100マスで創る新規事業〈改〉第2章‐1
ここからは未来島です。
この島では未来について考えます。
未来ってすごくビッグワードですよね。
未来を定義してどこの・どんな未来なのかについて考えていく島です。
想定した未来が正しいかは3つ目の3Cぐるぐる島で検証していくので
この島では未来について仮説を立てましょう。
それでは、はじまり、はじまり。
第18マス目では未来を考え始めるにあたっての心構えを学びましょう。
ゴビンダラジャンさんの名著ですね。
新規事業を成功させる考え方のコツを書いています。
ポイントは、まずは忘却する、次に借用する、
最後に学習するの順で考えることです。
3つの順に説明します。
1つめの忘却は忘れ去るということです。
未来島で強みについて明確にしてきました。
この強みを使って新規事業を起こしていくのですが
それは実際に進めていときにすることであって
未来を描くときは自分たちの強みにとらわれることなく
考えるようにするため一旦、すべて忘れて素直に未来を考えましょう。
そして次に未来を描いたら既存事業や自身の強みを使いましょう。
それが借用ということです。
先ほどの忘却も借用もあまり馴染みのない言葉ですが
意味は先に記載した通りです。
馴染みのない言葉になってしますのは
良くある翻訳ミスではないかと思っています。
最後に学習です。
未来を実現するために現在持っている強みでは足りないものは
学習することで身に着けて行こうということです。
学習には単なる勉強だけでなく資金調達などの意味も含まれます。
未来の足らずを満たすということです。
この学習はリーダー自ら率先して行わないといけないですね。
話は逸れますがこの著者のゴビンダラジャンさんは
リバース・イノベーションという本も書かれています。
この本は、先進国ではなく新興国からイノベーションを起こし
先進国へ展開するという、
これまでの考え方と真逆の考えを提唱しています。
先進国の、特に大企業では法規、既存事業の社内ルールやブランドで
ガチガチに縛られて新しい取り組みに挑戦しにくいのではないでしょうか。
新規事業ではやってはいけないこと以外は
どんなことでも挑戦していくのがいいですよね。
でも既存事業ではやっていいこと以外しないことが重要ですよね。
これをポジティブリスト・ネガティブリストという言い方をします。
ポジティブリストは言葉の響きはいいですが
ポジティブ(やってもいいこと)リストに載っていないことは
行ってはいけないということです。
ネガティブリストは、ネガティブ(やってはいけないこと)リストに
載っていないことはやってもいいということです。
自由度は圧倒的にネガティブリストの考え方のほプが高いですよね。
既存事業の最もがちがちなところは工業の生産ラインです。
生産ラインでは流れてくる商材を決められた物を決められた方法で
組み立てていきますよね。
それぞれの工程で細かく作業内容、手順、かけていい時間が
決められています。
この方法を守っているから品質基準が満たされた商品が再現よく、
効率よく出来上がり歩留りが良いんですよね。
これがポジティブリストの考えですよね。
逆にこれを新規事業の考え(ネガティブリスト)で生産すると
どうなるでしょうか?
黒い色のセダン車の製造ラインで考えてみましょう。
ネガティブリストの考え方で製造すると
例えば扉を取り付ける方が私は扉の大きさは同じでないと締まらないので
困るけど色は黒じゃなく赤の方がかっこいいと思うと考えて
黒のボディーに赤の扉を取り付ける、
例えば違うラインの方が私はあまりリアワイパーを使わないから
取り付けませんでしたとかが起こります。
このような考え方で作られた車はどんなものになるでしょうか。
品質がそろっていないものだらけになりますね。
既存事業でこんなことをされると困りますよね。
ですので、既存事業ではポジティブリストの考え方が重宝されます。
一方で新規事業では絶対にやってはいけない法律を破るとか
コンプライアンス違反などやってはいけないこと以外は
試してみてどのようにすれば顧客を満足させられるか
検討しないといけないですよね。
またこの本に書かれているように先進国と新興国を比べると
新興国の方が普段の生活で不便のために新しい技術やシステムが
取り入れやすいですよね。
どちらかと言えば先進国が既存事業、新興国か新規事業の
考え方に近いですね。
新興国で検証された実績を得られた技術やシステムを
先進国へ展開する方がやりやすいのではと、
示唆しているのがリーバース・イノベーションの本質なのです。
このマスでは素直な心で未来を描くために、
これまで考えてきた強みなどを一旦忘れて考える大切さを学びました。
第19マス目からは未来について考えて行きます。
未来ってビッグワードですよね。
そして、この100マスで行っている新規事業開発って意思決定者に
認められないと進められませんよね。
そのため、このマスでは意思決定者が考えている未来について
明確にしましょう。
初めに、意思決定者は何年後の未来を考えているでしょうか?
