起業前に知っておきたい「補助金」「助成金」まとめ
こんにちは、ラン丸(@sign45917948)です。
起業家のなかには、
「起業したいけど資金がネックになって進まない」
「新しい事業をはじめたいけど、資金が集められない」
といった悩みを抱えた方もいるのではないでしょうか。
そこで活用を検討したいのが、国が運営する補助金や助成金、自治体が提供している創業支援サービスです。
今回は、実際にどのような制度があるのか、公募の時期や条件について紹介していきます。
「補助金」と「助成金」の違い
補助金と助成金は、どちらも返済不要の資金調達制度です。
一見、似たような制度ですが、このふたつは受給条件と支給される目的が大きく異なります。
助成金は要件を満たせば、誰でも受給することができます。
一方、補助金は要件を満たした上で審査を受ける必要があり、必ずしも受給できるわけではありません。
また、補助金は経済産業省の「創業支援や設備投資に関するもの」、助成金は厚生労働省の「雇用の安定や職場環境改善のもの」が主な対象です。
違いをまとめると以下のようになります。
◎受給する際の注意点
補助金や助成金の制度を利用する前に確認しておくべき事項が3つあります。
1)基本的に「後払い」
実は補助金も助成金も、受給が決まってからすぐにお金がもらえるわけではありません。
基本的には「後払い」のため、設備投資の完了後など計画実施後に支給されます。
そのため、実際に入金されるタイミングについてきちんと把握しておく必要があります。
2)法人税の課税対象になる
また、補助金や助成金は法人税の課税対象になりますので税金面についても気をつけなくてはいけません。
会計上では、受給する権利が確定したときに「雑収入」として計上します。
3)消費税の返還が必要になる場合も
補助金は対価としての収入ではないため、消費税がかからない「不課税取引」となります。
一方、補助金の対象となった事業に伴う事業経費は、控除対象仕入税額として仕入税額控除することが可能です。
その場合、受給した金額から事業経費を差し引くと課税売上はゼロとなり、課税事業者はその消費税に相当する金額の還付を受けることになります。
つまり、補助金を交付したうえに消費税を還付することになり、その分が重複してしまいます。
これを調整するために、控除対象仕入税額のうち補助金に係る部分については、返還を求められることになっています。
1、経済産業省の補助金
補助金は、主に経済産業省が提供している制度です。
申請は、都道府県地域事務局もしくは中小企業庁が開設している支援ポータルサイト「ミラサポ」から可能になります。
ミラサポ 未来の企業 応援サイト
ミラサポは、公的機関の支援情報・支援施策(補助金・助成金など)の情報提供や、経営の悩みに対する先輩経営者や専門家との情報交換の場を提供する、中小企業・小規模事業者の未来を支援するサイトです。
そのなかで、代表的なものをいくつか紹介します。
①創業補助金(地域創造的起業補助金)
新たなニーズや雇用を創出して、地域経済などを活性化させる事業者に対して、創業に必要な経費の一部を補助するのが「創業補助金」です。
対象となるには「補助金などに係る予算の執行の適正化に関する法律」の規定が適用されるだけでなく、さまざまな注意事項があります。
例えば、以下のようなものです。
・事業実施完了日までに、計画した補助事業を行うために従業員を1名以上雇い入れること
・産業競争力強化法にもとづき、認定市区町村や認定連携創業支援者業者による支援を受けること
公募期間は、毎年4月から5月にかけて行われています。
②事業承継補助金
事業承継をきっかけに、経営革新などを実施する中小企業者に対して、その経費の一部を補助するのが「事業承継補助金」です。
対象となるのは、規定の期間に新たな事業転換を行うだけでなく、取引先や雇用創出によって地域に貢献する中小企業であることが条件となっています。
事業再編や事業統合は対象外となるので、申請の際は気をつけるようにしましょう。
公募は5月もしくは7月に行われます。
③小規模事業者持続化補助金
全国各地の小規模事業者を支援するために設けられているのが「小規模事業者持続化補助金」です。
全国各地の小規模事業者を支援するために設けられています。
対象となるのは、主に小売業やサービス業や製造業などで、学校法人や医師などは対象外となります。
また、補助を受けるには従業員数に関する決まりがあり、「小売業やサービス業(宿泊業・娯楽業以外)は5人以下、宿泊業・娯楽業、製造業などの場合は20人以下であること」が条件です。
補助上限は原則50万円で、補助率は2/3になります。経費の対象は販路開拓に必要な取り組みや業務効率化に対する取り組みで、幅広い内容になっています。
申請は管轄する地域の商工会議所になりますので、不明点があれば管轄の商工会議所で確認してみましょう。
公募は3月に行われます。
③ものづくり補助金
正式には「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」という名称で、生産性を大きく向上させるための革新的なサービス開発などを行う中小企業など、に対して設備投資の費用を一部支援することを目的としています。
