両手で抱いてほしい
街で見かける小さい赤ちゃんの抱っこ。
どんなふうでしょうか。
抱っこしてくれる人に自力でしがみつけない
小さい赤ちゃんの抱っこは両手で横抱きが基本です。
そんなの知っているけれど、移動するときは無理でしょ!
そういうあなたにもう少し知ってほしいのです。
小さい赤ちゃんを抱っこするときには、
片手(ひじの内側)を首から肩にあて、
もう片手をお尻から背中に添えますよね。
ときどきさすったり、きゅっとしたり。
その「タッチング」と「ハグ」が、
子どもの皮膚感覚を刺激して、育てて、
脳から体を動かす指令を出したときに反応するために必要な
骨の存在と位置を脳に教えて、
赤ちゃんがからだの地図を作っていくのを助けます。
道具にそういう人間の役割はできません。
しかも、両手を使わない抱っこは、縦抱きにせよ横抱きにせよ、
小さい赤ちゃんの体に負担をかけています。
でも、両手でだっこの大原則が
「両手が空かなかったら、
ワンオペで荷物を持って、
一体どうやって移動するのですか?!」
という母親たちからの悲鳴によって、
両手を空けてだっこできる道具の開発につながったのだと思います。
その質問に答えられないから、
誰もが黙ってしまったのだと思います。
赤ちゃんの身体を犠牲にして。
(体は心や脳にもつながっています)
身体を拘束して、親の身体に縦に括りつけて運べば、
落ちないから安全、と。
そうじゃない。それは、「安全」な解決方法じゃない。
赤ちゃんの健康を犠牲にしています。
工夫すべきは、ワンオペの解消です。
小さな赤ちゃんと一緒に奮闘している親がいたら、
周囲の人たちが気軽に手助けできるように
社会を作り変えることが必要なのです。
でもそれには時間がかかります。
仲間が必要です。
(かつては、5-6歳の子どもや家族、親戚、近所の人たちが
皆で交代で赤ちゃんのお守りをしていたのですけれど、
赤ちゃん親子の生活の周りに人が少なくなっています)
だから、その前に、自分にできることを考えてみて下さい。
近所に妊婦さんがいたら、
声をかけて、顔見知りになりましょう。
こんなふうに手伝えると申し出てもいい位になるまで
まず仲良くなりましょう。
お惣菜を持っていったり、
お掃除を手伝ったり、
布団を干したり。そんなことから。
お父さんがいても、できないかもしれないじゃないですか。
じゃあ、だれかがやればいいんです。
地域の宝なのだから。
(私が滞在していたカナダの小さな村で、
赤ちゃんが生まれたとき、
みんなが順番を決めて、その家の家事を手伝っていて
ステキだなぁって思いました。
そういう仕掛けができたら!)
そういうところから始めるしかないのです。
大変です。理想を言うなと言われます。
でも、ずうっと人類の大多数がそうして
赤ちゃんを育ててきたんです。
それが「赤ちゃんにとって」「私たちにとって」必要なことだから。
本当に必要だとわかったら、みんななんとかしますよね。
でも、本当に必要だと納得できていない人が多いようです。
だから、仕方ないねと、別の方法を探すのだと思います。
いやいや、それでも無理なんです。
そう思われるならば、仕方がありません。
だって、
赤ちゃん情報満載の雑誌には、これが危険、こうしなければだめ
そうでないといい親になれない。そんな脅しの情報ばかり。
これを買えば楽、これを買わないと大変になる。
そんな情報ばかりで購買意欲と不安をあおっています。
この記事も、そういう情報と同じと思われる気がします。
100に1つの事故予防ではなくて、
みんながやっていることに対する警報だと
わかっていただけることを願って。
その中の一人でも健康に育ってほしいなと思って伝えます。
道具に決して置き換えることのできない人間の役割が
子育てにはあるのです。
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