米国特許法 QPIDS(Quick Path Information Disclosure Statement)
QPIDS(Quick Path Information Disclosure Statement)が活躍するのは、(i)US特許出願が特許査定されて登録料を納付した後、特許登録日前に、
(ii)US以外の国におけるファミリ出願にOA通知され、そのOAにUSの特許審査で指摘されなかった引用文献が記載されている場合、です。
これは、QPIDSがRCE費用が無駄になるリスクを減らしつつ、IDS提出できる制度だからです。
USでは、特許登録日までIDSの義務が継続するので、US以外の国におけるファミリ出願のOAにおける引用文献が特許性に関する重要な情報である場合には、IDSを提出することが必要です。
上述の場合、出願人側が取りうる対応は、
①QPIDSを利用してIDS提出する、
又は、
②登録取下げ申請と、RCE申請と、IDS提出とを行う、
の2通りです。
一般的には、上記②を選択する利点は無いと思われますので、上記①を選択することになると思われます(②を選択すると、RCE等の審査で提出された引用文献が特許性に影響しない場合でも、RCEの費用は無駄になる)。
QPIDSを利用すると決まった場合、直ぐに代理人にその旨を連絡します。ただし、QPIDSを申請しても、特許査定が維持されるとは限りません。
QPIDSの結果、特許査定が維持された場合(審査官が文献内容を考慮した結果、特許査定が維持されることになった場合)、訂正特許許可可能通知(Corrected Notice of Allowability)が送られてきます。QPIDSで特許査定が維持された場合、RCEの審査には入っていませんので、RCE費用はUSPTOから返してもらえます。
QPIDSで特許査定が維持されなかった場合(審査官が文献内容を考慮すると、特許査定が維持できるか分からない、又は、審査のやり直しが必要と考えた場合)、審査再開通知(Notice of Reopening of Prosecution)が送られてきます。この場合、特許査定は取消されます。審査が再開された結果、運が良ければ特許査定され、運が悪ければOAが届きます。
なお、QPIDSでは下記を提出します
(a1)IDS
(a2)IDS提出のための料金 37CFR §1.17(p)
(a3)外国対応出願にて最初に引用されてから3月以内である等の陳述書 37CFR §1.97(e)
(a4)特許発行(issue)取り下げのペティション並びにその料金 37CFR §1.17(h)
(a5)RCEおよびRCEの料金 37CFR §1.17(e)
※備考
最初からファミリの引例全てをIDSで提出しておけば、QPIDS自体が不要になる可能性もあります。しかし、X文献、Y文献ではないA文献までIDSで提出すると費用がかさみます。そこで、A文献に関しては、審査初期に指摘されたA文献のみをIDSで提出するという手法もありえます。これは、複数の国での審査において、初期のA文献を再検討した結果、Y文献扱いになる可能性があるからです。一方、特許査定が近くなってから指摘されたA文献がY文献に昇格する可能性は、審査初期に指摘されたA文献と比較して低いと言えます。
●参考情報
・Quick Path Information Disclosure Statement
https://www.uspto.gov/patents/initiatives/quick-path-information-disclosure-statement-qpids
#弁理士 #弁理士試験 #弁理士試験の受験勉強 #知財 #知財法 #特許法
#米国特許法 #US特許法 #QPIDS #IDS
#毎日note #コラム #毎日更新 #note #毎日投稿 #note毎日更新 #毎日 #最近の学び #毎日更新倶楽部 #考察コラム #クリエイティブ #士業