学校教育の新たな可能性として不登校を捉える ①
不登校は初め、凡そ1960年代にそのままの名前で登場はせず、違った名があてられた形で登場する。登校拒否である。病理として扱われ、治療が目指される。裏返せば、学校に通う生徒は通常、そうでない生徒は異常として意味付けされ、いわばスティグマのように機能していく。この辺りは主要な著書を挙げるに留めるが森田(1991)、加藤(2012)にてまとめられている為参照してもらいたい。
本連載で記していきたいことは、不登校はその登場とは逆転した立場で、今となっては学校教育における新たな可能性であるということに尽きる。その可能性をここで紡いでいく為にも、まずは現状の原因とそれに対するアプローチを整理しておきたい。
何よりもまず不登校自体を定義せねばならない。が、ここでは文科省が毎年行なっている学校基本調査で用いられている定義を引用しておこう。
不登校の定義
不登校の定義は
「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるため年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」(NHKのサイトが簡単にまとめてくれているのでこちらを参照 2021/09/21取得)
ここで言う、病気、経済的な理由に対して別の名前が当てられているかといえば、そうではない。統計上は分けて考えるものの、現場や保護者からすれば、上記2つの理由でも不登校という名を当てることは凡そ不自然なことではない場合が殆どではないだろうか。
不登校の原因を挙げてみる
特に参考文献も挙げずさらっと10秒で考えるとこういった辺りが出てくるのではないか?(ここはみなさんで追加していっていただけると助かります)
・学校内:いじめ、学習進度の遅れ、教師or生徒-生徒間の人間関係
・家庭内:親からの虐待、離婚、経済的理由
・当人:学習障害、ADHDといった症状
不登校に対するアプローチ:理念レベル
では、これら原因に対してどのようなアプローチが取られているのかは理念と実態で隔たりがあることをここに記さなくてはならない。その理念型が2019年令和元年10月25日に出された「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」である。まず、その根本的なアプローチの仕方は以下に集約される。
「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。
そこで学校内での手立ては「学校づくり」、SCやSSWとの連携、評価の工夫などが挙げられているが、教員の多忙化などからこういった理念は周縁へと追いやられやすく、またそもそも不登校に限った話ではないが、この通知によって各学校の取り組みにどのような変化があったのか検証された形跡も、文科省の追跡もない。
さらに、学校外での手立てとして
教育支援センター,不登校特例校,フリースクールなどの民間施設,ICTを活用した学習支援など
を挙げている。
残念ながら、コロナ禍もあってICTを活用した学習支援はある程度進んでいるかもしれない(希望的観測)が、今どれほど行われているのか追跡できない。ただ、他に関しては羅列できる。
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