腸内細菌叢の多様性は、うつ病の重症度と関連する
腸内細菌叢の多様性は、うつ病の重症度と関連する
https://www.psypost.org/2023/05/diversity-of-the-gut-microbiota-is-associated-with-the-severity-of-depression-163866
by Vladimir Hedrih
2023年5月29日
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腸内の微生物の多様性が、大うつ病性障害の重症度と密接に関係していることが、新たな研究で示された。健常者と比較して、中等度および重度のうつ病の参加者ではBacteroides種の存在量が有意に増加し、重度のうつ病の参加者では主にRuminococcusとEubacteriumが枯渇していました。本研究は、Translational Psychiatry誌に掲載されました。
うつ病は、大うつ病性障害としても知られ、精神疾患の中で最も一般的なものです。全世界で3億5千万人以上が罹患していると言われています。うつ病の主な症状は、持続的な悲しみの感情、活動に対する興味や喜びの喪失、食欲や体重の変化、睡眠障害、疲労、無価値感や罪悪感、集中力や意思決定の困難、死や自殺を繰り返し考えることなどです。そのため、本人と社会の双方に多大な社会的負担を強いています。
近年、消化管に生息する多様な微生物群集と脳をつなぐ複雑なネットワーク「マイクロバイオータ-腸-脳軸」が発見され、新たな研究が進んでいます。このコミュニケーションは双方向であるため、研究者は、腸内細菌叢の構成と認知や幸福感などの心理的特性だけでなく、心の健康との関連性を調べてきました。
本研究の著者であるXi Hu氏らは、うつ病を患っていても症状のレベルが異なる人の腸内細菌叢組成の違いを探ろうと考えました。彼らは、これまでの研究では、細菌種を特定する方法が限られた精度で用いられていることに着目し、この目的のためにメタゲノムシークエンシングを用いることにしました。
メタゲノムシークエンスは、環境サンプルや人体内に存在するような複雑な微生物の混合物に存在する遺伝物質、DNAまたはRNAを解析するために用いられるゲノム技術である。メタゲノムシーケンスでは、単一の生物の遺伝物質に焦点を当てるのではなく、微生物群集全体の遺伝物質の集合体を同時に解析することが可能です。今回は、参加者の腸内の微生物組成を評価することが目的であったため、便のサンプルに使用されました。
研究参加者は、軽症から重症までのさまざまな重症度のうつ病患者138名と、対照となる155名の健常者でした。うつ病の重症度は、HAMD-17スケールを用いて評価されました。妊娠中または授乳中の人、採取前1カ月以内に抗生物質を使用した人、アルコールや薬物の乱用歴のある人、慢性的な身体疾患やその他の重度の精神障害のある人は、研究から除外した。
便のサンプルは、研究が実施された臨床センターで採取された。これは、午前7時から10時の間に行われた。サンプルは滅菌チューブに入れ4℃で保存し、その後-80℃の冷蔵庫に移した。処理は6時間以内に行われました。
その結果、家族レベルでは、Bacteroidaceae、Lachnospiraceae、Ruminococcaceae、Prevotellaceaeが、健常者とうつ病患者の両方において、高存在率の主な細菌分類群であることがわかった。属レベルでは、Bacteroides、Faecalibacterium、Blautia、Prevotellaceaeが両グループの主要な高存在細菌分類群であった。
健常対照群に比べ、中等度、重度のうつ病患者では、バクテロイデス属の細菌がより多く存在した。FaecalibacteriumとEscherichiaは中等度のうつ病症状群で減少し、RuminococcusとEubacteriumは重度のうつ病症状群でのみ減少した。
また、ヒトの腸内細菌叢に含まれる細菌群集の種類であるエンテロタイプを調べたところ、健康なグループではFaecalibacteriumが優勢なエンテロタイプが多く、うつ病患者グループではBacteroidesが優勢な2つのエンテロタイプが多いことが分かりました。
"本研究では、中等度および重度の大うつ病性障害患者の腸内細菌叢は、バクテロイデス類が豊富である一方、重度の患者ではルミノコッカスとユーバクテリウムが枯渇しているという特徴があることがわかった。一貫して、健常対照者の主要な腸型はFaecalibacteriumであった。さらに、大うつ病性障害の重症度別患者を識別できる微生物マーカーパネルも同定されました」と研究者は結論付けています。
本研究は、腸内細菌叢の構成とメンタルヘルスとの関連についての科学的理解に重要な貢献をするものである。しかし、研究デザイン上、因果関係の結論を出すことはできないことに留意する必要があります。さらに、すべてのサンプルは同じ地域の臨床センターから収集されました。他の地域や国の人に対する結果は同じではないかもしれません。
この研究「腸内細菌叢の変化は大うつ病性障害の重症度を反映する：横断研究」は、Xi Hu、Yifan Li、Jing Wu、Hanping Zhang、Yu Huang、Xunmin Tan、Lu Wen、Xingyu Zhou、Peijun Xie、Oluwatayo Israel Olasunkanmi、Jingijing Zhou、Zuoli Sun、Min Liu、Guofu Zhang、Jian Yang、Peng Zheng、Peng Xieによって作成されました。
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