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今週のニュージーランドの新聞記事より- ドラッグをQOLを上げるために使う、ってあり?

 今週の週末は、金土日と休みのいわゆるロングウィークエンドです。
金曜日は「マタリキ」と言う、2022年から新しく始まった祭日でした。
この日はマオリの暦での、新年の始まり祝う日です。

「マタリキ」と言うのは「プレアデス星群」、
日本で言う「スバル」を指します。
ずっと昔に、お互いの存在も知らなかった違う国の人達が、
同じ星達を見て、いろいろ考えていたのですよね。

インターネットはもちろん、テレビもラジオなく
本でさえなかったか、限られた人しか手に入れられない状況だったからこそ、
誰にでもアクセスできる「自然」の小さな変化に注意を向けて
意味付けをしていたんでしょうね。

今回の記事

 今日の新聞記事は「エクスタシー」と言うドラッグについてです。
といっても、依存症の話ではなく、ドラッグをQOLの向上やメンタルヘルスの治療に使うことについてです。

「エクスタシー」は合成麻薬であるMDMA(メチレンジオキシメタンフェタミン)の事を指します。
この記事では中年の「普通の」カップルが少量のMDMAを使う事で、
夫婦の関係や、友達関係、自分の自己肯定感に大きな効果を得られた、という話を載せています。
MDMAを使った経験が彼らの「結婚生活の中で最高の出来事であった」というのです。

実際にどのくらいの量を使ったかは書いていませんが、「少量」との事。
それを彼らは、頻繁ではなく、3ヶ月に1回の頻度で使っている。

記事で取り上げられている女性は、一度MDMAを使うと、
数週から数ヶ月も、幸福感が増しているらしいです。
薬理的には、薬自体は体の血中から、2日程度で完全に排出され、
普通は、高揚感も6時間位で消失するらしいので
なぜこの女の人が、長期間にわたって効果を感じているのかは不明なのです。

ただ、この様な効果こそが「MDMAを精神疾患、特にPTSDや治療を困難なうつ病に使う」と言うことにつながってきます

お隣のオーストラリアでは、約1年前の2023年7月から
MDMAがPTSDの治療の一環として処方できるようになりました。
と言っても、限られた精神科医のみ処方でき、
サイコセラピーとの併用に限られているようです。

同じ時期にオーストラリアでは、「マジックマッシュルーム」を
通常の治療が効かないうつ病に処方できるようになりました。

私の患者さんの1人が、オーストラリアで、マジックマッシュルームのような薬を使い、今まで長年のうつ病や不安が消え去ったと報告してくれました。
今現在かなり前向きに自分のビジネスなど向き合っています。

現時点では、幸い自分自身はこれらのドラッグを使う様な状態ではありませんし
処方して貰えたとしても、使う気はありません。

なぜって、ドラッグを使ってすごくポジティブな経験をしたら、
そのドラッグに依存しないで生きていける、と言う自信がないからです。笑

でも、本当に行き詰まった状況になり、
「このドラッグを処方して貰うか、自分で命を断つか」と言う状況になら、
処方して貰えるなら使いたい、と思うかもしれません。

私が合う患者さんの中には、そのぐらい行き詰まった人が時々います。
そのような人には、医療の一環としてこういうドラッグを使うと言う選択肢があるのは良いことなのでしょうね。

もう自分の死が目前にある状況で、緩和ケアの一部としても使われる可能性がある様です。
その状況なら依存症の心配もないし、
多くの人が持つ「死の恐れ」を緩和するという意味で
意味があるドラッグの使い方なのかもしれません。

(この私の記事は、一医師として「ドラッグと分類されている物質が、どのように治療目的に使われているか」に興味を持って書いたものであります。
違法なドラッグの使用を勧める意図は全くありませんので、ご了承下さい。
この記事を読んだ後、あなたがどのような行動を取ろうと、
私一切責任を持ちません。)



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