見出し画像

panpanyaさんと"記憶"


今回は、panpanyaさんの単行本「魚社会」から2つのエピソードを選び、その感想を書いた記事になります

一部、話のネタバレを含みます



秘密



あらすじ

主人公の女の子が友達と遊んでいたところ、ボールが、ある民家の敷地に入ってしまったので、取りに行くことに

しかし、その民家は正面をブロック塀が覆い、周りを他の民家に囲まれ、入り口らしきものが見当たらず、主人公たちはどうボールを返してもらおうか考えることに...

panpanya - 魚社会 より




この作品では、一見してどこにも入り口がない家という、気になる違和感が描かれていて、その謎を残したまま、話は想像の膨らむ終わり方をします


この話を読んで、入口がない家までは行かないですが、実は近い体験を自分もしたことがあります


幼少期に、家族で出かける際、よく通る山道があって、そこを走っている時に、窓から周辺の家を眺めていると、
住宅の2階にあたる場所にドアが設けられていた家を発見して、(何あれ!)と思ったのです


それは家族も確認していて、それからその山道を通る度に、(そろそろあの家だよ)と、家族が教えてくれて、
我が家だけの観光スポット的な存在になっていました


当時は(これナニコレ珍百景だよ!)と一人で盛り上がっていたのですが、
今、どうして2階にドアがあるのか調べてみると、


雪国では、"特に山沿いはものすごく雪が降り積もるので、1階のドアから出られなくなってしまった場合、2階から緊急脱出できるように設けられている" という結果が表示され、「なるほど!」と思いました


「秘密」のほかに、「魚社会」に収録されている日記で、panpanyaさんが、ふしぎなマクドナルドに行った という話があり、


建物のよく見ると謎な部分を深掘りするような視点が、「秘密」のような奇妙な違和感の構築につながっているのかな? と思います



カステラ風蒸しケーキ物語



あらすじ

2019年頃、panpanyaさんは、「カステラ風蒸しケーキ」という菓子パンに感激し、ストックを確保するほどハマっていた

ある日、ストックが無くなり、店に買いに行ったところ、品揃えが変わる時期で、その店での販売が終了していた

このような導入からはじまる、panpanyaさんとカステラ風蒸しケーキのドキュメンタリー的な物語

panpanya - 魚社会 より




この作品は連作になっているのですが、カステラ風蒸しケーキにハマったpanpanyaさんが、店頭から無くなっていく蒸しケーキを追い求め、一喜一憂する様子が描かれています


実は自分の住む地域に、ぽっぽ焼き風蒸しパンという菓子パンが売られていて、
話を読んだ後に、そのパンとカステラ風蒸しケーキが同じメーカーの仲間であることに気付き、(こんな身近に繋がりが!)と思いました


panpanyaさんの食べている蒸しケーキは、限られた店にしか置いていないので、おそらく知る人ぞ知る菓子パンだったのではないか?と思うのですが、
自分は、この知る人ぞ知る食べ物でも、近い体験があったりします


先ほどと同じく幼少期に、自分の母方の実家に帰省すると、祖母がいつもムギムギという駄菓子を家に置いていて、
グラノーラみたいに牛乳をかけて食べていました


それで当時は、普通に帰省の度にムギムギを食べていたのですが、
今振り返ると、ムギムギって知る人ぞ知る駄菓子だったんじゃないか? と思ったのです
家族が地元のスーパーなどで、ムギムギを買ってきた記憶がそういえば無いなって、


でも、そう思っていたら、普通に地元のダイソーに売っていました
この話を読んで、ムギムギはもしかしたら自分版カステラ風蒸しケーキのような存在なのかも! と思ったので、久しぶりに買って食べてみました


味は変わっていませんでしたが、調べてみると、一度販売終了した後、メーカーが変わり、再販されたと書かれていました


そうした記憶を、カステラ風蒸しケーキ物語を読んで思い出しましたね




他のpanpanyaさんの話をしている記事はこちらから!

いいなと思ったら応援しよう!