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TRIPS協定22条 地理的表示の保護

 TRIPS協定22条は、地理的表示の定義と、公衆を誤認させるような表示がなされる場合やパリ条約10条の2に規定する不正競争行為に該当する不正使用への救済について規定しています。

 地理的表示というのは、「ある商品に関し,その確立した品質,社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において,当該商品が加盟国の領域又はその領域内の地域若しくは地方を原産地とするものであることを特定する表示」です(TRIPS協定22条(1))。

 つまり、地理的表示として保護されるためには、
①商品に関して確立した品質、社会的評価その他の特性があること
②それらが当該商品の地理的な由来によること
③品質、名声、特徴と地理的な要素との関連性が本質的なものであること
が必要です(TRIPS協定22条(1))。

 TRIPS協定22条(1)で保護されるのは「表示」です。「表示」は「名称」よりも範囲が広くなります。このため、地図の図形なども保護対象になります。

 なお、地理的表示に係る領域が原産地等であると、公衆を誤認させうる商品(他の領域で生産され、地理的表示を付しただけの商品)は、拒絶、無効等とすることができます(TRIPS協定22条(3)(4))。

 日本では、TRIPS協定22条に対応した規定として、商標法4条1項17号、4条3項、46条があります。

なお、国税庁のHPにTRIPS22条違反の例が載っていました。
日本産ハムに「日本産ハム パロマハム風」と記載するのはTRIPS協定22条では問題とならないようですが、日本産ハムに「パロマハム」と記載すると問題になりうるようです。また、大分県宇佐市の産品に「made in USA」と記載した場合も、問題となりうるようです。

https://www.nta.go.jp/about/council/sake-bunkakai/050623/shiryo/15.htm


・TRIPS協定22条 地理的表示の保護

(1) この協定の適用上,「地理的表示」とは,ある商品に関し,その確立した品質,社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において,当該商品が加盟国の領域又はその領域内の地域若しくは地方を原産地とするものであることを特定する表示をいう。
(2) 地理的表示に関して,加盟国は,利害関係を有する者に対し次の行為を防止するための法的手段を確保する。
(a) 商品の特定又は提示において,当該商品の地理的原産地について公衆を誤認させるような方法で,当該商品が真正の原産地以外の地理的区域を原産地とするものであることを表示し又は示唆する手段の使用
(b) 1967年のパリ条約第10条の2に規定する不正競争行為を構成する使用
(3) 加盟国は,職権により(国内法令により認められる場合に限る。)又は利害関係を有する者の申立てにより,地理的表示を含むか又は地理的表示から構成される商標の登録であって,当該地理的表示に係る領域を原産地としない商品についてのものを拒絶し又は無効とする。ただし,当該加盟国において当該商品に係る商標中に当該地理的表示を使用することが,真正の原産地について公衆を誤認させるような場合に限る。
(4) (1),(2)及び(3)の規定に基づく保護は,地理的表示であって,商品の原産地である領域,地域又は地方を真正に示すが,当該商品が他の領域を原産地とするものであると公衆に誤解させて示すものについて適用することができるものとする。

●参考文献
・荒木好文(著)『図解TRIPS協定』(発明協会, 2001)
・国税庁 TRIPS協定第22条と第23条の概要
 https://www.nta.go.jp/about/council/sake-bunkakai/050623/shiryo/15.htm

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