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ヨルクシュマイサーの南極の氷山

Lulyさんのブログにある氷山に関して
https://note.com/ultramarine_moon/n/n30215c5a6202

ヨルクシュマイサーさんの版画のご紹介をいたします。

ヨルクシュマイサーJörg Schmeisserさんは1942年に当時ドイツであったバルト海に面したポメラニア(現ポーランド)に生まれ、俳優を目指したけれど美術に転向して、ハンブルグ造形芸術大学を卒業しました。京都市立美術大学大学院に留学し、その後近東,中東の考古学発掘現場で画家として働き、たくさんの作品をつくりあげています。彼の作品に見られる文字、記号そして細密な画法はこの時の経験の産物でしょう。1978年にキャンベラ美術大学で版画科の教授となり1997年退官。その間、京都精華大学,プリンストン大学あるいはエルサレム,パース,ホバート,杭州で教授,訪問芸術家として活躍しました。またヒマラヤのラダックからカンボジアのアンコール,南極と世界の秘境を訪れ作品を残しています。その後京都市立芸術大学版画科教授となり,京都とオーストラリアに住んでいました。同氏には,版画に限らず,水彩画にもすばらしい作品があります。同氏の作品はニューヨーク近代美術館,大英博物館,オーストラリア国立美術館,パリ国立図書館,ドレスデン国立美術館をはじめ世界の主要美術館に収められています。そして2012年に亡くなりました。

さて彼の作品「ビッグチェンジズ」(2002年及び2004年 エッチング)

は氷山の崩壊過程を一枚のエッチング板を使用し一面ずつ完成させ、プリントし、その上に次の面を書き込む手法を用いて表現したものです。
左から右に,氷山が溶けていく過程がわかります。前の面との継続性が部分的に見て取れます。


最初の姿

1998年に作者が南極へ旅して,生まれたものです。オーストラリアの南極基地モーソンとデイヴィスで構想されたたくさんの作品の中の代表的な一つです。氷山は崩壊過程で,ある瞬間に上向きの氷山が逆転し,今まで海中にあった部分が海上に現れるという信じられないような光景が出現するそうです。そしてそれに遭遇した驚きを作者は熱心に語ってくれました。7枚の連作であるこの作品の完全なコレクションは東工大とオーストラリア国立美術館にあります。具象的ではありませんが,むしろその抽象性から様々な思いが湧き上がってきます。

溶けていきます

この一連の作品は東工大の西9号館のホールで鑑賞できます。平日の昼間。 暗い時はライトつけた方が良い


東工大本館

私は

次の絵のように、もし南極に存在する一つの石がこの氷山を見たら全く異なった光景が広がるのではないかと想像します。

氷山はひょっとしたら3000万年前にできた氷床と関連を持った何百万年前の氷を含んでいるかもしれません、それに秘められた、エネルギーまたは振動は遥か太陽、金星、木星、月とも共鳴し合い そして近くの氷山ともコミュニケーションをとっている、もちろん海水下に沈んだ部分から強烈な力を出しています。


この光景は 最初に掲げた、人間の視覚が捉えたものとは全く異なるのではないでしょうか。私たちの認識は本当に限られていると思いました。




南極の石から見た氷山


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