【新国立劇場 初台アート・ロフト】 『針と糸で繋ぐ未来への扉』展 WEBギャラリーツアー③
劇場内をゆっくりと散策できる”おすすめのルート”で、「新国立劇場 初台アート・ロフト」の衣裳展示をご紹介していく『針と糸で繋ぐ未来への扉』展 WEBギャラリーツアーは、今回が第3回となります。
■前回のWEBギャラリーツアーはこちらから
今日は、3階東ギャラリーのご案内です。
全ての展示を見終わるまで、あとわずか。
まだまだ見応えのある衣裳展示は続きます。それでは参りましょう!
まず始めは、オブジェ・スペースです。
ここは、石膏像、装飾モチーフ、植栽だけで空間がデザインされています。こうした小道具類は、舞台美術上でも「空間に生命力を与える重要な要素」であるだけに、マネキンや衣裳がなくとも圧倒的な存在感をだしています。
⑩オブジェ・スペース
ギャラリーツアーのラストを飾るのは、次の2つのブース。
どちらも『ローエングリン』(2012年初演)の衣裳です。ネオプレン(Neoprene)という合成ゴムの生地を使った衣裳の驚きのアイデアをご覧ください。
このネオプレンは、1930年に初めて合成ゴムとして開発に成功し、タイヤ、スキューバダイビング用のウェットスーツ、ホース等に使われているほか、
近年はその厚みのある素材と布の持つ形状を保つ性質から、ファッション業界でも人気が出ていきました。素材に厚みと伸縮性を持つため、ネオプレンを縫うときはやや扱いにくいとされ、優れた縫製技術が求められます。
*先のツアー①でご紹介した1階玄関に飾られている同『ローエングリン』 の合唱の衣裳もネオプレン生地です。扱いにくいネオプレン生地に、直線と曲線を重ねたステッチ飾りの縫製。見事な仕上がりです。
⑪『ローエングリン』(2012年初演) ローエングリン/エルザ
美術・衣裳デザイン:ロザリエ
台本・作曲:リヒャルト・ワーグナー
演出:マティアス・フォン・シュテークマン
衣裳製作:レナーテ・シュトイバー工房
■5階情報センターで「みる」
『ローエングリン』(2012年初演)
演出:マティアス・フォン・シュテークマン
このコーナーで見ていただくエルザは、2012年に新たなプロダクションで上演されたときの衣裳です。新国立劇場では演出が異なる2つの『ローエングリン』が上演されています。同じ演目であっても、演出コンセプトや衣裳デザインの違いによって、それぞれの世界が創造されます。ぜひ実際に2つの展示を見比べてみてください。
※ヴォルフガング・ワーグナー演出の『ローエングリン』(1997年 新国立劇場開場記念公演)エルザの衣裳は、1階の鏡のあるギャラリーに展示されています。
いよいよ最後となりました。
今回のブース展示では最多人数の4体のマネキンを使った迫力の空間展示となっています。
⑫『ローエングリン』(2012年初演) ハインリヒ国王/オルトルート/テルラムント/王の伝令
美術・衣裳デザイン:ロザリエ
台本・作曲:リヒャルト・ワーグナー
演出:マティアス・フォン・シュテークマン
衣裳製作:レナーテ・シュトイバー工房
■5階情報センターで「よむ」
『バイロイトの魔術師 ワーグナー』
著:バリー・ミントン
監訳:三宅幸夫
訳:和泉 香
ワーグナー生誕200年を記念して出版された、著者のワーグナー研究の集大成。300点もの色鮮やかで貴重な図版とともに、歴史的記述に長けたイギリスの伝統を垣間見ることができるほか、近年積み重ねられてきた地道な研究の成果を十分に取り入れた一冊となっている。
■次回予告
3回にわたり、各ギャラリーのすべての衣裳展示をご案内いたしました。 いかかでしたでしょうか?
さて次回は、いよいよ最終回です。
5階の情報センターに【初台アート・ロフト「みる」「よむ」】を体験しにいきましょう。劇場の穴場的存在の情報センター、知らないなんてもったいない!その施設内容をご紹介します。お楽しみに!