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若きサムライのために (5)

(中高時代の恩師に依頼されて書いた文書をnoteでも公開しています。各話1,200字/全7回)

読書の続き。
「どんな本を読んだらいいですか?」
と質問をする人が時々いますが、自分のお腹が空いた時に
「何を食べたらいいですか?」
と訊く人はいないと思います。食べたいものを食べますよね。
ですから、人に訊いて正解が得られるのかという疑問もあるのですが、いくつか読みやすい本を紹介したいと思います:

『もう、きみには頼まない』 城山三郎・著
『昭和16年夏の敗戦』 猪瀬直樹・著
『わが人生の時の人々』 石原慎太郎・著
『男の系譜』 池波正太郎・著
『英語屋さん』 浦出善文・著
『戦時少年 佐々淳行』 佐々淳行・著
『若きサムライのために』 三島由紀夫・著
 
皆さんの暮らしに直接関わる本は少ないかも知れませんし、進学や就職に関するテクニックは書かれていません。

しかし、先人のこなれた文章を読むことで、ご自身の日本語力も確実に向上します。そして、経験したことのない世界を知り得る最も身近で有効な手段が読書です。

自分とは無関係の他人が描く事柄にだって、自分が向かうべき道や欲しい物を手に入れるためのヒントがどこかにあるはずです。

さて、読書に際しては図書館を是非活用いただきたいと思います。学校の図書室はもちろん、地元の公立図書館にも様々な本が充実しています。上に挙げた本の中には絶版のものもありますが、図書館にはあることも多いです。最近はネットから検索や予約もできますし、何より、すべて無料で利用できるのです。

やや抽象的な話が続きました。もしかすると皆さんは、もっと具体的なスキルの身につけ方を教えてほしいと思っている頃かもしれません。
では、ふたつほど提案したいと思います。
一つは、TOEIC。もう一つは、簿記検定3級です。

TOEICは、そのスコアが英語力の指標の一つになっていることはご承知の通りです。
簿記というのは、お金の動きや流れを紐解くものといえます。簿記3級の知識があれば、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)をはじめとする会計の基礎が体得できます。どんな会社でも、あるいは大学や研究機関であっても、お金の動きを把握することが大事なのは言うまでもありません。

両者ともありふれた資格試験かもしれませんが、学校の知名度や偏差値のランクといったものに関係なく、皆さんを等しく評価してくれることは紛れもない事実です。

進学先であれ、就職先であれ、皆さんを選考する人たちが真っ先に評価するポイントは「自分と一緒に仕事をしたくなるかどうか」という一点に尽きます。
たとえば皆さんの履歴書を見た時、あるいは面接で対峙した時に、ひたすら学校の部活の経験を語る人と、社会に出て困らないように英語や簿記の勉強をしてきましたと語る人と、一体どちらと一緒に仕事をしたくなるでしょうか。
考えるまでもありませんよね。

誰にでも通用する資格として、英語と簿記を挙げましたが、皆さんが進みたい道を定めているのならば、別の資格やスキルを当てはめてみても同じことです。

(1,200字)

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