03#雨。
全てが終わったのか。
満足したのか。
つまらなかったのか。
それとも後悔したのか。
大人達は私を置いて車のエンジンをかけた。
私を犯したその足で何を思い、
どこへ向かうんだろう。
··········
ここがどこなのか、わからない。
それでも、
置いていかないで。とは思わなかった。
なぜか、
殺さないで。
そう思っていた私は
殺されなくてよかった。とすら
もう思っていなかった。
車で去っていく頃には涙ひとつ流れてはいなかった。
きっと、これを無感情。というのだろう。
耳を澄ませると波の音が聞こえた。
海の近くだったのか。 そんなことを思った。
空を見上げると少し明るくなっていた。
帰らなきゃ。
帰らなきゃ。
帰らなきゃ。
帰りたくないな。
しにたい。
まま。ごめんね。
スマホはどこだろう。
靴はどこだろう。
パンツはどこだろう。
血が出てるな。
手が痛いな。
足が痛いな。
そんなことを思いながら探していた。
··········雨が頬を叩いた。
冷たい…
痛かったな。
怖かったな。
泣いてるの?私のかわりに泣いてくれてるの?
不思議とそう感じた。
………ありがとう。
ありがとうありがとうありがとう。
車に乗せられて全てが終わるまで
何時間かかっただろう。
何時間我慢しただろう。
やっと。
やっと。
やっと。
やっと。
やっと大きな声で泣いた。泣いたよ。
17歳がまるで赤子のように。
落ちてくる雨に向かって。
𓇬𓂂𓈒໒꒱𓏸𓈒𓂃 𓋜𓏸𓈒 𓂃𝕟𝕖𝕩𝕥𓂃 𓈒𓏸 𓋜 𓂃 𓈒𓏸໒꒱𓈒𓂂𓇬