最近触れた、発達障害がテーマの作品
最近、発達障害、こどもの貧困、児童虐待関連の書籍を読んでいる。その中で印象に残っているものを紹介したい。
①『あなたを愛しているつもりで、私は−−。娘は発達障害でした』遠宮にけ
これは発達障害(自閉症スペクトラムとADHD)の幼児を持つ母の孤独、苦悩を描いた小説。
高校教師として働く主人公夕子が、娘を育てながら感じてきた違和感。何を言っても会話にならない、心が通い合わない。娘の瞳に映らない母親の孤独、周りに理解されず、でも認めて欲しくて母としての自分を責め続ける夕子のもがきが描かれている。発達障害児を持つ親の孤独や葛藤、常にこどもに目を光らせてなければならないことで起きる疲労も書かれていて参考になる。
日本で子育てしてるとわかるが、この国で子どもを育てるのは、沢山の「べき論」に抑圧されることに等しい。
・母親はこういうもの
・母親は〜すべき
こうした社会が無言で与えてくる沢山の「べき」に当てはまらないと、親戚や親や友人やパートナーから「ダメ母」のレッテルを貼られる。
そうして他者から受ける親としての評価と理想のギャップに苦しめられる夕子に共感する人はすごく多いのではないだろうか。私も、私個人的にすごく頷くことばかりだった。
でも、一つ言えることは、”周りがどーのこーの言うのは程々に聞き入れつつ、自分たちの幸せのカタチは、自分たちが決めればいい”ということ。つまりは、自分軸なんだよな。
この小説には、発達障害のあるなしに関わらず、様々な心に傷をおった親子が出てくるので、読み手は、登場人物のどれかには自分を投影し感情移入するのではないかな。ただ、夕子の夫はいわゆる”神夫”なので、現実世界の方がシビアかもしれないので要注意です。
②映画『Mommy』
友人の紹介で知った映画。発達障害(ADHD、愛着障害)を持つ息子を持つ母の深い愛、葛藤を描く物語。支援施設で放火騒ぎを起こし、自宅で母と暮らすことになった母ダイアンと息子スティーブ。母親への過度の愛着がある息子と、そんな息子を心から愛する母。
日によって調子が不安定な息子への深い愛情を持ちながら、一緒に生活するために仕事を辞め、度々息子が起こす問題の尻拭いをし、お金も時間も息子のために費やされていく自己犠牲の日々。愛していながらも、一緒にい続けることで自分が潰され、タバコとアルコールがないと安らぎもない状態。話の最後は、苦渋の決断をするんだが、その姿に心が苦しくなった。子育てをしている人なら、この葛藤すごくわかるのではないか。
ダイアンはいつも明るくポジティブで、息子を愛し、彼に手をあげたこともない。ひたすら笑顔で、寄り添い続ける。でも、彼女の強さは脆さと表裏一体となり、ある日突然崩れてしまう。すぐにリカバリーするんだが、その脆さと一体化した強さの鎧を身につけ生きてく姿に、私は自分を投影し目頭が熱くなった。
「あんたがいるから私は休む暇もない!全てはあんたのせいだ!」と子供を責め、手を上げてしまうと虐待になるが、ダイアンはその一線を踏まぬよう必死に自分を律し毅然と振る舞っている。つまり、彼女はいつ虐待に及んでもおかしくないほど、追い詰められてる状況。
でも、彼女が息子へ愛を伝え続け、一線を超えずにいられるのはなぜか。それは映画の最後に彼女が言った言葉に集約されているように感じる。
”「希望」があるから諦めない”
そこに微かな希望を見られるかどうか、なんだろうなぁ。
以上、最近触れた発達障害をテーマにした作品2つをご紹介した。
興味がある方は、手にとってみて欲しい。いつもと違って世界が見えるはず。