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sizennomahoo
神くん 「神木」
いわゆる下界というところは何かと疲れるらしい。
食べるためには働かなくてはならないし、働くためには健康でないとダメなようだ。
ならばじっとしてれば良いものを、と思うが、どうやらそういうわけにはいかないらしい。
しかし、そんな中でも次世代へバトンを繋ぐことを忘れない、まさに生命の鑑ではないか。
万物の霊長とはよく言ったものだ。
少しばかり、彼らを励ましてやりたい。
休みになると、神社仏閣を訪れ、魂を癒すそうだ。
そこで私が本物のパワーを授けてやろうではないか。
我ながら良い考えである。
全てのものには神が宿る、八百万の神(やおよろずのかみ)というものを信仰しているそうだが、まぁ、その通りであるがそれだけではないな。
話すと長いからこの辺で、おっと、こちらへ近寄るご婦人がおるぞ。じっとしてなくては。
おっとご婦人が私に手を、、何か祈ってるのか?
少し枝葉を揺らしてみるか、、、
おお、ご婦人、嬉しそうだ。パワーを感じたかな?
よしよし。
次なるは小太りの中年男性か?むむ、抱きついてきおるぞ、、やめろやめろ、表皮が痛むではないか、やりすぎであるぞ。そんなことではパワーはやらん!
御神木には触れてはならんのだぞ、無礼な!
、、、ご婦人はまぁ許すが、、
次はなんだ、青年か、、ん?犬を連れて、、こらこら、それはならぬと聞いてはおらぬか?
マナーというものは大事であるぞ。
あっ!
犬が私に、お小水を、、、!
うぬぬ、、、怖いもの知らずとはこのことよ!
どうしてくれよう!
が、しかし私は全知全能の身。
心が広いのである。
ささ、社へ行きたまえ。
おみくじ売り場では、ご婦人が「大吉」に歓喜している。
小太りの中年男性が「凶」に肩を落としている。
その後ろの方で、石段を踏み外して転げる青年と犬がいた。
神くんの冒険は続く。
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