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「チームの目標設定や戦略づくりってどうやっているの?」を図で説明してみました

チームで仕事をしていると「全員の課題意識がそろえられない」「目標に対する考えがバラバラ」といった、関わる人の認識の違いからチーム運営がうまくいかないケースがよくあります。

結果、チーム目標やメンバーの目標設定がちぐはぐになり目標達成もしない。

「事業開発」という役割名称がついたのはnoteに入ってからですが、過去9年間、複数の部署・事業にかかわってそんな状況を「整理して前にすすめる」仕事をずっとしてきました。

どんな部署、どんな事業でもチーム戦をするのであればリーダーは、

1.会社とメンバーが納得するチーム目標と戦略づくり
2.チーム目標を達成するための役割分担(=メンバーの個人目標決め)

をする必要があります。

ぼくもまだまだ至らない点だらけですが、最近note社で「チームの目標設定や戦略づくりってどうやっているの?」と聞かれる機会があったので、あらためていままで自分がどう仕事をしてきたか整理してみました。

・あたらしいチームを担当することになったリーダーの方
・チームやメンバー、自分の目標や戦略づくりに苦手意識がある方
・チーム内で大きな視点で仕事をしたい方

といった人たちの参考になればうれしいです。

STEP1:考え方のフレームワークを知る

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まずはじめに知っておきたいのは、課題や目的、目標や戦略を整理する「考え方」のフレームワークです。

目的、戦略、戦術、ってよく聞くけど軍事用語?すごく苦手・・・という方が多いかもですが、理解すればそこまで難しいものではないので、キーポイントだけ抑えておきましょう。経営レベルの人たちは共通言語にしていることが多いので、リーダーとして知っておいて損はないはずです。

戦略整理系のフレームワークには流派があり、はじめてふれる方は違いがわからず、ここで混乱します少なくともnote同僚にヒアリングしたところ、3パターンありました。

ぼく。前職オールアバウトで勉強。とある広告代理店のストラテジックプランナーのものらしいです。

・目的
・考え方
・ターゲット
・戦略
・戦術

元マイクロソフトの津隈さん。

・問題
・ゴール
・分析
・戦略
・戦術

元Amazonの坂本さん。ボストン・コンサルティング流。

・現状把握
・課題設定
・目的
・目標
・戦略構築
・戦術構築
・実施計画

うわっ、見慣れない難しそうな漢字だらけ・・・!やっぱり無理!とこの時点で思ったらもったいない。多少の違いはあるのですが、最重要の共通点は3つです。そこだけ習得すればOK。例えば、人材採用のケースで紹介していきます。

①「理想の状態」と「現在の状況」のギャップが「課題」。「課題」と「目的」はほぼ一緒。「目標」は「目的」を具体化したもの。

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②「目的」を達成するための大きな方針が「戦略」。「戦略」の具体案が「戦術」。「目的」と「戦略」はきほんは1対1の関係。「戦略」に対して「戦術」は1対Nの関係。

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③上位レベルの「戦術」が下位レベルの「目的」になる

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会社の目標→部署の目標→個人の目標と落ちてくるのはわかりやすいですよね。考え方はそれと一緒です。

チームの運営がうまくいっていないときには、

・戦略と戦術の関係の整合が取れていない
・下位レベルにある目的が、上位レベルの目的と矛盾している
・一つの戦略に対し、目的が複数になり優先順位がわからなくなる

あたりのケースが多いかなと思います。

フレームワークはこの後の整理やチーム全体の同意づくりに利用します。どの流派もやっていることはほぼ一緒なので、自分の中で使いやすい型を一つ決めて慣れておくのがオススメです。

STEP2:個別にヒアリングして一次情報をあつめる

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つぎに関係各所にヒアリングし、一次情報をあつめます。フレームワークどおり、まずは上長・メンバー・横の部署にそれぞれが思う

1.チームの理想の状態
2.チームの現在の状況
3.チームの課題

を聞きます。ヒアリングはメンバー同士気をつかうので、ひとりひとりしていったほうがよいでしょう。事前のとるべきスタンスとして「個々が持つ感覚はほぼ正しい」という点を意識します。疑ってかかると信頼関係を損ねます。ただ、

①人によって同じ言葉でも定義がちがう
②見ている課題のレベルがちがう

ことに注意。

例えば先程の採用のケース。記載上単純化していましたが、

①人によって同じ言葉でも定義がちがう
「優秀な人」の定義が人によって違ったら、その後の戦術がすべてズレる。「優秀な人」とはどういった人か?の認識もすり合わせるべき。また「少ない」「多い」も要注意。人によって感覚が違う。
②見ている課題のレベルがちがう
上司は「優秀な人を採用する」ことが課題だと思っていたが、現場は「良いコンテンツを作る」ことが課題だと思っていた。結果、見栄えのいいコンテンツが作られたが、優秀な人を採用することが意識されていなかった。

こんなケースがあるので、①言葉の定義、②課題のレベルは要チェックです。

STEP3:ほんとうの課題はこれでは?という仮説を立てる

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注意点を意識しながら整理していくと「みんながいっている課題の最上位=ほんとうの課題はこれなんじゃないか」という仮説が生まれてくるはずです。

生まれた仮説は、売上や利益、コストや工数といった事実データで補強。仮説とちがうデータがあるのであれば、ヒアリング内容の解釈の仕方を修正していきます。

また採用のケースを使うと、例えばヒアリングした内容がこんな内容だったらどうでしょうか?

