2017年の空気を反映した一冊
東芝の不正会計に端を発した東芝解体の危機。2024年の現在、メモリ半導体は外部へ売却、医療事業とか家電事業とか事業価値がつくものも売却して、さらにゴタゴタがあって非上場化。そのほか、1980年代には世界に誇る大手電機メーカーたちが2010年代にいかに低迷していたかというのをまとめた一冊である。
この本が出てから、数年が経って、各社ごとに動きも大きく異なってきた。相変わらず低迷を続けている会社も多い。例えば、NECや富士通。この2社は本書で指摘された問題点が解決しておらず、NTT依存体質のままだし、国内の金融機関とかにシステムを売るというだけの会社になっている。
あとはパナソニック。かつては総合家電メーカーでその裏付けの各種技術を抱えた企業集団であったのに、コストカットと人材流出をしすぎて、アイリスオオヤマの草刈場にしかなっていない。ただ、美容家電とか住宅用品は高品質かつ高性能でこの部分を残したというのは正解。
逆に日立も一旦はコストカットとリストラをしたけど、ここ最近は鉄道とかITサービスへ再度多額の投資をしているという点は対照的。
ソニーは本書でリカーリングビジネスが今後の生き残る鍵と言われていたが、実は半導体やスマホ搭載のカメラ、革新的ではないけどほどほどの性能とコスパの家電にスマホのモノ作りの方も残しつつ、相変わらずに保険、金融の強さで稼ぐ力を維持し続けているというのが面白い。ただ、国内向けのPS5の意味不明な値上げをしたあたり、ゲーム事業は切り捨てそうな予感がする。
ということで、この本が書かれた時点と今を比較して見るのが面白かった。
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