補助上限額は1000万円で、補助率は2/3となっています。
最大10社まで連携して申請することも可能です。
中小企業同士が互いの強みを活かして、革新的なサービスを生み出そうとするときにも活用することが可能です。
公募は2月と8月に行われます。
2、厚生労働省の助成金
補助金は創業支援や設備投資に対する支援が主なものでしたが、助成金は従業員の雇用に関わるものがほとんどです。
①特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
高年齢層、障害者などの就職困難者を継続して雇用する事業主に対する助成金が「特定求職者雇用開発助成金」です。
求職者がハローワーク、地方運輸局など適正な紹介事業者から紹介を受け、雇用保険の一般被保険者として雇い入れることが条件となります。
支給額は短時間労働者か否かで分かれており、一例を挙げると、短時間労働者以外の者で高年齢者(60歳以上65歳未満)を雇用する場合は、助成対象期間1年で支給額が60万円になります。
高年齢層や障害者などを雇い入れたい経営者は、活用を検討するとよいでしょう。
申請を行う事業主は支給対象期ごとに、支給対象期の末日の翌日から起算して2か月以内に、支給申請書に必要な書類を添えて管轄の労働局へ支給申請を行います。
②生涯現役起業支援助成金
「生涯現役起業支援助成金」は、大きく分けて2つの助成パターンがあります。
ひとつは「雇用創出措置助成分」です。これは、40歳以上の中高年齢者が起業して就業機会の創出を行い、企業経営をするために必要な従業員を雇う場合に要する、雇用創出措置にかかわる費用を助成します。
雇用創出措置に適用できるのは採用、教育訓練の実施などで、事業継続性を確認するための条件をクリアしているかなど審査されます。
もうひとつは、「生産性向上助成分」です。雇用創出措置助成分の支給を受けてから、規定の期間で生産性向上が認められた場合、別途助成金を支給するというものです。
具体的には、「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」を提出した日が属している会計年度と、そこから3年度経過してからの生産性を比較して6%以上伸びていることが条件になります。
中高年齢層の方で起業を検討されている方は、活用を検討するとよいでしょう。
申請は、開業日から11か月以内に「雇用創出措置に係る計画書」を提出し、その後、一定の年齢以上の者を雇用保険加入者として12か月以内に雇い入れる必要があります。
③トライアル雇用奨励金
職歴やスキルにより、正社員など安定的な就職が難しい求職者に対して、一定期間試行雇用した場合に助成されるのが「トライアル雇用奨励金」です。
ハローワークや職業紹介事業者などから紹介を受けることが条件になりますが、お互いの理解を深め、早期就職を促進することを目的としています。
トライアル期間は原則3か月で、1週間の所定労働時間が通常の労働者と同程度の水準であることが条件になります。
奨励金は支給対象者の就労日数にもよりますが、ひとりにつき月額4万円が支給されます。
申請は、トライアル雇用を開始してから2週間以内に、労働者を紹介したハローワークなどに「トライアル雇用実施計画書」を提出します。
④三年以内既卒者等採用定着奨励金
既卒者や中退者の応募機会拡大を図るために設けられた制度が「三年以内既卒者等採用定着奨励金」です。
既卒者が応募可能な新卒者の求人を行い、採用してから一定期間定着させると事業主に奨励金が支給されます。
支給要件は、制度に設けられたコースによって異なります。
制度を活用する際は、どのコースが適用できるか事前に確認するようにしましょう。助成金の申請は、雇い入れてから1年ごとに支給申請を行う必要があります。
⑤労働移動支援助成金
企業経営をしていると、やむを得ず事業縮小を余儀なくされることがありますよね。そのような時に、活用を検討したいのが、「労働移動支援助成金」です。
労働移動支援助成金とは、事業縮小により離職を余儀なくされる従業員に対して、再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、職業訓練を行うため教育訓練施設に委託を行う場合に適用されます。
また、求職活動のための休暇付与に対しても助成金が支払われます。申請は職業紹介業者への委託契約を締結した翌日から2か月以内に「利用確認券」の発行手続きを行う必要があります。
まとめ
補助金や助成金には様々な制度があります。
さらに、申請するための条件や手続きが複雑なものも多く、素人が全てを把握するのは困難です。
そのため資金面で有利に起業するためには、専門家の力を借りるとよいでしょう。
もし、税理士に依頼する場合は、「補助金、助成金に強い詳しい税理士」を探してみてくださいね。
今回は、以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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