上長「優秀な人を取り上げて採用広報すべきだが現場の動きが鈍い。もっと現場は全体の戦略を理解してほしい」
現場A「活躍している人にインタビューしたいが、横部署が非協力的。もっと協力してもらって優秀な人を紹介してほしい。横のつながりをもっと持つべき」
現場B「優秀な人に報いる人事制度が社員に伝わってない。上長からきちんと説明してほしい」
横部署「そもそも人事が何をしてるかわからないのでもっと説明してほしい。リファラルもしづらい」

おそらく仮説として、「外への採用広報というより社内広報が足りてないんじゃ?」といった考えが浮かぶはずです。そういえば社内の人事制度についての認知度の社員アンケートデータがあったはず…やはりそうだ。

そうすると、はじめに書いたフレームワークはこんなかんじで修正されるはず。

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あくまで例ですが、最上位の目的や戦略は一緒でも、その下の戦術=下位レベルの戦術がガラッと変わりました。

STEP4:みんなと一緒に確かめ算をする

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芯を食った課題を設計できると、あとの戦略作りは「考えればそりゃそうだよね」という話に帰着することが多いです。

大事なのは、作った課題=目的と戦略のフレームワークを、上下の関係つながりが分かる図のままで、ヒアリングした人たちと全員一緒に確かめ算をすること。

同時に目線合わせができますし、そこで戦略の修正と同意が取れれば、スムーズに個別の戦術づくりに移れます。数値をさりげなく盛り込み、各人の感覚や言葉の定義のすり合わせもしておきましょう。

もし不安であれば、上長やチームのキーマンから順に個別で当ててみて、精度を上げるのもありです。

STEP5:チーム内の役割分担を決める

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確かめ算をして同意を取った目的と戦略=チームの目的と戦略になるので、あとは戦略を具体案であるチームの戦術=メンバーの目的を、だれが担当するかを決めていきます。

先程の図にすると関係はこんなかんじです。

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前職もnote社もミッションをMBO型(リーダーとメンバーで一緒に目的・目標決める)で設定しているのですが、個別のメンバーに一番はじめにヒアリングした課題認識を、チームミッションの中で位置づけを微修正し、そのまま個人の目的にするケースが多いです。

そのメンバーが考えた課題なので、当事者として感情移入しやすいですし、正式な目的として設定することで、会社としても期待をしている、という前向きなメッセージにもなるからです。

またフレームワーク上で個人の目的も開示しておくと、隣の人の目的がわかり、チーム内で横連携がしやすくなります。個々人の目的が連動するケースも多いですが、その際、時間軸と優先順位でどちらが先なのかだけはリーダーが整理しておきましょう。そうしないとメンバー同士でお見合いになったりします。

こういった横連携まで意識し、

1.会社とメンバーが納得するチームの目標と戦略づくり
2.チーム目標を達成するための役割分担(=メンバーの個人目標決め)

ができると、その後のメンバーの戦略づくりや戦術実行もしやすくなるはずです。

最後に:やっぱり図を書く&共同作業が大事

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ここまでみて「複雑そう…」と思われた方もいるかもですが、「言葉」で整理しようとすると、定義の違いやレベル階層が表現しづらいので難易度高いです。やはり「図」での整理が必須と思います。

上段の画像は最近ぼくがオンラインホワイトボードのmiroで整理した例です。会社のミッション(目的)から部署の目的、部署内でもっている機能(戦術)を上下の構造で。実務担当者やプロジェクトを付箋で表現してます。(今回のnoteの画像も全部miroで作っています)

miroのよい点は「チーム全員で図を作れる」ことです。その場で「どう思う?」「こういうことかな」と話しながら、みんなで仮説を作っていく。もちろんこれは他のツールや、ホワイトボードでもできます。

「整理して前に進める」の「進める」=戦術の実行部分は、リーダーが手を動かさない場合が多いので、メンバー個々人の納得が一番大事です。

・上長含めたチーム全員の課題意識が揃う
・チームや自分、他メンバーの目標を共通認識として理解して納得して仕事する

ことができれば、チームはもっと強くなります。なによりそのほうがチームのみんなが楽しいはずです。

2021/6/15 追記 続編できました。


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佐々木 望
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