直接、意思決定者に聞くのもいいですが、
12マス目に事業を継続するためにいつ・どのくらいの新規事業が
求められているか考えましたね。
それがポイントになります。
次に、展開地域についてどういう考えを意思決定者が持っていますか。
既に展開している国内での新規事業でしょうか、
海外も含めた新規事業でしょうか、
また国内で開始しグローバルに展開したいと思っているでしょうか。
明らかにしましょう。
最後に、規模ですね。これも12マス目でおおよその検討が付きますね。
このように意思決定者(投資家)が思い描いている
未来を明らかにしましょう。
それにより採用される確率が高くなりますよね。
第20マス目は提案する未来の種類とプロ・コンについて理解します。
プロ・コンとはメリット・デメリットと同じ意味です。
なぜかビジネススクールではプロ・コンとよく言います。
さて未来の話ですが未来には2種類の未来があります。
客観未来と主観未来です。
客観未来とは人口統計や景気予測など、
ほぼほぼ起こりそうなことを予測した未来です。
一方の主観未来はデータもないが自分がこのような未来が来ると
予測している未来のことです。
この2つの未来についてプロ・コンを考えてみましょう。
初めの客観未来について、統計データや政府・調査機関・業界の
予測データのある場合が多いので説得力が高く、
意思決定者に採用されやすいですよね。
一方で、調べれば考えられる未来なのでオリジナリティーが
少なく多くの競合会社で検討されやすいですよね。
このようなプロ・コンがあります。
残りの主観未来について、あなたが考え付いた未来なので、
客観未来の逆で
オリジナリティーは十分にある一方、データがなく説得力に欠け
意思決定者に採用されにくいですよね。
このように未来には2種類ありプロ・コンが異なります。
大企業では客観未来アイデアの方は受け入れやすい傾向に
あるように思います。
このマスでは未来の種類について考えました。
次のマスからそれぞれの未来について
どのように対応していくのがいいか説明します。
第21マス目からは客観未来について説明します。
まずは客観未来の見つけ方です。
客観未来は統計データなどでほぼほぼ起こりそうなことが
分かっている未来ですよね。
ですから、様々なところから分析結果が無料・有料で公開されています。
初めに考えるポイントからです。
PEST分析はご存じでしょうか。
4つの英語の頭文字を集めたフレームワークです。
PはPolitical(政治)、EはEconomy(経済)、
SはSocial(社会)、TはTechnology(技術)です。
なぜこの4つが選ばれているのでしょうか。
それはこの4つが変わると大きく未来が変わりやすいからです。
PESTのフレームワークは大きく変化のもたらす項目を上げているものです。
PEST分析をするとはこの4つの視点で設定した未来
(意思決定者が求める未来)に変化を起こしそうな項目を挙げることです。
その中でどのような変化をもたらしチャンスが出てきますか。
変化のあるところにチャンスあり、大きな変化をとらえて
チャンスに変えていきましょう。
またPESTの4つの切り口以外のも変化の起こる項目を
考える方法として新聞の欄で考えるのもいいですね。
新聞の欄は読者が注目している項目を欄によって分けて
記事にしているのですよね。
欄ごとにどのような変化が起こりそうか考えるのもいい方法です。
次の客観未来を見つける方法です。
政府や業界のWebサイトに様々なデータが公表されています。
例えば総務省統計局のワイトには国の人口推移はもとより
地域人口、年齢分布、男女、家族構成、生活出費などなど
多くのデータがエクセルで公表されています。
また多くの工業会や組合のWebサイトでは業界予測などのデータや、
お困りごとが公表されています。
載っていないことについても電話やメールで問い合わせれば
答えてくれることが多いです。
最後に調査会社のデータを活用する方法です。
国内のデータであれば富士経済社や矢野経済社が多くの分野で調査います。
ある期間でまとめた本を購入することができます。
また契約次第では本一冊買わなくても必要な章単位で
購入することもできます。
調査のない内容については各社の調査員が調べてくれます。
ただし調査員を使った調査は内容にもよりますが
100万円程度の費用がかかります。
業界についてはWebでデータを公表しているSppda社や
MDB社がいいですね。
これ以外で客観未来はWeb調査すれば多くの情報が手に入ります。
このマスでは客観未来の見つけ方について学びました。
第22マス目は客観未来のコンであるオリジナリティーがないことに
ついてどうすればいいか考えて行きます。
多くの人がネットや調査会社で得られる未来が客観未来ですよね。
一方でオリジナリティーがないことがコンですよね。
それではどうすれば客観未来にオリジナリティーを出せるでしょうか。
それは客観未来の事実を基にそれが起こったらどうなるのか、
So Whatを5回以上繰り返すことです。
そうすればオリジナルの未来になります。
具体的な例を基に説明します。
客観未来の例として国内のシニアの人口増と設定します。
シニアが増えたらどういうことが起こりますか?
こう考えるのが、So Whatです。
色んなことが起こると思いますが一例として死ぬ人が増えるとします。
死ぬ人が増えるとどうなるか、So Whatをさらに考えます。
火葬場が込み合うことになります。
このようにSo Whatと繰り返していきます。
火葬場が込み合う、火葬場はなかなか作れない、
早く火葬できる装置が必要、燃やした後に早く冷やす技術が必要・・・。
このように誰でも知りえる客観未来に対してSo Whatを
5回以上繰り返せばオリジナルの未来に辿り着きます。
いかがでしょうか。
初めはなかなかSo Whatを考えるのは難しいですがなんでも慣れです。
日ごろからSoWhatを繰り返し考える訓練をしてみてください。
今回は客観未来をオリジナルにする方法を説明しました。
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