[800字コラム] 入口と出口
日本のコロナ感染者数が欧州並みに増えないことについて、根拠もなく
「アベ政権が数字を隠蔽している可能性がうんたらかんたら」
と感情論をぶつ学者センセーがいたと記憶する(恥ずかしいことにわが母校上智大学でフランス文学を教えているらしい)。
そうしたフランス大スキおじさんの主張以外にも、
「日本は国民のPCR検査を徹底していないから、隠れた感染者を発見できず、実際には欧州並みに多いのだ」
という意見もある。それは確かに一理あるかもしれない。
それらの意見が仮に正しくて、感染者が統計の数字以上にいたとしても、重症になっても保健所や病院を頼らないとか、死亡しても届け出ないことはまずあり得ない。
すなわち、感染者数という入口の数字が正しくなかったとしても、重症者数・死亡者数という出口の数字は正直だし変えようがあるまい。
コロナを経て国民の死亡者数が爆発的に増えたのならば、感染者数の集計が間違っていて、実は感染爆発していたという主張が正しいことになるが、実際にはなんと、2020年の国内の死亡者総数は前年より約9,000人減少しているのだという:
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG228660S1A220C2000000/
重症者数も爆発的に増えているとは言い難い:
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-japan-chart/#d24
ここでもまた
「統計は虚偽で実際の数は増加している!」
という主張があるかもしれない。
が、もしもそうならば、昨年欧州で見られたような、治療を受けられない患者が病院の廊下で倒れていたり、医療現場で命の選別が行われているはずだが、それを裏付ける証憑は見当たらない。
我が国の状況を眺めてみるに、強制力を持ったロックダウンは憲法上できないし、ワクチンの国内認可も遅れたし、もとよりワクチンを国産できる体制さえなかったほどボロボロの状況だったにも関わらず、政府と国民はそこそこ以上にコロナ対策をしっかりやってきた、と言えるのではなかろうか。
もちろん、変異株が猛威をふるう現状、その状況が大きく塗り替えられる可能性がなくはない訳だけれども