親友と鼻くそ大喜利事件②
のちに親友となるその人は、こちらに歩み寄り、私に話しかけた。
私は彼女のことを知っていた。
彼女は一言であらわすと、「アメリカ」だった。
ヤンキーでもないのに、ヤンキー並に目立っていた。
ヤンキー>陽キャラ>なんでもない人>陰キャラという厳しいスクールカーストの中で、ただ一人、アメリカというポジションにいた。
なぜアメリカなのかというと、うまく説明はできない。
ただ、嗅いだことのない柔軟剤の香りがして、なんとなくアメリカが好きそうな雰囲気がした。
間違いなく、この人と仲良くなることはないと思っていた。
正直、前後に何を話したのかは覚えていない。
その後の会話にインパクトがありすぎたからだ。
なんと、会って5分も経たないうちに、私達は「鼻くそをどこにつけるか」という議題で盛り上がっていたのだ。
彼女は私を試すように、「鼻くそ、どこにつけてる?」と聞いてきた。
私は正直に、こう答えた。
いとこの家の洋服ダンスの裏につけてる。
その後のことはあまり覚えていない。
彼女がなんと答えたのかも、どう別れたかも覚えていない。
ただ、私はその時の衝撃が忘れられなかった。
帰ったあともまだ心臓がバクバクしていた。
私は大喜利にかけられたのだ。
馬鹿正直に答えてしまったことを後悔した。
きっと面白いと思ってもらえなかった。
ただ、その1年後、転機が訪れることとなる。
中三に進級したそのクラスに、彼女がいたのだ。
つづく
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