見出し画像

加害者家族と被害者家族の交流は現実にあり得るのか

今年3月に発売された、中山七里著「夜がどれほど暗くても」を読みました。

スキャンダル記事を主に扱う週刊誌副編集長の息子が、ストーカー殺人を犯した末に自殺してしまう。
ネタを追う側だった男が逆に追われる身になりバッシングの嵐に晒され神経をすり減らしていく中で、息子が殺害した女性の娘、つまり被害者側の家族と出会い…

という、特大ブーメランなお話です。

ところで、映像化される作品の原作って先に読む派ですか?読まない派ですか?

私は基本読まない派。
先に読んで自分の中で固まってしまった登場人物やシーンのイメージが、後で映像化されたものを観る時に邪魔になるような気がするからです。
映像化されたものを観て、その後補足として原作を読むことは時々あります。

この「夜がどれほど暗くても」を上川隆也主演でドラマ化したものが、11月22日からWOWOWで放送されます。
いや〜、贔屓が出るもんですからね。すごく楽しみにしてるんですよ。

で、先に原作読まない派の私が何故今こうして原作を手に取ったかというと、ドラマと原作では一部登場人物が違うらしいということを知りまして。

ドラマの主な配役は以下のとおり。

志賀倫成 - 上川隆也
井波渉 - 加藤シゲアキ
星野奈々美 - 岡田結実
鳥飼成人 - 高橋克実
楢崎樹 - 鈴木浩介
宮藤賢次 - 高嶋政伸
長澤一樹 - 原田泰造
三田拓也 - 辰巳雄大(ふぉ〜ゆ〜)
鞠子 - 羽田美智子
星野希久子 - 霧島れいか
志賀健輔 - 葉山奨之

この中の、我が贔屓・原田泰造が演じる「長澤一樹」という人物は、原作には登場しないらしい。
ということはまさかの!ドラマオリジナルキャラクター?

そうなると一体どんな役どころで登場するのか気になって気になってしょうがない。
まだ放送まで日があるし、とりあえず原作読んで確認しなきゃ!ってなりますわね。

キャストの姿を当てはめながら読みましたが、どの人物もドンピシャ!
容易にその役として動いている姿が想像できて、ドラマが俄然楽しみになりました。
上川さんはもう、絶対ピッタリ。そして編集長・高橋克実は原作どおりにいけばめちゃくちゃかっこいい(笑)

読みやすいわ面白いわでどんどん読み進む。
読書スピードの遅い私が、たった3日で読み終えてしまった。
終盤の展開はある意味衝撃!これ、このまま映像化するのか…?

泰造さんが演じる「長澤」は、確かに原作には出てこなかった。
警察側の人間としてメインで出てくるのは、高嶋弟が演じる「宮藤」
ドラマでは、高嶋弟は「特別出演」扱いになっている。原作の宮藤のポジションを、おそらく長澤という人物が担うのだろうと思う。

うーん、となると泰造さんの露出度はどんなもんだろうな〜
原作のとおりなら、中盤からは宮藤よりも宮藤の後輩(この後輩刑事も原作とドラマで役名が違う)の方がメインなんだよなぁ。

ドラマの放送がこれからなので細かいこと書くのは控えますが、今こうしてSNSが普及して、その使い方が問題になってますよね。
ほぼ匿名であるのをいいことに、赤の他人を平気で叩いて死にまで追いやるような人たちがいる。自分の正義を振りかざして他人を攻撃してるんですよ。
今年は特に…ね。そういったことで心の痛む出来事が多々あった。

今この小説をドラマ化するということは、非常に大きな意味があると思いました。

ただ、この話ってあんまり現実的ではないと思うんですよ。
事件や、その周辺で起きる出来事はリアルなんだけど、そこに対する主人公の考え方や行動はかなりぶっ飛んでるんじゃないかと思うんですよね。

その結果被害者家族である奈々美とのやり取りが始まっていくわけですけど、加害者家族と被害者家族が心を通わせるなんていうことが、現実にあり得るのかな?と…

第三者から見れば、加害者の家族が直接手を下したわけじゃないんだから、本来なら憎むべき存在ではないっていうのはわかるんですよ。もちろん加害者の立場や環境によっては、例えば親の育て方はどうだったんだとか、そういうことはありますけど…
そこを憎んでも、結局は仕方のないことだし。

だけど被害者家族側としては当然、そんな風に考える心の余裕はないでしょう。理屈じゃないんだ。

奈々美の立場になって読んでいくと、はたしてこれが自分だったらどうなんだろうか?ということになってくる。
同じ立場で、もし志賀という男が目の前に現れて同じ行動をされたら、どうするだろうか…
ちょっと想像し難いんですよね。

ところで先日からWOWOWドラマで、同じく中山七里原作の「セイレーンの懺悔」の放送が始まりました。
見てびっくり。「夜がどれほど暗くても」の高嶋弟=宮藤がこっちにも出てるじゃないすか!!

どうやらこのふたつの作品、違う話ながらも繋がっているらしいのです。
いや〜、こりゃ当分の間は毎週日曜を楽しみに生きられそうだよ。

「セイレーンの懺悔」がこれまた面白いんだ。
あと、高嶋弟がかっこいい役で嬉しい(笑)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?