
孫氏の兵法 書評
「孫氏の兵法」 著者 守屋 洋
孫氏の兵法 「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」は誰しも聞いたことある名言だと思います。
著者
孫氏とは紀元前500年ごろに書かれた戦争攻略の兵法書です。
名を「孫武」といい氏は敬称です。
当時は戦争は戦略ではなく運や根性、兵や国の大きさで勝負が決まると思われていました。
そんな中孫武は戦の勝ち方や攻略法を記し、2500年以上経った今も読まれています。
三国志の曹操や諸葛孔明、武田信玄(風林火山は孫氏の兵法)、現代ではビルゲイツや孫正義さんなども愛読しているという。
孫氏の兵法は現代版として沢山の方が訳されていますが今回私が手に取ったのは守屋洋さんの本です。
昭和7年、宮城県生まれ。東京都立大学中国文学科修士課程修了。中国古典に精通する第一人者として、著述・講演などで活躍。研究のための学問ではなく、現代社会の中で中国古典の知恵がどう生かされているのかを語り、難解になりがちな中国古典を平易な語り口でわかりやすく説く。SBI大学院で経営者・リーダー向けに中国古典の講義を続けるなど、広く支持されている。著書に、『菜根譚』 (PHP)、『孫子の兵法』 (三笠書房)、『中国古典「一日一話」』 ( 三笠書房)、『〈新訳〉菜根譚』 (PHP)、『孫子に学ぶ12章』 (角川マガジンズ)、『「貞観政要」のリ-ダ-学』 (プレジデント社)など多数。
https://toyokeizai.net/list/author/%E5%AE%88%E5%B1%8B+%E6%B4%8B
概要
本書では戦略の考え方を13編に分けてあります。
相手の状況や地形、天候、こちらの戦力の状況を把握して必ず勝てるという見込みをもって戦えという内容や「兵は詭道なり」ととにかくやり方は汚くてもとにかく勝てばいいとも説いてます。
綺麗ごと一切なしの現実的な兵法書でした。
「戦は拙速を聞くも功久は聞かず」=短期決戦>>長期戦
戦いは短期決戦が基本で長期戦はコストも体力も負担が大きいので得策でないということです。
戦略や戦い方の基礎・原点であり、世に出ている他の戦略書はこの派生でしょう。
孫氏の兵法を用いた戦略として春秋戦国時代(キングダム当たりとか)や三国志の事例もあって読みやすくなっています。
著者の守屋洋さんも中国文学者なので中華の戦事例で孫氏の兵法を説明しています。
感想・批評
孫氏の兵法は長く読み継がれている名著なだけあって非常に現実的に感じました。
「勝てば官軍」は正論です。
歴史は勝者の都合の良いように記録されてしまうのですから。
ジャンプの主人公のような「勝てるか分からないけど戦う!」は孫氏の兵法と真逆をいきます。
主人公なら死なずに最終的には勝ちますが、もし我々が主人公ではなければ戦わずに逃げたほうがベターなのです。
・勝てないときは逃げる
・戦わずに勝つ
・奇襲や騙し討ちで相手を攻める
・スパイを活用する
・敵を買収する
等などルフィや悟空にはとてもできそうにはありませんが戦い方は主人公でない限り孫氏の方が正解ですね。
本書は分かりやすく読みやすかったのですが、現代にもどう活かすか具体例などあるとより面白いかなと思いました。
事例が戦を例にしたものがほとんどでしたが、他に企業戦略や恋愛などにもあるとイメージもより付きやすく、兵法を活かせそうです。
営業や経営戦略、マーケティングなどで孫氏の兵法を用いた例などあると非常に興味深いです。
恋愛×孫氏の兵法なども面白そうです(騙し討ちは良くないですが)
孫氏の兵法は多くで訳されているので読み比べてみるとより使いこなせそうですね。