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長編異世界ファンタジー『三重に偉大な議長の優雅な生活』

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会議に出席したり音楽奏でたり財宝盗んだり…… 一国のトップに君臨する評議会議長が主人公の、異世界ドタバタ政治ファンタジー小説です。ワールド・ネバーランド2が大好きで、評議会の部分…
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『三重に偉大な議長の優雅な生活』第0話

序章 三重に偉大な議長0 会議の前の静けさ 「ギチョー!」  議長。  それが俺の第一の…

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『三重に偉大な議長の優雅な生活』第38話(最終話)

最終章 三重に偉大な議長と籠の中の真紅の英雄 1 会議の前の雑談の前の静けさ 「めんどく…

『三重に偉大な議長の優雅な生活』第37話

8 反逆者に相応しき刑罰を 「これより、国家転覆罪を謀った公安大臣エトリア及び軍部大臣ゴ…

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『三重に偉大な議長の優雅な生活』第36話

7 唄 「もはや地上に存在しないと思われた〈悠久と水晶の歌い手〉の唄が聴けるとは。わざわ…

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『三重に偉大な議長の優雅な生活』第35話

6 少女の正体 「また会ったのう」  その両眼は鎖されたままだが、いかにも懐かしげに顔を…

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『三重に偉大な議長の優雅な生活』第34話

5 大賢人  俺は慌てて手を上げた。むろん制止の所作だ。無駄な努力であるのは承知の上で。…

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『三重に偉大な議長の優雅な生活』第33話

4 決闘  囚われの身の者たちに戦慄が走る。  硬いもの同士がぶつかり合う音。誰かが、大理石の床に手持ちの楽器を取り落としたようだった。それから言葉が吐き出されるまでには、更にしばしの間を必要とした。 「な、なんということだ!」 「護民卿に、実子がいたとは」 「しかもそれが、現役の、公安大臣!」  悲鳴を上げる者。眼を見開く者。膝から頽れる者。  共通していたのは、いずれもその甚大なる驚きを隠せずにいたことだ。 「母も若くして死に、今や護民卿の血縁者は、わたし独りを残

『三重に偉大な議長の優雅な生活』第32話

3 〈そよ風と光輝の広場〉での特筆すべき光景  光の中へ飛び込む。  一瞬ののちに眼は慣…

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『三重に偉大な議長の優雅な生活』第31話

2 牢獄へ  ここで十五分間だけ待て。それ以上経っても俺が戻らなかったら中に入れ。  そ…

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『三重に偉大な議長の優雅な生活』第30話

第9章 唄 1 侵入  解放軍の隠れ家には、政変の報を聞きつけた同志が既に七人ばかり集ま…

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『三重に偉大な議長の優雅な生活』第29話

2 噂の真相 「なあ、議長が殺されたってのは本当か?」  やっとの思いで掻き分けた人集り…

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『三重に偉大な議長の優雅な生活』第28話

第8章 三重に偉大な議長、殺される 1 束の間の平穏  吹く風の冷たさがいよいよ心地好い…

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『三重に偉大な議長の優雅な生活』第27話

3 不愉快極まりなき会合にて  幾何学模様の塗り込められた円柱が壁際に立ち並ぶ広大な応接…

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『三重に偉大な議長の優雅な生活』第26話

2 神官長 「珍しいこともあるもんだ」  例によって〈円卓の間〉の外でピートに話しかけられた。 「何が」 「天下の議長が、外務大臣のことであんなムキになるなんてさ」 「まあな。てか、そんなにおかしかったか?」 「嫌いな御仁がいないんだから、むしろ小躍りして喜ぶかと思いきや。あの反応には正直驚いたわ、なあフィオ」 「そうだね。他の皆も不思議がってたよ」  怒りが募るのも当然だ。ジールセンを難詰できる機会をふいにされたわけだからな。ただ、実際に証拠を挙げろと言われたら、俺