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【400字コラム】奇怪なイデオロギー

朝ドラ『虎に翼』に突如現れた夫婦別姓議論。
モデルの和田嘉子が再婚して三淵姓になったのは昭和31年(1956)だけど、本当にあんな議論があったのか。

史実から4年後の昭和35年(1960)に、政治学者の中村貞子が結婚している。
ご主人が結婚に際して出した条件は「博士論文を書き上げて学位を得ること」だったという。
満州事変を論じた彼女の博士論文は、改姓後の名前で提出された。

のちの活躍でその名が知られることになる緒方貞子はご主人の姓だけど、旧姓でないからといって彼女の業績や論文の価値が下がることもあるまいし、緒方自身、女性であることに価値の基軸を置かなかったとする教え子の証言がある。

僕は改姓を強制する立場ではないけれど、夫婦別姓でないから女性が活躍できない独立できない、と決めつける主張や思考があるとすれば、それは偉大な緒方貞子を見ても全く成り立たない、奇怪なイデオロギーということになりはしまいか。

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