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旬の果物 | マルメロ

先日、信州よりマルメロの実が届きました。

ティッシュやペーパーでこすると落ちやすい

かりんとよく似ているマルメロですが、マルメロの方はこんな風に表面に少しモフモフとしたうぶ毛のようなものがあります。

それを皮がつるんとなるまで全部こそげてみると、結構な量に。

長野の一部地域では、マルメロが「かりん」と呼ばれることもあるようですが、一応このうぶ毛の有無が、一番わかりやすい「マルメロとかりんの違い」になるようです。(実際には、大きさや種の様子なども違います。)


マルメロとは

そんなマルメロの実は、ヨーロッパではこの秋の時期、よく食卓にのぼる果物のひとつ。かりんと同じくバラ科の植物で、日本語では別名「西洋かりん」とも呼ばれます。

アクや渋みもあるし、とても硬いので、生のままでは食べられず加熱されることがほとんど。ジャムやシロップ、コンポートなどにされるのが定番です。

かりんと同様、のどに良いと言われているので、冬のあいだを通じてそのまま食べたり、料理やドリンクなどに使われることも。

調理の仕方

まずは天地を切り落として、

半分に切るとこのような感じ。見た目はりんごにとてもよく似ています。
ふわりと香る、甘い匂いも。
りんごも同じバラ科の植物なので、ご親戚ですね。なんとなく納得。

芯と種を取っているところ。これもあとで使うので大事に取っておきます。

なんとなくのいちょう切りにして、

砂糖をまぶしてひと晩置いておきました。

あとは出てきた水分と一緒に火にかけるだけ。
ただし、ここでひとつポイントが。

マルメロはペクチンの多い果実

マルメロはペクチンを多く含む果物なので、砂糖をそんなに多く加えなくても煮るだけで自然なとろみがつきます。

種と芯はお茶パックに入れて

特に、この種と芯の部分をあらかじめ煮出しておき、その煮汁の一部を果肉と一緒にコトコト煮ると上手い具合に。

鮮やかな色合いがきれいです

何を作ろうかといろいろ悩んで、今回はやわらかく煮た果肉をつぶしてスプレッドのようにしてみました。

ちょうど別の撮影用に作っていたこんがりトーストと

ペクチンが多いので、口あたりはなめらかを通り越して、もはやねっとり。マルメロはゼリー状にして食べることも多いのですが、これをもっと煮詰めるとまさにそんな感じになりそうです。

味わいはやはりりんごにも似ていますが、やさしい甘さとかぐわしい香りがマルメロならではのおいしさ。チーズと一緒に食べてもおいしいです。

そんなマルメロは、ヨーロッパ的季節の手しごとのなかでも、一年の最後にやってくるお楽しみの果実。
瓶いっぱいに詰められたこのマルメロの美しい色合いを眺めながら、寒い冬へとそなえます。

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本日も最後までお読みいただきありがとうございました。


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庭乃桃 にわの・もも | 料理・食文化研究家、文筆家
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