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緊急上映された、インド映画『Hanu Man』を鑑賞してきた。

2024年1月19日(日)に池袋HUMAXシネマズでインド映画『Hanu Man』(2024)を鑑賞してきた。


『Hanu Man』(2024)の概要


本作は2024年1月12日に本国、インドで公開し、1週間で1億5,000万売り上げた話題沸騰の映画である。

本国での大ヒットに応え、Indoeiga Japan主催で1月19日~ ヒューマックスシネマズ池袋、川口スキップシティで上映が行われている。(英語字幕のみ)

制作はテルグ語映画(トリウッド)のスタッフたちによって行われているが、ヒンディー語、タミル語など多言語で吹き替えられ、インド全土で公開されている、所謂"Pan-Indian film”というやつだ。
(Pan-Indian filmについては、Filmsaagarのこちらをチェック)

『Hanu Man』(2024)本国ポスター
『Hanu Man』(2024)のポスター

『Hanu Man』(2024)の映評

ざっくり、ストーリー振り返り

まずは、本作のストーリーをざっくりと振り返ってみようと思う。

1. スーパーヒーローに憧れる、ある少年は両親を火事で失くしてしまう。そんな少年は成長し、犯罪者をみつけては懲らしめる都会のスーパーヒーロー?になっていた。

2. 場面は変わり、ある村(ハヌマーンを信徒で構成されている?)にいる主人公Hanumanthu(テージャ・サッジャー)が登場。その村は相撲のような取っ組み合いで長を決めているよう。ずる賢い、相撲に強い奴が長になり、村人には納税を求める。それを変えるため、多くの男たちが戦いに挑むが、負けっぱなしで重傷を負わせられる始末。

3. そんな村で主人公は、幼い頃からの想い人がいた。ミーナクシー(アムリタ・アイヤル)である。そんなある時、ミーナクシーを乗せたバスが何者かに襲われてしまう。それを助けようと得意のパチンコで戦うHanumanthu。暗闇ということもあり、ミーナクシーは逃げることができたものの、Hanumanthuは彼女のネックレスを持ったまま、呆気なくやられてしまう。
やられて突き飛ばされた先は海で、その海に落ちるとミーナクシーが持っていたネックレスが海底に引き込まれていく。そのネックレスに導かれるように、主人公はある光に触れる。

4. 満身創痍であったHanumanthuは目覚めると、自宅のベットにいた。手に持っていた謎の石を太陽光に当てて眺めてみると、傷は治り、目がオレンジ色に光っていた。手に持っていたのは海底で見た謎の光の源、ハヌマーンの力が宿る石であった。ハヌマーンの力を体に宿したHanumanthuは、村の長に相撲の試合を挑み、力を駆使して無事勝利する。村人に納税は求めず、私たちの村である!とし、その村には平穏が訪れた。

〜〜〜〜〜 インターバル 〜〜〜〜〜

5. ある男が村に訪れ、この村を支援すると言い始める。病院もないこの村にとって、救世主であった。しかし、その男は冒頭で登場した都会のスーパーヒーローであった。彼はHanumanthuが持つ力を欲し、力の源を何か突き止めにきたのである。そのため、村で故意にトラブルを起こしまくる。そうすることで、Hanumanthuが力を使うと考えたのだ。

6. そんな下心を察したHanumanthuは、ある夜、彼が村に設けた拠点に潜入する。しかし、手下にバレてしまい攻撃に遭う。ハヌマーンの力は太陽光に照らされた時しか使えず、Hanumanthuは絶体絶命になる。しかし、村のグル的な人に助けられ、一命を取り留める。

7. 一件落着かと思ったが、昨夜にHanumanthuが潜入した監視カメラ映像を持って、Hanumanthuの姉の結婚式に突如現れる都会のスーパーヒーロー。人々は混乱に襲われ、Hanumanthuは手下たちにボコボコにされる。そこに立ち上がったHanumanthu姉!ココナッツの実で叩き、Hanumanthuを救援する。しかし、怒り狂った都会のスーパーヒーロー(もうヴィラン)によって、姉が撃たれて死亡!ただ1人の家族を失ったHanumanthuはガックリ…。

