言えた時に誉めて意思を尊重することを丁寧にやり続けていくことで、少し時間はかかりますが、無用の争いが減ってくると思います。
今赤ちゃんをお育ての方は、ぜひおもちゃのやりとりなどで、首をいっぱい振って見せ、「いやだいやだ」の気持ちを赤ちゃんが出したらうんと誉めることを毎日繰り返してみてください。
いやだと意思を出すことは、一生を生きていくうえでとても大事なことです。いやいや期の子どもたちは、第一声が「いや」になったりもしますから、あまりカチンと来ないような心の訓練も必要かもしれません。
そして丁寧にこどもの「いやだ」をほめていくことで、変わっていくと思います。
そうして丁寧に「いやだ」を汲み取りながら育てられていくと、不思議なことに、子どもの側もあまりに駄々をこねる要求をしなくなるものです。これはまったく不思議です。大体の「いやだ」を飲んでもらえると、これはだめなんだなというところでは、すっと引けるような心境になるようです。
お店での出来事のようなことも、なくなるのだと思います。
少しでも昔ながらの知恵を取り入れて、子育てしてくだされば嬉しいです。