8. 村全体に毒ガスを撒き、ハヌマーン石を探し求める都会のヴィラン。このガスは一定時間浴びると、身動きが取れなくなり死亡してしまう。そんな中、姉の死でやる気をなくすHanumanthuであったが、グルに言葉をかけられ、再び目覚める。覚醒したHanumanthuはハヌマーンの武器であるガダーを使って、都会のヴィラン君をボッコボコにする。その勢いで、ハヌマーンの石が破裂💥それにより、ヒマラヤ(?)に眠るホンモノのハヌマーンが目覚める。

9. 石に取り込まれていたハヌマーンの血がHanumanthuの目に入り、空も飛べるように。ホンモノのハヌマーンが主人公の横に来て、END。

続きは『JAI HANUMAN』2025公開。

ざっくり振り返るとこんな感じだった。
テルグ語吹替/英語字幕での鑑賞だっため、村の設定や、ホンモノのハヌマーンが眠っていた場所がヒマラヤなのかなど、細かいところが定かではないところも多いがご了承いただきたい


インド神話というスパイスをどのように調理するか

MCUやDCのヒーローたちの力の根源がインド神話に関わっているような映画。インド神話×ヒーロー映画となると、ボリウッド映画『ブラフマーストラ』(2023)が頭をよぎる。

しかし、本作は一味違う。というか、インド神話というスパイスの使い方が異なるとでもいうべきだろうか。

これは主観だが、『ブラフマーストラ』がヒーロー映画に少しインド神話という名のスパイスを混ぜているのに対して、『Hanu Man』はインド神話というスパイスが原材料となり、調理を始めているような形なのである。
つまり、本作はインド神話がなければ発想が生まれないような作品なのだ。

すなわち、ヒンドゥー教色が強い…。
映画に出てくるインド神話ネタはは天竺奇譚氏の書籍や講座でそれなりの理解を深めたが、きっと本作には小ネタどころではない要素がたくさんあったと思われる。是非とも、本作に対しても奇譚氏の解説/感想を聞きたいところである。


ヴィランのビジュアルについて

これは、シク教徒が主人公のヒーロー映画『フライング・ジャット』(2016)を見た時にも感じたことだが、ヴィランの最終形態がダサい。
わかりやすく、強い・悪いやつというを目指したのはわかるが、ヒーローと並んだ時のバランスが悪い。

『フライング・ジャット』(2016)

本作はPrasanth Varma Cinematic Universe作品

本作は、Prasanth Varma Cinematic Universe(PVCU)の1作目となっており、『WAR ウォー!!』のYRF Spy Universeや『ブラフマーストラ』のĀstraverseなどのように、複数の作品で同一の世界観を共有するシリーズ作品の1つとなっている。

つまり、Hanu Man以外にも、ヒーロー映画作品があるのだ。
それが『ADHIRA』である。なんとコチラも2024年公開予定らしく、PVCUの勢いが凄まじいことになっている。


今後の『Hanu Man』(2024)

ストーリー部分にも書いたが、続編である『Jai Hanu Man』が早くも2025年に公開であることがエンドロールにて明かされた。

となると、本作が日本語字幕で観れるのは今年中か来年続編が出てからになるのではないだろうか。
といっても、インド人の観客ほど日本のインド映画鑑賞者が本作に対して、盛り上がれるか否かはなんともいないところである。
(インド人の観客の反応はコチラをチェック↓)

反応は置いておいたとして、本作が日本語字幕で正式に公開されるとなると、日本で主演のテージャ・サッジャーが注目されることはほぼ間違いないだろう。

現在29歳のテージャ・サッジャーは、すでに日本で注目されているトリウッド俳優たち(プラバース、ラーム・チャラン、NTR Jr.、アッル・アルジュン)よりも下の、次世代のスターである。『バーフバリシリーズ』や『RRR』(2022)によって増加した、日本のインド映画鑑賞者の心を掴むことはできるのか、注目していきたい。


おわりに

今回はインド映画『Hanu Man』(2024)の鑑賞した感想?記録?を書いてみた。本作は2024年のインド映画において、トップを飾る可能性がある。(そうなったら、ヒンドゥー要素が強すぎてインドが少し心配だが…。)

日本語字幕公開後でも、観れる機会があれば、みなさんもぜひに。

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